第2話 立たないテント
国外追放された悪役令嬢ミシェルは、1面の荒野に使用人達と追放された。
そんなミシェルはテントの立て方をなんども使用人達から教えてもらうのだが、慣れない事で上手く立たなかった。
「うーん、難しいのね。テントなんて張ったの初めてですわ。」
「こんなテントでこれから過ごせだなんて、酷すぎます。」
使用人のローズが嘆いた。
「大丈夫!皆居るもの!心強いわ!」
「お嬢様……」
ローズは涙を拭いながらテント張りを見ていた。
「もう一度チャレンジするわ!」
「ええ!その調子です。お嬢様!きっとお嬢様なら乗り越えられます!これまでだってたくさん努力されてきましたもの!」
「ええ、そうね。」
これまでだっていくつもの苦難を乗り越えて来た。王子の婚約者にならないように必死に王子に近づかないようにしたのに婚約者に選ばれた時は絶望したけれど、婚約者としてのマナーレッスン、ダンスのレッスン、そして、国外追放された時の為に魔法、剣術、さらに武術の練習まで、出来ることはやってきた。
結局、魔法はあまり得意にならなかったし、剣術も上手くはない。武術だって素人に毛が生えたようなものである。しかし、彼女には特殊な力があった。
魔王より受け継がれし力、そう、
バキッ
「あら……テントの支柱が折れてしまったわ……。」
怪力である。
「お、お嬢様。テントが脆いのです。お気になさらず……」
「大丈夫!魔法で修復します!」
夕方までミシェルのテント立ては続いた。
「立った!立ったわ!」
「お嬢様、良かったですね!でも、それ……」
「布製のテントでは脆いので魔法でレンガを積んでお家を立てました!」
どやっと、眩しい笑顔でそういうミシェル。ローズの目前には立派はレンガの小屋。
「さすがお嬢様、テント要らずですわね。」
ローズはほろりと流れた涙を拭った。
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