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美術少女と異世界に住まう魔王の旋律  作者: Spell
Episode 03 好きになってしまったその日から...
45/69

第44話 37564 〜ワカイ〜

「未奈ちゃんっ!!」


私の前にいたのは

私同等にボロボロとなり、倒れている

未奈ちゃんだった。


私は顔が崩れそうなほどに溢れる滴で

倒れた未奈ちゃんを抱き抱えた。


「...う...沙羅ちゃん...」


「未奈ちゃん...!!」


「ごめんね...私、振られちゃった...

こんな私なんて価値ないよね...

やっぱり私はMKKに相応しくなかったんだよ」


「...そんなことないよ

私は、未奈ちゃんに助けられたんだよ

昔、私が運動できないことを周りに責められた時

未奈ちゃんだけが私を庇ってくれた...

嬉しかったんだ

だから、今度は私が未奈ちゃんを助けたい

...橋川にフラれたって私は未奈ちゃんのことを

誰よりも愛してるよ...」


「沙羅ちゃん...」



未奈ちゃんは泣き叫んだ。

身体から染み渡る痛みの数々。

辛かったんだよね。

寂しかったんだよね。

色々な人に白い目で見られて、

好きな人にも振られて。


だから、私が未奈ちゃんを助ければよかったんだ。

いろんなことがあった。

共に分かち合った親友。


だから、私が痛みを受け止めてあげたい。



「...もう大丈夫だよ、私と一緒に行こう」


「うん...うん...!!!」


私と未奈ちゃんは、

改めて友ということを再認識した。


「さあ...橋川を止めましょう!」


「うんっ!!」


手を握りながら、確かな絆を連れて

一歩一歩を確実に歩み始めた。




「さあ...出てこいっ!!究極の不死鳥...

フェニックスっ!!!」


塔の最上層に潜む、化学エーテル。

エーテルの量が最大の儀式を可能とさせる。


エーテルが炎とともに、弾け飛ぶほどの勢いで

フェニックスが呼び出された。


「...汝が私を呼び出したか」


「おお...これがフェニックス!!」


「ああ、俺が呼んだ」


「...私は、汝に従うことを誓おう

なにをすればいい」


「世界中の人々に、俺の洗脳魔力を拡散せせ

世界中の者に対し俺を進行させるんだ」


「御意」



フェニックスは炎と共に

羽を羽ばたかせ

塔を突き破り、魔力の粉を振りかざす。


「これで、計画は成功ですね

さて、そろそろ美音さんの

元へ向かうといいでしょう、好意を示すはずです」


「そうだな」





「待ちなさいっ!!」


私は筆を強く握り、強い声でそう言い放つ。


「...もう遅いさ、あそこを見ろ」


「何ですって!?」


私は破壊された塔の破片から

不死の鳥が羽ばたきながら粉を振りまいている

光景をみた。


「あの粉は、強力な洗脳魔法でできている

もはや俺を止めることはできない」


「それでも止めてやるわよっ!!

未奈ちゃんと一緒なら絶対に負けないわ!!」


「行くよっ!!」


「うんっ!!」


私は最強の剣、エクスカリバーとイージスの盾を

迅速に描き、更に、

水の精霊ブルーソウルを呼び出した。


未奈ちゃんは、闇色に染まった剣に

回復しきった魔力で

化学エーテルを壊すべく、疾風迅雷の剣技を放った。


私も同時に、ブルーソウルの水術の発動指示をさせ、

全速でエーテル目掛けて走った。


「沙羅ちゃんとなら...行けるわっ!!」


「はあああああああ!!!」


光の剣と闇の剣が

同時に発動させ、エーテルは完全に破壊された。


「な...!?」


「さあ!これでフェニックスは消えるはず...!

諦めなさいっ!!」


水陽と橋川は、御手を繰り出され、後退りした。

外を見れば、フェニックスが消えていく姿が見える。


「なぜだっ!!なぜ俺たちの計画が...

こんなあっさり!!」


「偽りの信仰心と忠誠心と愛情が

本物の愛情に敵うわけがないからよ」


「な...!!」


未奈ちゃんは、橋川を哀れみの目で見つめる。


「橋川くん、あなたも私も偽りに惑わされていたのよ

だから、美音さんの愛情も偽りだし

ここにいる者全員の忠誠心や愛情も偽物」


「...うるさいっ!!

俺はこうやって忠誠心を呼び起こすことが

価値のあるものだと思ってる!!」


未奈ちゃんは首を振った。


「ううん、それは違う

あなたはいくら偽りの魔力で満たされても

あなたの愛は偽物、決してあなたの心は満たされない」




「そうですよ、決して満たされることはありません」


後ろを向くと美音さんが、

橋川の方向へ近づいていく。


「私はあなたのことは好きじゃありません

無理やり奪う愛なんて、

そんなものはただのまやかしだからです」



ーー嘘だ...


ーーそんなの...嘘だあああああああああああああ!!!




塔が揺れだす。

橋川の全エネルギーが

塔の暴走を発動させた。


「橋川様...!!」


「くっ!とりあえず私は撤退します!」


水陽は泡を呼び起こし、空中落下をし、姿を消した。



「これはもう止められないな」


「魔王!?」


「さあ、美音、沙羅、未奈

俺たちも脱出するぞ

MKKが精神の崩壊により、この塔が砕ける」


「どういうこと!?」


「MKKの力の暴走だ

彼はもう、長く持たないだろう

だからここを出るんだ」


「...わかった」



そして、私たちは塔を出た。

揺れる塔。

炎が漂い、黒い煙があちこちに散乱する。

殉職で死んでいった兵も、煙と共にチリと化し


もう、栄えていた塔の面影はそこにはなかった。



「これで、いいのよね」


未奈ちゃんの瞳に映る炎が、

橋川の断末魔を聞いたことにより、動揺をしている。


「...ああ」


魔王は、未奈ちゃんの肩を持ち、

倒壊していく塔を見つめる。


「あの人、本当に愛されたことって

あったのかな」


美音さんは、小さくつぶやく。


「...わからないわよ」




そして夜が開けた。

私たちは、橋川の亡骸を、土に入れ、墓を作った。

こんな男だからって、この男も

愛情が欲しかったのかもしれないと思ったからだ。

だからせめて墓を作って、

私たちだけでも、この男を救ってあげたいと思った。


「美音さんも...いいの?」


「ええ...この人のことは嫌いだったけれど...

それでも私を愛してくれた人だった...

だから、せめてあなたの墓を作っておきたいんです」


「そう...」



こうして、長き恋の戦争が終わった。

私たちは、3日ぶりに現世界へと戻った...


episode 3

好きになってしまったその日から 〜37574編〜

おしまい。

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