第12話「アーロンの決意」
アーロンは実はミシェルの事がずっと好きだった。初めてあったあの日から……。
「ご、ごきげんよう、アーロン様。」
少し恥ずかしそうに緊張してたじたじだったミシェル。そんなミシェルをアーロンは可愛らしいと思った。婚約者になってからはより、よそよそしくなってしまった。
でも、婚約者として影ながら努力してくれているのは知っていたし、そんな彼女を美しいとさえ思った。だけど、自分の感情を上手く表現することが苦手だったアーロンは素直にミシェルに優しく出来なかったのだ。
そして、ラナが現れてからと言うもの、ミシェルの悪評が広まった。最初はそんなの嘘だと思っていたのに、だんだん、だんだん、いつの間にか信じるようになってしまったのだ。
「ミシェル。」
今すぐにでもミシェルにキスをしたい。ミシェルに目覚めて欲しい。そう願うのだが、アーロンは知っていた。何を自分から奪われるのか、この世で1番大切なものなんて1つしかない。第1王子の座?否、富?否、名誉?違う。僕が1番大切なのは、ミシェルへのこの気持ちだ。そんな事はわかっている。キスすればこの心は愛を失ってしまう。それはとても辛い事だ。王子は少し戸惑った。
「ミシェル。」
そして、アーロンは決意を固める。翌朝、アーロンは遂にミシェルにキスをした。
その途端にアーロンの心は死んだ。記憶も失った。ずっと好きだった彼女が誰かわからない。この気持ちは一体なんなのかもわからない。そしてミシェルは眼を覚ました。
「…………アーロン、さ、ま?」
「君は、”誰だ”?」
「アーロン様、いかがされたのですか?私です!ミシェルですわ!」
「知らないな。馴れ馴れしくしないでもらおう。それより王城にいるラナ討伐をしなくては、このままでは国が滅んでしまう。」
「アーロン様!私にもお手伝いさせてください!」
「部外者は黙っていてもらおうか。それでは失礼するよ。」
「あ、アーロン様っ!」
アーロンはミシェルと眼を合わす事もなく小屋を出ていってしまった。
「アーロン様。」
「お嬢様、眼を覚まして下さってよかったですわ。」
「ローズ、アーロン様は一体……」
「アーロン様は、ミシェル様を救う為に、例えミシェル様の事を忘れてしまっても助けたいと願われたのです。」
「そ、そう。」
「お嬢様、お嬢様にお話ししておく事がございます。」
「?」
「私、ローズは、実は転生者なのです。」
「?!」
ミシェルは驚きのあまり言葉を失った。




