第10話 誰が為に
ミシェルが国を救ってからもう1つ問題があった。封印されたミューズの声である。ミューズは声を出す事ができなくなってしまったのだ。
マネージャーはミューズが生きていて良かったと思う反面、声が出ない事を嘆いた。どうすれば声が戻るだろうと、話しあい、術者が封印をとけばいいと言うことになった。
しかし、アーロンが封印を解いたのだが、何故か声はそれでもでなかったのだ。
「このままじゃ、ライブを楽しみにしてくれてる人達にもう訳がないわ。」
そう紙に書く。ミューズのコンサートツアーはまだまだ序盤だった。だが、下手をすればその全員が死んでいたかもしれないのだ。そう考えるとミューズは恐ろしくなった。
「きっと、精神的な事で歌えないのだと思いますわ。」
ミシェルはそう考えた。そんな中アーロンが口びをきった。
「君は死神と契約したよね?」
「っ!?……は、はい。」
と、書く。
「希望の歌を歌えるように願ったね?」
「……はい。皆を元気にしたくって。」
と、書く。
「君が有名になったのは希望の歌を歌えるようになってからだ。君はズルをした。声が出ないのも君にとっての対価じゃないかな。」
「アーロン様。そんな酷い事を言わないでください。ミューズは皆為に歌いたいと願ったから今があるのですよ。」
そこに様子をうかがっていた、ローズも口を挟む。
「死神と契約したのはミューズ様の自己責任だと思います。」
「ローズもそんな言い方酷いと思うわ。」
「ミシェル様。いいの。私、ズルしちゃってた。」
ミューズはそう紙に書きながらなき始めた。
「ミューズ。泣かないで。それにしてもどうして他の人格が絶望の歌を歌えるように?」
合わせ鏡のようなものですと、ローズが説明してくれた。片方が希望の歌を望むなら、もう片方は絶望の歌をうたえるように契約されてしまったのではないかと言った。
「ミューズ、少しの間だけど一緒に声を取り戻せるように頑張りましょう!」
ミューズが次の現場へ行く前に声を取り戻す必要があった。しかし、現実的には難しい。声を取り戻す特訓は1日中続いた。だが、やはり、一言も喋れない。
「私、もうだめなのかな?」
そう紙に書く。
「まだよ!まだ!頑張りましょう!」
ミシェルは熱心に声をだす稽古をミューズと共にした。しかし、努力は報われなかった。




