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ランドセル探し  作者: 猫目 きいろ
4/5

4話目

続きです

「それじゃぁ、開けるよ……。」

柿崎がドアノブに手をかけた。

先程犯人が複数かもしれないと話した後なので、狭山は後ろを注意し、俺はつきを少しだけ背に隠す。

柿崎はまず、少しだけ扉を開けて中を確認してから開けた。


「大丈夫、中には誰も居ないみたい。」


俺達はホッと息をする。


「どうやらキッチンのようだよ。」


柿崎が俺達が見やすいようにドアの前から退いた。


古い冷蔵庫が見えて食器棚なんかも見える。


「残念ながら窓とかは無いみたいだよ。」


柿崎は申し訳なさそうに言った。

べつに柿崎のせいでは無いのに、優しい人だなと思った。


「窓は無くても、何か武器になるものとかあるかもしれない!見てみよ!」


「ええ、そうね。麺棒とかあったら殴るのに良いかも……。」


「綿棒なんかで殴っても痛くないだろ?」


俺は先に綿の着いた耳を掃除する綿棒を想像して、それで殴っても?と笑った。


「望月君、多分想像してる綿棒じゃなくて……ほら、木でできた棒の事だよ。麺類とか小麦粉の塊とか伸ばす用の……。」


柿崎がコソッと教えてくれた。


「あー、麺棒!麺棒な!うん、うん!あれは武器になる!!」


「あんた耳かきの方の綿棒想像してたでしょ?」


「うっ、だって、そんな調理器具の名前なんて知らねーよ……。」


「はぁ、まぁいいわ。とりあえず中に入りましょう。」


スタスタと狭山は中に入っていった。

中はそれなりに広いキッチンだった。

流し台が有り、食器棚には沢山の食器。

少し型の古い大き目の冷蔵庫。

奥には大きな棚。

反対側、右側の壁には小さな窓があった。


俺は何となく窓の方に近づいて行った。

窓からは玄関ホールが見えた。

ちょうど俺達が倒れていた所がよく見える。

そういえば向こう側にあった飾り窓も、この辺の位置にあったな……。

マジックミラーってやつか?なんでそんなもんここに着いてるんだ?

窓をじっと見ていると窓枠の下の方が汚れている事に気付いた。

近寄って見てみた……


「!!」


血の跡だった。

まだ赤くて乾いていない、そんなに時間の経って居ない血の跡……

恐る恐る見ていると、何となく手の形に見える。

小さな手が二つ、右と左……

子供の手、血だらけの小さな手が除くように着いている。

血だらけのての子供が、俺達が玄関で寝ているのを見ていた?

ゾッとした、そして今手を繋いでるつきの手も子供の手だと思い、そっと手を見た。

冷や汗が出る……。

手は、綺麗だった。

血はついてなくて、白い小さな可愛らしい手だった。


「どうしたの?」


つきがキョトンとした顔でこちらを見てくる。


「な、何でもないよ……」


苦笑いがもれる。


「あった!麺棒!」


どうやら狭山が麺棒を見つけたらしい。

硬そうな棒を持っている。


「う〜ん、ここは鍵がかかってるみたいだ……」


柿崎は俺達の背丈より少し大きな棚を開けようとしていたようだ。


「鍵?」


「うん……。」


「ねぇ、これだけ大きいしどかしたら後ろに窓とか無いかしら?」


確かにキッチンの奥の面を塞ぐほど大きな棚だ、後ろに窓ぐらいあるかもしれない。


「退かしてみよう!」


3人がかりでどかすことを試みたが、ビクともしなかった……。


「動かねぇなぁ……。」


「そうね……。」


柿崎が壁と棚の間の僅かな隙間を覗こうとする。


「うーん、隙間も無いし……これは退かすの無理そうだね……。」


「仕方ない、他を探そう。」


「今度はつきちゃん、あのお姉ちゃんと手を繋いでくれるか?」


狭山と手を繋ぐことを促す。


「うん!」


つきは元気よく返事をして狭山の手をとる。

心做しか狭山は嬉しそうだ、案外子どもが好きなのかもしれない。


「今度は俺が先頭に立ちますよ。」


「うん、わかった。」


柿崎が後方に下がり真ん中に狭山とつき、俺が先頭で歩き出す。


食堂の扉の前まで来た。

今度は慎重に扉を少し開けて向こう側の様子を伺う。


キシっキシっキシっ


階段の方から音がした、誰か降りてくる。


「おい、階段から誰か来る。」


小声で伝えると二人が息を飲む。


「つきちゃん、シーだよ?」


狭山が人差し指を口元に出してつきに静かにするように言うと、つきは口を手で覆い、こくこくと頷く。


さて、俺達を誘拐した犯人さんはどんな顔のヤツだ……。


息を潜めて扉の隙間から様子を伺う。

額から冷たい汗が出る……。

読んでくださりありがとうございます

続きも読んでもらえると嬉しいです

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