第50話 〜静恵さんの過去〜 I’m Proud
10年前、静恵は沙羅と同じく17歳の高校生だった。
沙羅と同じように絵を描くことが大好きな少女で、絵を描くこと以外はどうでもいいと思う人だった。
「...なあ〜静恵〜」
「...」
人に話かけられても相手にしない。
無視している。
「やっぱりダメかあ〜つまんね〜の」
「...」
絵を描く事以外、興味が無かったので
偏屈と思われ、友人など当然いない。
相手にする人は面白半分に構ってくる男子だけ。
女子からも変な人と思われ、学校の成績も
美術と数学以外は内申が1か2。
授業の話なんて当然聞かない。
美術の時間だけは真面目。
どうして、そんなに絵にこだわるのか...
それは...
「......」
静恵は、学校の帰り側、墓石の前に線香を付けた。
これは、祖母の墓石だった。
「おばあちゃん、今日も私は絵を描いてるよ
今日はこんな感じの絵にしたんだ」
静恵は、祖母に今日の絵を見せた。
川の絵だ。
「私、どんなに辛い思いをしても
おばあちゃんみたいな絵描きを目指したいんだ
だから見ててね」
静恵の祖母は、立派な絵描き師だった。
自然の絵を描く事にこだわりを持ち
母も、同じような絵師だった。
だから自然と静恵も同じような夢を持っていた。
祖母のように絵を描くことを仕事にしたい。
静恵にとって、祖母は誇りだった。
「じゃあ、そろそろ帰るね」
静恵は家に帰って、自然の絵を描き続けた。
そして気がつけばもう午後11時になっていた。
明日も学校だし、明日の準備もしなきゃいけない。
「そろそろ寝る準備しなきゃ」
静恵は眠る準備をするべく
自分の引き出しから教科書の準備をしたら
すぐさま寝た。
次の日の朝、再び学校へ向かう。
歩く度に友達と仲良く
話している姿と声が静恵の環境音として響く。
静恵にとっては無縁の音。
そんな環境音が嫌なので、イヤホンで耳を塞ぐ。
音楽で環境音を潰す。
「...」
「なあ〜」
「...」
「なあなあ〜」
「えいっ!」
「!?」
いつも静恵にちょっかいかけてる
男子がイヤホンを取った。
「ちょっと...」
「両耳イヤホンは危ないぞ〜」
「...余計なお世話、ほっといてよ」
静恵は駆け足で男子生徒を避けた。
しかし、彼もついてくる。
「おい〜静恵〜」
「はあ...なに?」
「お前、なんでいつも一人で絵なんて描いてるんだよ」
馴れ馴れしいな。
いつもこの人に話しかけられてるし。
鬱陶しいからそっけなく言い返す。
「その呼び方やめて、私は好きで描いてる、それだけ」
「やっぱ好きなんだな〜」
「そう、だから私に構わないで」
静恵は彼から逃げるように学校へ走った。
「...全く」
静恵は2時間目の授業は数学ということに気づき
教科書とノートを用意した。
(次は数学か、まあ美術の次に好きな教科だし頑張ろう)
「授業始めるぞ〜今日は三角関数の加法定理を...」
(あ〜咲いたコスモスね、今日はコスモスの絵でも描こうかな
コスモスとカオス、なんかいいな)
そんなことを考えてたら
休憩時間。
コスモスの絵を描き始める。
128色の色鉛筆を使いたいが、そんな大きなものは
持ち運びに困るので、やむ終えず36色で妥協した。
絵の塗り具合によっては色々な色質を再現できるので
36色でも間に合う。
コスモスはピンクと黄色、緑の系列を使うことになるので
色の薄い順番で塗っていく。
影の部分は濃く、光彩のある部分は薄く描く。
写真を見ながら描くと上手くいく。
「...完成」
休憩時間は昼食を食べずにも絵を描く。
「おーい」
また彼だ。
「またあなたなの?」
「昼食食べずに絵を描いて腹減らないのか〜?」
「食事は食べているわ、栄養ドリンクでね」
「エナジードリンクじゃん」
「なに言ってるの?私は食事という時間を省いて
ドリンクで済ましている、これで人生の
貴重な時間を短縮できる」
「マジか、栄養失調かカフェイン中毒になるぞ」
「まあ、確かにこれだけだと身体が持たないね
じゃあ後でなにか食べることにする
さ、用が済んだなら自分の席にでも着いて」
「は〜い」
人生は1秒1秒の積み重ねだ。
そして時間を無駄にするということは
人生を無駄にすることと同じこと。
だが、栄養を取らないと身体がもたない。
だから、彼の言うことも一理あるわけだ。
サラダだけでも食べて栄養をつけないと。
次の日。
「いただきます」
静恵はちゃんとサラダを買って食べた。
サラダチキン付きなのでタンパク質も良い。
栄養もあるので、集中力も上がるだろう。
「...さっさと食べて続きを描かなきゃ」
「お〜今日はちゃんと取ってるじゃん」
「まあ、栄養失調にはなりたくないから」
「ところで、俺の名前わかるか?」
「え?少年Aじゃないの?」
「俺は犯罪者か!」
「冗談、佐田 陽日くんでしょ?」
「そうだ、俺が佐田さ〜」
「んで、今日は何のよう?」
「俺の名前を知ってるか確認しただけ」
「あっそ」
続く!
なんて中途半端な終わり方なんだ←




