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Over color  作者: 安達
1/1

ぴよぴよ

誤字脱字があったら教えてください

めっちゃ感謝します)^o^(

 人類の半分は魔法使いとなり得る魂を持って産まれる。その中でも限られた者のみが至れる魔法の極地。人々は彼らの事を『ジダヌス』と呼び、創世の神『ジダニス』の生まれ変わりだと考えている。


 ア•アラヌティル王国は南西部。長閑な田園風景が広がっている。時刻は午後2時。この場所にいるのは自分だけで、この先の人生を考えるのには絶好だ。

 この国は、魔法の素質が有る者はそれを学ぶ為の学校に進学する事が義務付けられている。将来国に益を齎す人物に成長させるために。その分給料は魔法使いというだけで二割増しになる。

 そんな事を考えている僕は普通の魔法使い。強大な魔法を扱える訳ではなく、かといって周りと比べても下の方という訳では無い。至って普通だ。そんな普通の僕が将来何の職に就くべきか、今凄く悩んでいる。幼馴染のディマヌカからは一緒に国軍に入ろうと言われているが、僕が国軍に入って何か役に立つのか甚だ疑問だ。因みにディマヌカは男である。


 明朝。学校がある日の朝。あまり行く気になれないが行かなければならない。憂鬱だ。

「パージ、行くぞ」

玄関からディマヌカが呼び掛けてくる。

「わかった今行くよ」

幼馴染で大親友を待たせるのも良くないので急いで玄関に向かう。

「国軍に入る気になったか?」

「まだ悩んでる」

それから登校中はディマヌカのプレゼンが始まった。ここがこうだから国軍は良いぞといった感じ。だけど、プレゼンが下手であまり入る気にならない。

「プレゼン下手だな」

「そんな事言うなよ」

少し不機嫌になってしまった。事実だから僕は悪くないだろ。


 「そんに国軍に入りたい理由ってなんなんだ?」

良い点を挙げるばかりで入りたい理由は教えてくれない。何か恥ずかしい理由でもあるのか。

「俺の家族は国軍に救われたんだ。理由はそれだけ」

理由としては十分だろう。救われたから憧れになり、自分も国軍で人を助けたい。立派な理由だ。

「理由は分かった。けどなんで僕を誘うんだ?」

「パージは自分で選択するの苦手だろ」

それだけか。何か深い理由が有るのかと思ったがそうではない。けど、僕を心配してくれているのだろう。そう受け取っておく。

「なんかありがとう」


 結局僕は国軍に入ることにした。親に説明する時はそれらしい理由を並べたが、一番はディマヌカの言葉である。それは絶対に言う事はない。それを言えば本当に自分で選択出来ない人と思われてしまう気がするから。

「別れの春、出会いの春!」

今日は入隊式。やたらテンションの高い隣の友人。知り合いだとは思われたくないな。

「パージもテンション上げてこーよ!」

話しかけるなオーラを出していた筈だが効き目はゼロ。全く意味がなかった。

「楽しみにしていたのは分かるが少しは抑えてくれ」

言っても無駄なのは分かっているが念の為言っておく。

「おいそこの二人!静かにしろ!」

それ見たことか。巻き込み事故で僕まで怒られた。

「すみません」

これから長くなるであろう軍生活を良くするためにも謝る。ディマヌカも反省したのか静かになる。


 式は滞りなく進む。そして、締めの挨拶に国軍のトップであり現国王の「アルビアル•デ•グロリヌス•アラヌティル六世」が壇上に上がる。侵略王とも言われる王様。『ジダヌス』であり、自然魔法の頂点に君臨する絶対者。

「我が国のため、諸君らの力を発揮してもらいたい」

短い。だが、場が引き締まる。

「挨拶短めだ」

引き締まっていない友人は無視しよう。


 魂には色がある。その色により得意とする魔法が判別できる。産まれた時に判別されるが、それは大雑把にこんな感じだろうという簡易化されたもの。今から行われるのはより明確に判別するためのもの。

 入隊式が終わってから直ぐに移動して判別が行われるホールに移動する。今年の入隊者数は170人だそうだ。例年に比べやや多い程度。この人数を判別するのに時間が凄いかかるらしい。待っている間は暇。会話をして時間を潰しておこう。

 待つ事三十分。とうとう僕の番だ。産まれた時に判別された色は緑。今回はどうだろう。

「君は緑、いや、赤と緑だね。ツーカラーだ」

ツーカラーとは、二つの魔法系統に適性があるということ。素直に嬉しい。だけど、ツーカラーだから絶対良いという訳ではなく、悪い部分もある。それは器用貧乏であるということだ。二つも色が有ればそれらが反発しあい、強力な魔法を行使するのが難しくなる。何事もメリットデメリットがあるのだ。

 「次は俺だな」

声色からウキウキしているのが伝わってくる。

「君は…少し待っていてくれ」

なんだろう。

「ディマヌカ、もしかして魂の色無いんじゃないの?」

少し茶化しておく。顔を覗き込むと泣きそうになっている。

「俺、色無くなったの?」

可哀想だ。だけど僕は君の分も国軍で頑張るよ。


 「ディマヌカくん、君は『ジダヌス』の器だ」

数分して戻ってきた判別者は告げる。僕は驚きで声が出ない。普通であれば産まれた時からジダヌスはジダヌスと判別される。後天的にジダヌスになった例は人類史に於いて皆無。

「俺ってば、もしかして凄いのか?」

「凄いよ君は。この国で二人目の器だ。」

僕の幼馴染が激烈に凄い人物だった。

「俺は何の魔法が凄いんですか?」

一番気になる所だ。

「無の魔法だよ、ディマヌカくん」

無の魔法とはなんだ。僕とディマヌカは首を傾げる。

「それは私にも分からない。しかし、器には無と出ている」

理解出来ないがそれは僕らが悪い訳じゃないだろう。


 それから判別式は何事もなく終わった。僕はツーカラーの人達が多く在籍する国軍第二部隊に、ディマヌカは国軍最強の鰲月隊配属となったようだ。

「これからは別々の部隊だな」

寂しげなディマヌカ。

「本当は一緒の部隊に入りたかったんだよ」

「僕もそれは同じだ」

拳を突き合わせ別々の道を進む。隊が違っても会う事はできる筈だ。次会った時にはディマヌカをあっと驚かせるような成長を見せてやろう。

(^o^)

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