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美術少女と異世界に住まう魔王の旋律  作者: Spell
Episode 03 好きになってしまったその日から...
43/69

第42話 37564 〜生きる〜

私ってそもそも何のために

戦ってるの?

友達のため?

ナイトメアを救うため?


じゃあ戦って死んだ私はいったい

なんのために生きていたの?


いやだ、まだ死にたくない。


私は死の果てで懇願した。

私自身の命が終わっていく瞬間を薙ぎ払った。



ーーそして、光が私を包み込み、私は、光を追った。



「...生きてる?」


「沙羅っ!!」


目をゆっくり開けると、そこには魔王がいた。

痛々しいほどに怪我をしている。

私も、身体中のあちこちが痛む。


どうやら、なんとか一命を取り留めたようだ。


「...大丈夫か!」


「あ...うん、なんとか生きてるみたい

魔王の方こそ大丈夫なの?」


「大丈夫さ、この程度の怪我...

いままでこんな風になったのは何度もある」


「そ...そう、よかった」


そういえば、水陽と名乗る少女がいなくなっている。

とどめを刺していれば、私たちは死んでいた。

不幸中の幸いだ。


「で...フェニックスの塔はこの先なんだけど...

監視カメラとか、敵兵が駐屯してる可能性もある...

そして私たちの体はもう満身創痍

怪我が治るまで一旦引き返したほうがいいわ」


「もう少しだったのに...

仕方ない、戻るか」



ーーそのことは私に任せて。



「!?」


この声はどこかで聞き覚えがある。

普段から聞く声だ。

私は空を見上げた。

そこに、一人、空中に浮く少女が一人。

そして、私は理解した。

その空中に浮かぶ少女の正体を...


「未奈ちゃん!?」



魔法を解き、華麗に着地をした未奈ちゃんは、瞳を閉じ、私たちへの結託の手を出した。


「うん、私が代わりに橋川くんの元へ行ってくる」


未奈ちゃんは

腕に紅色の龍の刺繍。

魔力漂う暗黒の衣を羽織り

そして、真っ黒で、光沢さを微塵も

感じさせないような剣を握っていた。


強い表情で、恨みに満ち溢れた姿。

もう、あの頃の未奈ちゃんはいない、

という現実が明確となった。


「未奈ちゃん...どうして」


「私の家には、古くから言い伝えがあったの

遥か昔、世界は一つだった。

そして、戦争が絶えない世の中となり

お互いが魔法を共存していた

それによって、世界の多くが破滅への道へ誘われ

このままでは行けない、と決意したMKKが

世界を二つに割った」


「うん、そうだけど...

それとなんの関係があるの」


「私は2人目のMKKの継承者

つまり、今の私がMKK」


「ずっと存在してないと言われていた

2番目の継承者が...あんただったのか!?」


魔王は、顔を強め。

強い声で未奈ちゃんに問いかける。


「私は小さな頃に記憶を消されていた

だが、ある夜、私の部屋の奥底に

隠されてた本見て、

私がMKKということを思い出した

私は、魔力の力も感受性も凄まじく

全てを破壊してしまうから

だから、この力の存在を現世界で強制的に使えなくし

私自身も魔法を使えないようにし、記憶も消す

そうすれば、実質的に私が

ただの一般人ということになる」


「でもこの力さえあれば

橋川くんを止められる、だから、沙羅ちゃん。

私に...任せて」


未奈ちゃんは、そう言い残すと、

フェニックスの塔への方角に飛んでいった。



「未奈ちゃん...」


「これはまずいことになったな」


「どういうこと?」


「彼女は、本気で殺そうとしている...」


「誰を...?」


「決まってるだろ、杉浦の...」





未奈は、フェニックスの塔へと着地した。


そこには案の定、兵士が駐屯していた。


「そこの女、ここは立ち入り禁止だ、ここを去れ!」


未奈は、剣を掲げ、紅蓮の龍の刺繍を見せた。

刺繍は光り、兵士の体全体を照らす。


「三等兵か、いいからここをどいて、私が橋川くんを止めるんだから」


「させるか!!」


三等兵は未奈に対し、槍を向けた。


「...どいて」


「帰れっ!!」


「...仕方ないな」


未奈は、剣を闇色に染め

己の力を貯め、刹那で打ちのめした。


「うわああああああああ!!」


三等兵は跡形もなく消え

未奈は、塔を登った。


階段を少しずつ、確実に登る。

塔の中で伝わる冷たい風が

未奈にとって殺意の心を灯す。



「大変ですっ!橋川様っ!!」


「なんだ、水陽」


「謎の女が、このフェニックスの塔へと

侵攻を図っています!」


「モニターを見せろ」


「はいっ!!」


「な...」


モニターには同級生の少女。

執拗に追われ、忌み嫌っていた女。


「あの女...こんなところまで...

