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美術少女と異世界に住まう魔王の旋律  作者: Spell
Episode 01 美術少女と厨二病魔王のハイパースーパーな1ヶ月!
7/69

第6話 厨二病の痛い男子との邂逅。 完結編

たったったった。

学校の外へ向かう私と魔王は、必死だ。

汗がだくだくになって、恥ずかしさを忘れるほどだった。

魔王の顔も真剣だった。

私は魔王の手を離さず、演技でノッてるつもりだったが、やがてマジになってしまった。

「ここが玄関よ、そんでどうすんの?」

「まだだ、まだ外じゃない!」

「えー外まで行かなきゃいけないの〜めんどくさいわね」

「帝魔王様の命令だ、絶対に連れて行く」

私と魔王は再び走り始める。

手は離さない。

異世界への移動というものだが、実際そんなことができるなんて信じられない。

私は半信半疑だった。

でも半分信じてるのだから、異世界がどんなところなのか楽しみだ。


ーー洗脳されてしまったのだろうか、沙邏は、周りのクラスメイトにもドン引きするほど、魔王に魅了されてしまった。

これじゃあ、沙邏は美術少女じゃなくて厨二病少女だ。


「ついた」

校庭のグラウンドだった。

真ん中の砂場へ移動し、教師の目を避けるように左右方向を確認してから、魔王は私の方を向いた。

「早速呪文を唱えるから、お前は下がっていろ」

私は、魔王の言われたように、後ろへ下がった。

そして、魔王は深呼吸をして、自分の持つ杖を使い、術式の魔方陣を書き始める。

(-57749,33233)

x軸とy軸を表しているようだった。

この数値は、異世界の現在位置、つまり移動場所を書いて、それに合わせてワープするっていう単純なものだ。

この情報は、おととい、魔王から聞いた。

私は、魔王の情報を半分信じているのだから、半分忠実に覚えてるんだ。

次に、魔王は、座標グラフを魔方陣式に書き始める。

これは、三角形と反三角形をくっつけた一般的な魔方陣だ。

そして、最後に、魔方陣周辺に暗号化魔術を描き始める。

暗号化魔術は、自分の願い事、つまり、今は異世界転移。

まずはローマ字で書く。

魔王はこう書いた。

Isekaimaouteikokusekaihetensoutenkaiwokaisi

異世界魔王帝国世界へ転送展開を開始。

そして、魔王はその言葉を目を瞑りながら喋る。

「異世界魔王帝国世界へ転送展開を開始......」

何度も何度も同じ言葉を語りかける。

それを5分ほど繰り返し、私は呆れていた。

「はぁ...こんなんで異世界に行けるわけないじゃん」

半信半疑の半疑が強くなってしまった。

やっぱり魔法なんてないんだよ。


ーー信じようと思う人には事実を教えてくれる。

だけど、信じない者には、現実を思い知らされるのだ。

沙邏は、現実を見たのである。

魔法なんてない。

1週間洗脳されていたことを後悔してしまった。

ていうか、信じる方がアホだっちゅうに。


「よし、術式終了。 あと30秒以内にこの魔方陣の中に入って、俺を手を再び繋げ」

私は、はぁ...ってため息をつきながら、早く終わってくれないかなぁって気持ちを持ちながら、魔王のいいなりになった。

あと20秒か。

「光が少し見えてきたぞ」

私は、半疑が完全なる疑の心を持つようになった。

私は呆れつつ下を見つめる。

「!?」

しかし、私の見た現実は、事実でもなく現実でもなかった。

魔王が書いた魔方陣周辺に、光の塊が集まってきている。

太陽の暑さが、全て私と魔王に当たってしまうほど暑かった。

例えるなら、自分が、死んだり溶けたりしない炎に飲まれる気分だ。

残り10秒。

信じられない現実と事実が、完全に具現化してしまった。

暗黒の闇まで現れてしまい、光と闇がバランスを崩し始めた。

「これは、いったい......?」

「これこそ、魔術の儀式。 異世界転移の方法で地球上最後に残された技だ」

「あなたは......何者なの?」

魔王は私の方を振り向いて、強さを象徴させる声で、目を閉じながら、語りかける。

「私は......この地球で生まれた存在ではな......」

時間だ。

もう0秒だ。

私と魔王は、手を強く握りしめ、魔王はもう片方の手で如何わしい紙を必死に守っていた。

この変態め、まじ意味わからん。


ーーそして、沙邏と魔王は、異世界。 魔王帝国へ転移した。

最初に見えた現実は、ガラス状の闇の世界だ。

周りは全て宇宙のような闇。

地面はガラス。 柱もガラス。

そして、奥底には、水色と黒色の水晶でできた椅子と、闇の身体を持った帝魔王がいた。

これらは全て現実だ。


「こんにちは、初めまして、私は沙邏といいます」

帝魔王は、椅子から離れ、私の方に近ずいてくる。

「ハジメマシテ、ワレノナマエハテイマオウ、オヌシハエロイエヲカクテンサイナノダロウ、サッソクミセテクレ」

私は、少し後ろに下がり心の中で引いてしまった。

魔王とか帝魔王って魔王族は変態が多いのかな?

「こちらになります」

私が後ろへ下がり、魔王が代わりに私の書いたエロい絵を差し出した。

すると......

「コ......コレハ.......コレハアアアアアアアアアアア!!!!!!」


ーー絶対終わるって!編へ続く。

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