シンデレラと継母達
2人はダンスを終えると共に魔法が解けて元の状態に戻りました。
ただ、ガラスの靴だけはまだ魔法が解けていません。
2人は不思議に思いましたが、ヴィオルまだ魔法が解けていないだけだろうと言いました。
エラはあともう少しで元の靴に戻るだなんて残念だと物寂しさを感じました。
2人は部屋を出て庭まで移動します。
「ヴィオル、もう暗いし魔法も使えないのにどうやって家に帰るつもりなの?」
「帰るのに必要な魔力は風だから問題ないよ」
エラはヴィオルがちゃんと帰ると知り、嬉しいような悲しいような複雑な感じに陥りました。
「エラ、お休み。良い夢を」
「ヴィオル、本当にありがとう。凄く楽しかった。お休みなさい」
2人はあえてさようならとは言わず、お互いに手を振ります。
ヴィオルが箒に乗り魔法を掛けると一目散に姿を消して、その場には大きな風が通り抜けたのでした。
エラはしばらくその場から動かず、ヴィオルと一緒にいた余韻を長い間浸っていました。
その余韻を噛み締めたエラは、ゆっくりと歩いて部屋に戻ります。
そのままベットに入ったもののなかなか寝付くことは出来ませんでした。
次の朝、眩しい太陽の光に起こされたエラは体が重いなか、ベットから降りました。
すると昨日履いていた靴がガラスの靴のままだったのです。
エラは大変驚きましたが、それ以上に昨日のことが夢でない現実だったことが嬉しく、また昨日の思い出も今のところ形として残っていることに喜びを感じました。
朝ご飯を食べようと下に降りた時、継母達が帰ってきました。
すると、継母達は真っ直ぐにエラのところに駆けて来たのです。
「エラ、どうして舞踏会に行ったの?」
「エラちゃん、どうして私達と行かなかったの?」
「エラちゃん、どうやって舞踏会に来たの?」
最初にただいまと言わずに、同時に3人から違う質問をされました。
「「「あと、どうして王子のダンスを断ったの?」」」
その後、3人同時に全く同じことを尋ねました。
本当に息ピッタリです。
多くの質問をいっぺんにされたエラは大変混乱しました。
一気に答えることが出来ないため少しずつその質問に答えていくことにしました。
まず最初に実は父親に似た王様の顔を見たいがために舞踏会に行ったことを伝えました。
継母達は確かに言われてみれば子爵と似ているわねと納得しました。
次に作法やマナーがまともに出来なかったため、舞踏会に行って失敗したら継母達に迷惑を掛けると思い、一緒に行かなかったことを伝えました。
すると3人は怒ってしまいました。
「迷惑掛けても良いのよ。私の可愛い義娘ですもの」
「「迷惑掛けても良いのよ。私の可愛い義妹ですもの」」
エラは思ってもいない理由で怒られたので腰が抜けてしまいます。
「でも……私が失敗したらお義母様達も恥をかくことになるのよ」
それはエラにとって、本当に避けたいことでした。
「大丈夫、私達が失敗しないように見張るから気にしなくても良かったのに」
「仮に失敗して恥をかいても良いわ」
「その時はその時でどう対処するか考えたら良いの」
3人はそんなの気にしなくても良かったのに、一緒に行けなくて残念だと、とても悲しそうでした。
エラは3人から愛されていたのだと今本当に実感し、嬉しくて涙が溢れます。
3人はエラを優しく慰めたのでした。
「それにしても、どうやって作法やマナーを身に着けたの? 私達が教えた時は全然出来なかったのに……」
その質問にエラは最初の3つ目の質問と一緒に次のよう答えました。
突如現れた魔法使いのおかげ魔法の馬車で乗って行ったこと、作法やマナーがまともに出来ないエラにみっちりと教えてちゃんとした形になったと言うことです。
「「魔法なんてあるわけないでしょ!」」
「魔法使いがこの国にいると言うの?」
上の反応は継母と下の義姉ロゼリアで当たり前の反応をしましたが、下の反応は上の義姉アナスタシアで少し変わった反応をしました。
「お母様、ロゼリア、魔法と言うのは本当に存在します。昔、国の図書館が所蔵している本の中にそのようなことが書かれておりましたわ。どうやら、妖精の国とかもあり、魔法が主流のところもあるらしいです」
アナスタシアは興奮気味で2人に説明します。
エラはヴィオルの話していた通り、本当にあるのだと実感しました。
継母やロゼリアはその話は寝耳に水でした。
「お義姉様の言うことは本当よ。魔法使いは妖精の国に行ったことがあると言っていたわ。あと本当に魔法使いに会ったと言う証拠もあるのよ」
エラは急いで階段を駆け上がり、急いで階段から降りてきました。
「これよ!」
エラは魔法がまだ解けていないガラスの靴を見せました。
3人はガラスの靴に息を飲みます。
その靴は本当にガラスで出来ており、角度を変える度にキラキラと輝きます。
また、中心にはとても細かい綺麗な蝶の形をしたガラスが付けられており、とても人の手で作れる品物ではありませんでした。
舞踏会で踊っていたエラの靴の輝きがこのガラスの靴だったのだと分かり、3人は本当に魔法は存在するのだと実感しました。
3人は魔法使いのおかげで舞踏会に行けて良かったねとエラに微笑んだのでした。