ったく、しつこいやつだ、脈なしだということが

まだわからないっていうのか!!」


「非戦闘員以外の物を全員出撃させろ!!

今すぐにでも引き返させろ!!」


「はいっ!!」



警報が塔に響き渡る。

そして、未奈は複数の兵に囲まれる。


「未奈、貴様は橋川様に会う

資格なんてないっ!!今すぐ立ち去れ!!」


兵士が一斉に槍を向け、フェイントとして

上等兵が炎魔法

エターナル・イヴ・フレイムを唱えた。


未奈の足元が炎に包まれた。


「...どいて」


未奈は一瞬で炎をかき消した。


「な...!?」


「この程度の攻撃、私にとっては

ただのおもちゃ」


「さあ、武器を捨てて、そうすれば、

あなたたちの命は保証しましょう」


(あの上級魔法を...一瞬で...)


(くっそ...このまま引き下がったら兵士としてのプライドが...)


(俺たちは何のために橋川様を信仰していたんだ...

そして何年かけて、この塔の組織を作ったんだ...!)


(このまま引き下がるわけにはいかないっ!!

ここで引いたら橋川様の顔が立たない!!)


「引けるかあああああああああああ!!」


無謀にも兵たちは未奈に一斉に襲いかかる。


「...じゃあね」


未奈はそれを言い残すと、

剣を一回転させ、兵士の体を真っ二つに割った。

その時間は5秒。

未奈は5秒で人を20人殺した。


未奈はそのあとも、どんどん塔を侵攻していき

最上層の手前まで登った。

ここまでで殺した兵は200人。

大量殺人だ。

だが、そんなことをしても未奈の目に

怒りと憎しみは消えない。



「この力、あなたもMKKなのですね」


最後に立ちはだかったのは、水陽。


「...力を得たのは最近です」


水陽は、刀を握りながら

微笑む。


「あなたの力、まさしくMKKのみならず

憎しみの力でも動いていそうですね」


「それが何だっていうの」


「ここは通しません

私は橋川様の前の最後の砦だと思ってくださいな」


「さっきの少女と魔王みたいなことに

なりたくなければ

早く出て行ってください

いくらあなたがMKKとはいえ、

私もMKK

目には目を、刃には刃をなんてそんなことして

なんの得になるんですか?」


「それは、私からも言える、

お互いの強さが互角ならば、

この戦いが不毛で終わることなんて承知してる

けれど、私はどうしても許せない相手がいる

だから、私は、ここを通らなければならない」


「...はあ、また刀を向けなければならないのですね

なら、この身をかけても橋川様をお守りしなければ

なりませんね」


「私は、橋川くんと話をしたいだけよ」


「信用できません」


水陽は7色の泡を一斉に呼び起こした。


「この泡であの少女らは死んだんですよ」


「...残念だったわね、あの子たちは生きてるわよ

ちょっと詰めが甘いのよ

あなたは、あの子たちを見くびりすぎた

いくらあなたがMKKとはいえ

あの子の生命力を甘く見ないで欲しい

私にとっては沙羅ちゃんは家族と同じくらい

大切な人なんですよ」


「なら、あなたが戦って敗れた時、

その子らも改めて殺しますね」


「ほざくなっ!!!!!!」


未奈は漆黒に染まった剣。

つまり、ダークネス・エーテルヴレイド

に禍々しいほどの魔力を貯め

水陽の泡を一つ一つ破壊して行った。


「ほう、やはりあなたは強い、

しかし、怒り任せでそんな技を使っても

私は倒せませんよ

それに泡はいくらでも出せるんです

ここの塔は私に順応してる

ここまでのエーテル作用を放つ塔は初めてなんです

だから、私の魔力は無敵なんですよ」


「なんですって...!」


ーーさあ、今度は私の番です




続く...

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