第49話 〜1学期の終わり〜 一時撤退
渾身の一撃を水陽に発し、闇の衝撃と共に火花が飛んだ。
「どうだ...俺の一撃技、少しは効いただろう」
水陽は、先の衝撃により、ボロボロとなっていた。
傷口を腕で支えながら、魔王を睨む。
「...そうですね、たしかにこの一撃は痛かったです...
ですが私はここで死ぬわけにはいきません」
水陽は空に指を指して、白い雲を呼び寄せた。
雲は時期に光の粒となり、水陽を包む。
「あなたもさっきの技で魔力が尽きたのでしょう
ここは一時撤退ということで、さようなら」
「っ待て!逃げる気か!!」
水陽は魔王の言葉を聞く前に姿を消した。
「...疲れたな、凄く疲れた...俺も一度戻るか...」
魔王は結界を見つめながら、疲れを表した。
「この結界は残しておこう、これで水陽からの襲撃も耐えられるだろう...」
次の日。
「ふああ...よく寝たあ」
私は夏休みの日差しを浴びて、目が覚めた。
「さて、ゲームでもしましょうかね」
私は部屋の中でゲームで遊んだ。
いつもやっているネトゲだ。
「未奈ちゃんは〜?」
ログインしているようだ。
「いるよ〜」
朝からゲーム。
これが私のゲーム魂よ。
「やっほ〜」
「あ、そういえばこの森の近くにHNMの
オーディーンっていうモンスターがポーンされたらしいよ」
オーディーン、不定期に現れる
ハイノートリアスモンスター。
攻撃力もHPも並みの強さではない。
私も一回戦ったことあるけど、一瞬で死んだ。
「私一人じゃ心細いから未奈ちゃんも一緒に狩ろうよ」
「そうだね、じゃあ私はヒーラーでいくね」
「うん、それじゃあ私はソーサラーで」
私と、未奈ちゃんはパーティを組んで役割を決めた。
と言っても二人しかパーティいないから
ドールフェイスというシステムを使って
残りのパーティメンバー六人をNPCキャラにする。
これで擬似的にフルパーティー構成になる。
けど、人間が操作してるわけじゃないから
能力は低め、こういうキャラは回復役よりも
攻撃役で責めて、私達は回復するのが良い。
「さーて、行きますか!」
3時間後、私達は約100人のハイレイドで
オーディーンを倒すことに成功した。
「お〜時間かかったけど、やったね!」
「そうだね!」
報酬アイテムはリデルブーツ
パラメーターが20%上昇して、
常にHPが回復する効果を持つ。
「すごいなあ、チート装備じゃん」
AGIやSTRみたいなパラメーターが
1000だったら1200で200も上昇するのは強い。
しかもHP回復効果付き。
「このゲームにロットシステムがなくて良かったあ...」
「そうだね、全員アイテムが貰えるシステムは良心的だよね」
「じゃあそろそろ落ちるね〜」
「うん、お疲れ様〜」
「ふう」
私はゲームをログアウトして、朝食を取ることをすっかり忘れていたので、軽くパンを食べて机に戻った。
絵を描かなきゃ。
あと16枚分の絵。
今日は美味しいお菓子の絵でも描こうかな。
クッキーの乗ったアイスクリーム。
じっくり描きますかね。
「でっきたー!」
一日で完成した。
あっという間だ。
昼食も夕食も取って終わり。
「お風呂入って寝よ」
こんな風に私の日常は続いた。
夏休みの間。
日常生活を過ごすことがどれだけ久しぶりか。
魔王と出会った1学期は波乱の日常で
目まぐるしいほどに忙しかった。
けど、夏休みのこの時間は大切にしたい。
だから、私は真面目に絵に描きふけた。
絵が友達。
家族のようなものだ。
私は、夏休みの途中、静恵さんに再び会いに行った。
20枚の絵を全て描き終え、夢を叶えるために。
「20枚...本当に完成したんですね、お疲れ様です」
「は、はい、一生懸命描きました」
「すごいです、大変だったでしょう...」
「そうですね、描き続けるのはとても大変でした」
静恵さんは私に一枚の紙を差し出した。
「これは...?」
「私が昔、描いた絵です」
「虹ですか?」
虹の絵。
青色の空と虹色に光るプリズム。
これは、虹の絵だ。
「そうです、私、昔はこういう絵をよく描いてたんです
自然に関する絵を描いてました」
「どうしてですか?」
「...」
「昔、私はあなたと同じ夢を抱いていました」
「?」
「私は、アシスタントとして仕事をしていましたが
私も昔はひとりのイラストレーターでした」
「そうなんですか?」
「はい、私も昔、絵を描くことが好きでした
昔から、絵は友達のようなものでした」
「でも、私は絵を描くことをやめてしまいました」
「どうしてですか?」
「知りたいですか...?私のことを」
静恵さんは、目を閉じて、私に語ろうとしていた。
絵を描くことの現実について...
「え...ええ、なにかあったんですか?」
「それはですね...」
続く!




