バグパイプに誘われて巡り逢う魂(たま)
仙道さまご作曲のこちらの音源にインスピレーションを受け書いています。
https://www.youtube.com/watch?v=fiPCw1TML8Y
* 武 頼庵(藤谷 K介)さまご主催の【能登沖地震復興支援!!】 繋がる絆企画への参加作品です。
九重連山のミヤマキリシマさながらに
うねる山麓をエリカの群れが這いあがる
時は8月、でもここスコットランドは
蒸し暑さに苦しむことはない
潮風も湿原からの蒸散も
風が吹き飛ばしてしまうから
ヒースに足を取られながらまろびながら
私は上を目指していく
だって、こんな丘の上には
民族衣装の王子様がいるものだから
かたつむりの大行進のような
あの楽器の音が聞こえているから
目が合った途端あなたは
左脇に挟み抱いていた楽器をおろす
「君がぼくの待ってたひとかな?」
「あなたが私の王子様?」
四つの手を繋いでかごめのように回ったら
ふたりの前世の想いが全て舞い戻る
緑滴るハイランドの丘の上には
人と天と地を結びつける力が籠って
「ここでならやっぱり会えるんだね」
「ストーンサークルに囲まれてるもの」
「それに今日は君が……」
「前世であなたを天に送り還した日……」
「あの時最後になんて言ったの?」
「そんなの決まってるじゃないか」
無粋なことを聞くもんじゃないというあなたは
もう王子様という雰囲気でもなく
隣に居て何の違和感もない
私のよく知るあなたに舞い戻る
「もう苦しくない?」
「見てのとおり」
「今度の躰は頑丈?」
「ああ、血も血中酸素も溢れてる」
「じゃ、長生きできそう?」
「君を愛し殺してあげる」
顔を埋めたあなたの胸には
タータンが肩から下がっていて
あなた色のネイビーに碧
私をあなたの氏族に入れて
同じ柄に白を混ぜたドレスタータンを
着てもいいよと言って頂戴
足元のエリカの小花を巡る蜜蜂
集めてできるヘザー・ハニー
それより甘い恋人時代を
もう一度何度でも味あわせて