シンデレラは魔法使いと出会う
どのぐらいの長さの物語になるか全く検討がつかないため、すぐに終わるかもしれませんし、長く続くかもしれません。
またご都合主義です。
もし良ければいいねや評価、感想をお願いします。
あるところにエラと言う名前の少女がおりました。
彼女は子爵令嬢でしたが、母親である子爵夫人はエラが幼い時に病で亡くなったため、父親である子爵は後妻として二人の子持ちである男爵夫人の未亡人と結婚することとなりました。
すると、次は父親が事故で亡くなりエラには実の家族はいなくなってしまいました。
爵位も失い、父親の遺産も少なかったためエラは家のことを全て行うようになりました。
エラが16歳になった頃、王都では王子の結婚相手が誰になるかで話題は持ち切りでした。
王様は王子に隣国の王女と婚約するよう進めましたが、王子は運命の相手と結婚すると王様の言う事を全く聞きません。
とうとう諦めた王様は妙齢の女性達を集めて舞踏会を開き、王子に相手を決めてもらうことにしました。
ついに国中に舞踏会の招待状が配られ、女性達はドレスを注文したりエステに行ったりと大忙し。
それはエラの家でも同じことでした。
そのためエラはいつも以上に働くのでした。
とうとう舞踏会前日。エラは継母達の支度を済ませた後、継母達はそのままエラを置いて舞踏会へ出かけていきました。
たった1人残されたエラは寝る間を削って継母達にバレないようにこっそりと作っていたドレスを手に取ろうとした時、彼女は自分の後ろに誰かがいる気配を感じました。
そのため彼女は近くにある箒で思いっきり振り回します。
するとなんとその人の顔面に見事クリティカルヒット!
その人は大層に痛そうにして思わずしゃがみ込んでしまいました。
しかし、エラはそんなことはお構いなし。
「一体どこから入ってきたの? ここはとても高い塀に囲まれているし、家の鍵だって窓の鍵だって全部閉じてあるのよ。私が毎日管理しているのだから間違いないわ。どこの塀を壊して窓を割ってきたの? さあ早く答えなさい! これはきちんと弁償してもらいますかね」
その人のマントを掴み大激怒。
その人は彼女に怖気付いてなかなか声を上げることができません。
彼女に返答急かされたため、小さな声でボソボソと答えました。
「私は……魔法使いと申します。君を助けに……参上しました。貴女も舞踏会に……伺いたいのですよね?」
エラはYESともNOとも答えません。
魔法使いのマントから手を離して次のように言いました。
「私が聞きたいのは、そんなことじゃないわよ。答えて欲しいのはどこの塀を壊して、どこの窓を割ったのか? さっきそのように聞いたわよね。お前の耳は節穴か!」
そして、次は魔法使いの顎を持ち上げ再び激怒します。
魔法使いは泣きそうな顔してやめろと彼女の手を振りほどきました。
「男の俺に対して一体何をするんだ? その上俺は魔法使いなのに」
今度は彼が顔を真っ赤にして彼女に激怒します。
「えぇー、魔法使いってそもそも存在したの?」
「いや、今更それ聞く? 俺、最初から魔法使いだって言っていたよね? 君こそ耳の穴こそ節穴じゃない? というかそんな言葉ないからね。それを言うなら『お前の目は節穴か』だからね。そもそも君は令嬢なんだから言葉遣いには気を付けないと他の令嬢達に馬鹿にされるよ」
エラは馬鹿にされると言う言葉には全く傷つくことはなく、むしろフッと笑ってしまいました。
「そもそも今の私は庶民よ。元令嬢だったと言うだけでね。それにもともと他の令嬢達と会話する機会なんてないのよ。気を付ける必要もないわ。言葉遣いなんてどうでもいいの。取り敢えず私の話をちゃんと聞けって言いたかったの」
「それを言うなら君だって僕の話を聞いていなかったよね。と言うかあんな状況で話なんかまともに聞けないよ」
エラは確かめもせず勝手に頭を叩き、その上、責め立ててしまったことはいくら何でもやり過ぎたと思い、頭を下げ素直に驚かせてごめんなさいと謝罪しました。
「それはもう良いよ。いや、良いのですよ。私が突如現れて失礼致しました。では、改めて自己紹介をさせていただきます。私は魔法使いのヴィオルと申します。Missエラ、いつも継母達に虐められている可哀想な貴女のために、私は貴女を舞踏会にエスコートしに参上しました。さぁ早く準備に取り掛かりましょう」
ヴィオルは早速、杖を取り出してエラの方に向けてひと振りするとあっという間にエラはとても綺麗なドレスを着た立派なご令嬢に大変身!
これにはエラも圧巻です。
自分が作ったドレスは厚さがなくふくらはぎを覆う程度の長さしかないため、ドレスと言うよりワンピースに近く、ぎりぎりドレスと言えるものでした。
また、色も深みのきった緑色のドレスで、とても華やかだとは言えません。
しかし、ヴィオルの魔法でできたドレスは、上質の絹を使ったベルラインのドレスで、ドレスの上には多くの大粒のパールが散りばめられています。
また、色は綺麗な白でとても華やかです。
エラは、興奮して頬に手を当てると人差し指に何か硬くて冷たいものに当たりました。
イヤリングです。
どんなイヤリングなのか確かめるため、鏡がある方に向かい、そして鏡の中を覗きました。
するとそこには大粒の雫型エメラルドのイヤリングが耳の下に垂れ下がっておりました。
驚いたのはそれだけではありません。
顔全体は血色の良い肌にしているファンデーション、まぶたにはピンクよりのオレンジのアイシャドウ、頬にはほんのり薄いチーク、唇にはピンクよりの明るい赤の口紅と言う、いつもよりも明るくそして上品な感じなメイクがされておりました。
普段の自分とは別人で大興奮しました。
エラは長い間見とれているとようやく我に返りました。
「これはどういうこと? お義母様達が私を虐められてるって何のこと? 意味不明。そもそも私はお義母様達に虐められてなんかないわ」
ヴィオルは大変驚き、彼女の家の状況を尋ねました。