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美術少女と異世界に住まう魔王の旋律  作者: Spell
Episode 04 確かな日常
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第51話 〜静恵さんの過去〜 進路

静恵は、佐田の面倒を適当に見て、1日が終わった。


「はあ...」


疲れてしまった。

なんで私の相手ばかりするのか。

という感情が静恵に溢れていた。


「...あ」


静恵は、学校の帰り道。

絵の会社を見つけた。


「スズミ社...」


静恵にとっては、夢のある会社だった。

高校を出てすぐにでも就職したい。

大卒なんて肩書きなんて知った事じゃない

今の夢を叶えたかったし、早く大人になりたいと思っている。


「この企業に入れたら夢があるだろうな」


しかし、絵を描いて生活できる人は

一握りしかいない。

夢はあくまでも夢でしかない。

サッカー選手を目指そうとしている人だって

人生を全て懸けて選手になっているし

なったとしても足を怪我したらおしまい。


静恵は絵に人生を使っている。

それが祖母に対する憧れと、夢があったから。


「早く大人になりたいな...」


静恵は、一人つぶやく。

今すぐ、学校を終わらせ、社会の翼が欲しい。

世間では大卒ばかりの世だが、

高卒でも実力さえあればどうとでもなる。

むしろ、大卒という肩書きに驕って

仕事ができない人間の方が世の中には多い。


だから大人になりたい。

学歴という檻から実力という翼が欲しい。



静恵は進路希望の紙を貰っていた。

将来の分岐となる紙だ。

2年生の時点でもう決まっている。

静恵は進学はしたくない。

就職したいと思っている。

だから母に、相談することにした。


「お母さん、ちょっといいかな」


「なに?」


静恵は進路の紙を見せた。


「進路の紙、私、ここに行きたいと思ってるんだ」


「スズミ社...?って就職したいの?」


「うん、私の絵を見てもらいたいし

おばあちゃんみたいになりたいから」


「...やめたほうがいい」


母は大学に行かずに就職をすることを拒んでいた。


「どうして?」


「お母さんもね、昔、絵を描いてたんだけど

絵が評価されずに、就職に失敗したことがあった

だから、あなたにはそういう風になってほしくない」


「...そうだったね」


母は祖母と同じように絵を描くことに夢中だった。

だが、世間は母の絵を評価しなかった。

絵で生きていくことはどれだけ大変か

それを知り、現実の難しさを知った。

だから、母は第二の道として

大卒という肩書きを手に入れろ

と言っているのだ。


「あなたがどれだけ絵に夢中になっているかは

知っているわ、だけど、それで私の

二の舞になってほしくないの

だから、大学に行きなさい」


「...夢を諦めろって?」


「夢は夢でしかない、

現実を知った私だから言えることなの」


「なにそれ、そんな事で私がこの道を

諦めるとでも思ってるの!!

やる前から諦めるなんて嫌だよ!」


「やってみないとわからない、そう言いたいのでしょ?

お母さんもそうだったわ

今の静恵をみてると昔の自分を思い出すわ」


「じゃあ、私が変えてみせる

おばあちゃんみたいな絵師になってみせる」


静恵は、進路を変えるつもりは無かった。

厳しい現実が待っていても、乗り越えてみせる。

自分の絵で世界を、会社を変えてみせる。

そんな思い上がりのような、自惚を抱きつつも

自分の絵と大義を胸に絵を描き続ける。


...でも、本当に母の言っていることは正しかった。

静恵がこのあと待ち構えている現実は

絵を描く事を諦め、辛くて果てしない現実が

何年後かに襲ってくること。

そんなことを知らず、静恵は絵を描き続ける。



静恵は次の日に、そのままの進路希望紙を渡した。

就職して、社会の一員となる。

そして絵で食べていけるようになれば

母も認めてくれるはず。


この頃の静恵は大言壮語に埋められていて

怖いもの知らず。


「ふん、自分の人生なんだから」



「よお〜静恵〜」


「何度も何度も...今度はどうしたの?」


また例の男子生徒か...

と、静恵はため息混じりに答える。


「なあ、お前の進路ってどうしたん?」


「私は大学より就職がいいから、就職にした」


「あ、そうなのか?俺もだぞ」


「そう、どんなところなの?」


「工場勤務さ」


「私はスズミ社」


「学校の途中にある絵の会社だよな、やっぱお前らしいわ」


「私は絵を描き続けたいから、

要件が済んだらまたどこかに行ってちょうだい」


「はーい」


佐田は自分の席に戻り、静恵は再び自分の

絵の世界へと浸った。


しょっちゅう絡んでくるこの佐田という男。

なぜ、こんなに絡んでくるのか。

静恵はウザがりながらも、集中して絵を描く。


2年後には社会人...というか、来年には

就職のためにスズミ社に内定を貰わなきゃいけない。

母は反対していたが、それでも自分の人生だから

自分の意思で進路を貫いた。


後悔はしない。

むしろ、自分の目標としているものと

異なる人生を歩む方が後悔してしまうだろう。


だから、静恵は絵を極める。

プロになりたい。

自分の感性が世間に合うかどうかは知らないけど。

でも、自分の後悔しない道を選びたい。


だから、静恵は自分を貫いた。



そして、母に反対されながらも

静恵は高3の春に、スズミ社へ赴いた。


続く。

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