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三通目

「愛海?愛海がそんな犯罪じみた犯行に協力するか?」


「まあ、これは仮定の話だから、確定ではないんだが、愛海がこの学校の共犯者として、一番怪しいと思ってる。


 なぜなら、第一に共犯者は、お前から手紙のことを聞き出すために、お前の近くにいる人間でなければならない。一番お前に近い人間は、俺を除けば、愛海になる。


 さらに、愛海は筆跡鑑定をした時、この学校の人間じゃないって言ったな。そして、その後の手紙にも、この学校の人間じゃないと書かれていた。これは偶然の一致と言うことも考えられるが、この学校にその手紙に関わっている人間はいないという固定概念を植え付けるためのものだとしたらどうだろう。」


「なるほど、この学校の人間じゃないと強調すれば、この学校の共犯者の存在を俺たちの意識から消すことができる。そして、真相を分かりにくくさせたってことだな。」


「そう、これがこの事件の真相だ。後は、愛海をどうにかしてぼろを出させることができれば、お前のお母さんの学校の方の差出人を吐かせて、チェックメイトだ。」


「なるほど、……筋は通っているのは分かるんだが、いまいちしっくりこないな。そこまでして手紙を引き出しに入れる理由が分からない。愛海と友達なら愛海越しに手紙を渡させる方法もあったはずだ。なぜ、リスクを冒してまで、引き出しに手紙を置くのかが分からない。」


「確かにそれはそうだが、これ以外起こった事実と辻褄が合う推理はないだろう。だから、これが真相なんだよ。」


「……そうだな。とりあえず、愛海を問い詰めようぜ。」

「よし、こういう犯人を問い詰めて、ぼろを出させるやつやってみたかったんだ。よっしゃ、やったるでえー。」


「愛海ちゃんなら、さっき体調が悪いとかで、早退しちゃったよ。」

 俺たちは教室に帰り、愛海の姿が見当たらなかったので、クラスの女子に聞いてみると、そんなことを言われた。


「愛海の野郎。逃げやがったな。俺が授業中に叫んだから、勘付きやがったんだ。」

「なんで叫んだんだよ。愛海が共犯って分かってたのに。」

「つい推理ができて、舞い上がっちゃった。」


 義男はおどけた表情で、舌を出した。腹立つ顔だが、ぐっと気持ちをこらえた。


「まあ、起きてしまったことはしょうがない。これで俺たちに真相を知られたと愛海たちが分かったから、出方をしばらく伺おう。」

 義男は大きくうなずき、自分の席に戻った。俺は少し引っ掛かることはあったが、手紙の謎の真相を知ることができたと思い、安心して、残りの授業を受けた。


 昨日より少し軽い歩調で歩きながら、家路についた。家に着くと、ポケットから鍵を取り出した。鍵はもちろん開いていなかったので、鍵を開けた。家の中に入り、鍵を閉め、真っ先に俺の部屋の中に向かった。そして、引き出しを開けると、いつもの封筒が置いてあった。


 ここまでは不思議ではない。手紙の差出人からの提案通り、封筒の手紙だけを入れ替えて、返信したからだ。重要なのは、封筒の中身が入れ替わっているかだ。俺は恐る恐る封筒の中の手紙を取り出した。


 手紙は俺の字とは、全く違う綺麗な字で書かれており、謎の差出人からの三通目の手紙だった。


 だが、もう義男の推理を聞いた後だったので、昨日より怖いと思う気持ちは少なかった。俺は手紙の内容を読んでみることにした。


 ピンポーン、ピンポ、ピンポ、ピンポーン


 手紙を読むことを妨げるように、家の呼び鈴が鳴った。少し驚きながらも、手紙を机の上に置いて、玄関に向かった。


 玄関のカメラを見ると、呼び鈴を鳴らしたのは、お母さんだった。俺は手紙の差出人が家に襲い掛かってきたかもしれないと思ったが、違ったので、胸をなでおろした。


 俺は玄関のかぎを開けて、お母さんを家の中に入れた。


「はあー、助かった。和樹が先に帰ってきてくれて。」

「どうして?」

「だって、昨日、和樹が鍵を見せてくれって言われて、鍵を見せた時、鍵をどっかに置いてしまったみたいで、家に帰る途中で、鍵がないことに気づいて、焦っちゃった。……あっ、やっぱり玄関の靴箱の上に置いてあったのね。」


 俺はさっきまで抑え込めていた恐怖心が一気に湧き上がってきた。



 

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