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ウォーキンシティへようこそ  作者: 十八谷 瑠南
プロローグ
12/65

Mr.Sの屋敷その2

◆ゴウ◆

初めて出会った時、

ショーンの顔に好感を持てた。

だから俺にはわからなかった。

彼が世界一の詐欺師であることに。


“ゴウは本当に人を見極められないのね”


かつてゴウはそう言われたことを思い出した。

だが、


“私の罪を帳消しにしたい”


ショーンの願いごとはゴウにとって興味深く、そして

純粋で美しいとまで感じた。

世界一の詐欺師であろうが何だろうがゴウには関係がない。

ただ単にショーンの願いごとが気に入った、ただそれだけ。

だから、ショーンの願いごとを叶えることにしたゴウは、

今、ここにいる。


驚いて振り向いたクインの顔を見て、ゴウは思った。


(きっとクインも俺と同じことを思っている。こいつが?って)





◇クイン◇

(このひとが?)

クインは、自分の背後に立っていた男を見つめてそう思った。

男の顔は、羨ましいほど鼻が高く、茶色い瞳に合った凛々しい眉を持っていた。

クインと目があったかと思うと、にっと笑った。

その顔はまるで無邪気な子供のようだった。

そんなMr.Sの顔を見てクインの顔もほころんだが、頭を振った。

(お、落ち着け私!こいつはエレナのお父さんを)

「音の反響であの階段から来るって勘違いした?」

クインは瞬きをした。

(え?)

「君は単純で馬鹿なんだな」

(は?)

Mr.Sは、クインの顔をじっと見つめると一言、へえっと言った。

(へえ?)

「ゴウ、上出来だ」

その言葉にゴウは特に何も反応せずただそこに立っているだけだった。

この時、クインは直感で感じた。

ここで今すぐにでもこのMr.Sよりも先に言葉を発しなければいけないと。

でなければ、きっとMr.Sの言葉に飲み込まれてしまう。

つまり、クインはMr.Sの“上出来だ”という言葉の意味はわからなかったが、これからとんでもないことに巻き込まれると感じたのだ。

クインが口を開こうとした時、目の前にいたMr.Sと目があった。

その目は全て読んでいる目だった。

だから、クインは開きかけた口を閉じた。

そんなクインを見てMr.Sは微笑んだ。

「自己紹介がまだだったね。はじめまして」

そう言ってMr.Sは背筋をまっすぐに伸ばした。

「私の名前はS。Mr.Sとでも呼んでくれ。よろしく」

そう言って右手を差し出してきた。

クインはその手に自分の手を差し出すことはなく、じっとMr.Sの顔を睨みつけ、次こそはと言葉を発しようとしたが、

「突然だが、君に頼みがある」

という言葉に遮られた。

「え?」

やっと発せれた言葉がそれだけだった。

そんなクインを見て、にやっと笑ったMr.Sは差し出していた手を引っ込めた。

(あ、やばい) 

「エレナやゴウから聞いているだろう?私の罪を帳消しのするためにゴウをエレナの元に送ったことを。ゴウは私の願いを叶えるために、私の罪が帳消しになるまでエレナの願いを叶え続ける」

クインはぎゅっと拳を握り締めた。

(これは完全にこいつのペースだ)

そう。クインには分かっていたのだ。

すでにもうMr.Sのペースに乗せられていることを。

だから次のMr.Sの言葉を冷静に受け止めることができた。


「そこで君に友達であるエレナを監視して欲しい。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


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