第48話 1学期の終わり ~炎の海~
2週間ぶりに異世界に戻ってきた。
魔王は、町の状況を確認するべく、夜の町の中を回る。
「異常なし…?」
水陽は、手を引いたのだろうか。
あの後、体制を整えて、しばらく大人しくしようって
ことなのだろうか。
「しかし、妙に静かすぎる、住人がほとんどいないではないか」
夜だから、みんな寝てるのだろう。
と、考えていたのだが。
可能性としてはもう一つ残っている。
それは…
「警戒…?」
警戒して、町の侵攻を防いでいる。
あの後、帝魔王様は、警戒態勢で水陽からの侵攻を防ぐように言われていたらしい。
と、そんなことを思っていた時
魔王の視界に、水色の女が…
「な…!?」
「こんばんは」
現れたのは、水陽。
刀を持ち、泡で天変地異を起こすことができる少女。
「何しに来たんだ!」
魔王は剣を両手で強く握りしめて
水陽を町に侵攻する怪物のようににらみつける。
見た目は、少女ではあるが、MKK配属の、一度は背中を見せた敵。
「あら、私はただこの町を周回しに来ただけですけど」
「じゃあ…その刀はなんだ!?」
「知らないんですか? じゃあ教えてあげますよ」
水陽は泡と刀を振り回した。
「…なっ!?」
近くにあった木が一瞬で切り倒され、木っ端微塵となった。
「やはり、お前はこの俺の故郷を滅ぼしに来たのか!」
早く来ておいて正解だった。
沙羅の考えはたしかに理解できるが、このままナイトメアを放置していると
なにをするかわからない。
魔王は単独行動で、町の侵攻を防ぐことは間違っていなかったのだ。
「ええ、すべてを滅ぼして、MKKを丸ごと支配して、すべてを私のものにするのです
前、お亡くなりになった男の人、橋川さんでしたっけ?
あの男を切り捨てたことにより、魔力はすべて私が頂きました
そんで次のMKKを決めるらしいですが、まだ決まってないので、どうですか?
あなたも私と共に同じ道を歩いてみませんか?
同じ世界を渡ってみませんか?」
「な…!?」
「私は、あなたがこの町に戻ってくるのをずっと待ってたんです
あなたの弱さを克服するためには、MKKになるのがぴったりですよ
だから、私を張り合うためにはMKKになるべきでしょ」
MKK、魔法の最大組織。
現世界とナイトメアを分割したのもMKK。
平和な世界と修羅の世界を半分に割ることにより
争いを効率的にすることが目的。
だからといって、完全悪な組織というわけではない。
交戦派と穏健派が混ざり合って混沌としていることに変わりはないが。
「…誰かを助けるためならば、その道もかまわないだろう
MKKの絶対的な力により、すべてを変えることも可能ではある
だが、俺はそんなものに頼るつもりはない
自分の力でなんとかできない力なんて必要ない」
「…はあ…きれいごとばっか言ってるから負けるんですよ
この世界は弱肉強食、つまり、強さこそ絶対的な支配
どんなにキレイな言葉で並べていたとしても
力をひねりつぶすことなど、できるわけがないんですよ」
「ふん、それはどうかな」
「そこまで言うなら、相手してあげますよ」
魔王は浮遊術式を発動させ、足を飛空へ浮遊させた。
「空で戦うつもりですか?」
「ここだと、周りを巻き込んでしまうだろ」
「…どうせ負けるくせに、なにを言ってるんだか」
水陽は泡から炎の玉を魔王に投げ飛ばした。
「同じ手には引っかからないぞ!」
魔王は剣を泡と水陽めがけて、割った。
泡から、炎が噴き出て、戦いの花火を作り上げる。
「…くっ!!これじゃあ火花が地上に落ちてしまう!」
魔王は、建物強化魔法を唱え
ブニダーズ全体に結界を張った。
これにより、魔法を防ぐことに成功した。
しかし…
「今ので魔力を半分ぐらい使ったんじゃないですか?」
「いいさ…みんなを巻き込むわけにはいかないからな」
「…そんな甘い考えだから、無謀なんです」
水陽は3色の泡を飛ばした。
三属性の魔法。
火、水、雷。
魔王も、迅速な結界を張り起こし
リフレクションで泡を跳ね返した。
「っく…!!」
水陽の着衣していた服に、傷をつけることに成功した。
水陽は、傷ついた部分を手で支えながら
魔王をにらみつける。
「なるほど、ただの無謀者というわけではないんですね
MKKでもない者が私に傷をつけるなど、実質困難なようなものですからね」
「だから言ってるだろ、同じ技には引っかからないってな」
空中戦が続いていく。
夜の火の海と化した修羅が。
「それにしても、あなたの結界はなかなかのものですね
こんなに魔法を使ってるのに
町には傷すら付かないとは…」
「用があるのは俺だけなんだろ、この町を巻き込むことは俺が許さないからな」
「そうですねえ、あなたがMKKになってくれないなら
もう終わりにしましょうか」
水陽は再び、7色の泡を呼び出した。
この前やられた技だ。
天変地異を発生させ、相手を葬る最強技。
魔王は、夏休みの空いた時間の間。
作戦を考えていた。
その策は…
「同じ手には乗らないって3回も言ってんだよ!
食らえっ!!ナイトメア…カタストロフィ!!!!!!!!」
魔王は相手の攻撃を自分の最強技と重ね合わせることで
相打ちを習うことにした。
前は完成できなかった技だったが
夏休みの鍛錬により、生み出した究極の最終技を
水陽にぶちまけた。
闇と破壊をすべてにかけて、魔王は剣に秘めた
禍々しいが、勇ましい、正義を掲げて
水陽にぶつかった!
「これで終わりだっ!!!!」
続くっ!




