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美術少女と異世界に住まう魔王の旋律  作者: Spell
Episode 05 現世界が侵攻
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第56話 ~侵攻される世界~ 親友の死

「魔道の洞窟かぁ……」

「大丈夫だよ、何かあったときは私が守るから…」

不安ながらも未奈ちゃんのたくましい声に私は心を安堵させた。

私と未奈ちゃんは魔道の洞窟の中へと入った。

「でもやっぱり暗いね……ちょっと怖いかも……」

「だね、とりあえず先に進もう」

進むこと数分……

途中で未奈ちゃんが立ち止まった。

ん?どうしたのかな……? 私は未奈ちゃんの近くへ寄る。

「未奈ちゃん…?どうしたの?」

「沙羅ちゃん、あれを見て」

「!?」


私が未奈ちゃんに向けられた指先を振り向くと…

「あなたは際藤…さん!?」

私のクラスメイト。

魔力が秘められた剣を構えて私たちに向ける。


「お久しぶりね」


「やっぱり、あなただったのね」


未奈ちゃんは武器を取り出し、際藤さんへ剣を向ける。


「あの人が残してくれたもの…それが吸収の火種よ」


「これがあれば、どんな技も無力となる」



「欲しいかしら?」

際藤さんは私に問いかけてくる。

私なんかが取れるはずもない。

だって……魔王や未奈ちゃんがいないと力が出ないし……

だけど、水陽の思い通りにはさせない! 私は剣を取り出そうと筆を入れるが……

あれ……?使えない!?

そんなぁ……!じゃあ、私は何もできないじゃない!

どうしよう……このままじゃ私……!

私が動揺していると未奈ちゃんが私の肩を叩く。

その目はとても強い目をしていた。

魔力の無効化、ということは闇の剣で立ち向かう。

MKKの継承者ならば、無理やりにでも突破しようというのか。


「魔力…そんなものなくても、私には沙羅ちゃんがいる、だから怖くない!」


「未奈ちゃん…」


「でも、どうしてあなたと一緒に戦う必要があるの…同じクラスメイトじゃない!」


際藤さんは目をつむる。


「クラスメイト?そんなのあなたたちが勝手に思ってるだけじゃない!私はずっと学校に通ってない、私の彼以外は誰も見て見ぬふりをしていただけじゃないか!」


「彼…橋川の手先として選ばれた兵…石間くんはあなたに殺されたんだっ!!

未奈っ!!!あんたのせいで…!!!」

際藤さんは剣を振りかざす。

私は未奈ちゃんがあの塔で大勢の兵を殺してきた。

その中に私のクラスメイトの恋人がいたってことなのか…


「っ……!!だからってあなたがこれを渡してくれなかったらもっと人が死ぬのよ!」

未奈ちゃんはなんとか受け止める。

「あなたにだけは言われたくない!橋川に振られたからって復讐のためにたくさんの人に危害を加えたじゃない!」

「うるさい!あんたも同じじゃないか!」

際藤さんは怒り狂いながら剣を振りかざす。

感情に任せてただ攻撃している。

でも、私は……何もできないの!? 私はただ見ているだけ? そんなの嫌だよ……!私も何かしたいよ……!


「お願い!もうやめて!こんなことして争ってる場合じゃないのよ!」

私は二人の争いに介入する。

だって、こんな戦い…報われなさすぎるから。


「際藤さん…未奈ちゃんがやってきたことは許されないことだ、だけど、橋川だって大勢の人を巻き込んだんだよ

だから、石間くんがそれに加担していたのなら…

それはしかたのないことなんじゃないの?」


「ふん、友達だからって味方するのもいい加減にしなさいよ亜瀬さんっ!!」


私の言葉は彼女には届かない。


それほどまでに彼女の中で怒りが支配しているのだろう。

なら、私がするべきことは一つだった。

際藤さんを倒してでも私は吸収の火種を手にして、水陽と戦うんだ! 私と未奈ちゃんは剣を構える。

だけど、際藤さんは剣を降ろした。

まさか……もう諦めた!?いやそんなわけない! じゃあ一体どうして……?

もしかして……魔力が切れた?いやそんなことはないはず……!

じゃあなんで?どうして? そんな疑問を浮かべていると彼女は口を開く。


「石間くんを返して…」


残された思いは、未奈ちゃんへの復讐心だけ。

復讐こそが生きる糧。

きっと彼女はそう思ってるのだろう。

その声はとても弱々しかった。

私は攻撃をやめて耳を傾けた。


「…未奈、あなただけは絶対に許さない、この火種は絶対に譲らない、私を救ってくれるのは水陽様だけだ」


彼女は剣を握りしめる。

未奈ちゃんを殺さんとばかりに睨みながら。

きっと、それが彼女の生きる糧なのだ。

もう戻れないなら……せめて私の手で……! 私はそっと筆を構える。

しかし、未奈ちゃんは私の手を止める。


「私を殺したら、この火種を沙羅ちゃんにくれる…?」


未奈ちゃんは両手をあげて、攻撃の体制をやめた。


「未奈ちゃん!?」


私は察した、未奈ちゃんは、際藤さんに殺されようとしている。

そのことを…


「いいわ、あなたを殺せば沙羅ちゃんへ渡してあげる」


「ダメだよ…こんなことしちゃ!!」

際藤さんは剣を握りしめて未奈ちゃんへ振りかざし始める。


「ごめんね、沙羅ちゃん…私はもうここまでみたい、あとはこの火種を使って水陽を倒してほしい」


「死なないで…!未奈ちゃんがいなくなったら私は…私はなんのために…!」


「これで終わりよ」


際藤さん…いや、奴は未奈ちゃんを剣とともに刺した。


「…!!ありがとう…沙羅ちゃん…!」


「私は…これでもたくさん殺してきちゃったから…ここで死んで、あなたを守れるなら、本望だわ」


「未奈ちゃん…!!」


奴は未奈ちゃんの貫通した剣を引き抜いた。

未奈ちゃんは涙を流しながら、最後に私に笑ってくれた。


私は手を伸ばす。

だけど、届かない。

未奈ちゃんは最期に私に笑顔を向けてくれた。

そして、静かに目を閉じた。

私は……未奈ちゃんを失ったんだ……

心がどんどん絶望へと変わっていく。

もう……嫌だよ……!こんなの嫌だ! そんな私の心境など知ったこっちゃないと、奴は剣を抜くと、私の方へ近づいてくる。

「あはは…!あはははははあはははあははははははははは!!」


「ほら、これが火種だよ、受け取りな」

奴は火種を投げ捨てて、立ち去ろうとしていた。


「…どうしてよ、どうしてこんなことできるのよ…」


「あんたは被害者面してるみたいだけど、私の苦しみなんてそんなもんじゃないからよ!!

悔しかったら、この火種で私たちを殺してみな」


奴はそう言い残し去っていった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私は未奈ちゃんの亡骸を抱えながら、帝魔王様の元へゆく。


(未奈ちゃん…償いのために死を選んだの…?)


未奈ちゃんとの思い出がこみあげてくる。


「未奈ちゃん……私、嫌だよ……!」

私は泣きながら彼女の亡骸を帝魔王様の元へ渡した。

「これが例の火種か」

帝魔王様はその火種に触れると、吸収の火が灯る。

「これで宝具が手に入るんだな」

「はい……でも、もう……」

「未奈は死んだのか」

私は頷く。

もう彼女はこの世にいないんだ……


未奈ちゃんの気持ちは受け取った。

絶対に水陽と際藤を殺してやる。

あいつらのせいで私の親友は死んじゃったんだ。


ーーーーー絶対に殺してやる


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