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美術少女と異世界に住まう魔王の旋律  作者: Spell
Episode 03 好きになってしまったその日から...
37/69

第36話 37564 〜決別〜

杉浦は、救急車に運ばれた。

歩いていた男子生徒に助けられたようだ。

応急処置を施し、後遺症は残らなかったようだ。

だが、杉浦は心に深い傷を負ったのだ。


「気分はどうですか?」


医者は杉浦に具合を伺う。


「...もう大丈夫です、ありがとうございました」


杉浦は病院を去った。

そして、杉浦は、覚悟を決めた。

杉浦は、橋川に復讐しようと誓った。

好きな人を奪い、そして散々な目に遭った。

あんな奴をこのままニコニコしてすませるわけにはいかない。


(...訴えてやる...!!!!!)



その後、橋川は指導が入った。

橋川が杉浦に怪我をさせた。

その証拠と録音を杉浦は先生に報告した。

特別指導だ。

橋川は、1週間、他の生徒とは関わりを取ることができない。

隔離教室という教室で、反省文を書かされたり、雑用をさせられたりする。


この学校は、校則を破った回数や内容により指導のランクが違う。


生徒に危害を加えたりしたら、

停学、もしくは特別指導だ。

校則を破った場合は指導だけで済む。

ちなみに特別指導は3回行ったら強制退学となる。


先生によると、橋川は一年生で最初の特別指導を受ける生徒のようだ。


(ふん、ざまあみろ)


杉浦は橋川に泥を塗って

一矢報いた気分になった。

だが、復讐はまだ終わらない。



私は、最近、未奈ちゃんも

杉浦くんもおかしいと思っている。

好きな人のことで熱くなりすぎている。

そして落ち込みすぎている。

杉浦くんは最近

随分と積極的に行動をしているようだ。


噂によると、杉浦くんは美音ちゃんを橋川に奪われて、それで復讐を計画している...

そんな噂が立っていた。

事実かどうかは本人に聞かないとわからないが、火のないところに煙は立たない。

だから、きっと何かあるんだろう。

詮索はしないけどさ。


「おはよう...未奈ちゃん、大丈夫?」


朝、私は一人で歩いている未奈ちゃんに声をかける。

沈んだ表情。

死んだ瞳。

これは人間の感情を捨てたロボットのようだった。


「...」


未奈ちゃんは今日も気が沈んでいる。

そりゃあそうだ、未奈ちゃんは橋川に裏切られたんだ。

現実を受け入れられるはずがない。


「あのさ...私、好きな人がいないから...わかんないけど...」


「なに...?」


「私は、恋は楽しむものであって、奪ったり争ったりするものじゃないと思うんだよ、だから...

そんなに夢中にならなくてもいいと思うのよ...

ほら、人生には色々な楽しみがあると思うよ、恋だけが全てじゃないと思う...だから、今回の恋は諦め....」



「ーーー嫌だ!!!!!!」


「...!?」


未奈ちゃんは瞳から炎のような目つきで私を見つめる。

そして、いままでにないほど大きな声で私に訴えかける...


「私は諦めたくないのっ!! どんなことがあっても橋川くんを手に入れたいのっ!!!!

だから...そのためだったら...

たとえ人を傷つけても構わないわっ!!!!」


諦めたくないの。

傷つけても構わない。

なんなの...

恋って、そんなに夢中になれるものなの...?


「ごめん...でも私はあんな外道の橋川なんてやめたほうがいいと思う...」


「なによ...いままで応援してくれたのに...!!

沙羅ちゃんは...私を見捨てるの?

あの事件が事実だからって...私を捨てるのっーー」


そんなわけない。

私は未奈ちゃんの親友だ。

どんなことがあっても

捨てることなんてできないし、しない。


「捨てるわけない、私は未奈ちゃんが好きだもん...

仲間だもん...」


「ーー!?」


私は未奈ちゃんの手を握った。

絆をわかってほしかった。

あなたにだけは私の気持ちをわかってほしい。


「...ありがとう...そう言ってくれるのは...

嬉しい、だけど...やっぱり私はあの人が好きなの」


「...え...」


「私ね、橋川くんの家をIPアドレスで特定したの、その後ずっと家をのぞいているの、私、初めてこんなことしたのよ、すごいでしょ」


「...」


「橋川くんを邪魔する人は許さない

絶対に許さない...」


「...ホントに、それでいいの...?」


「...うん、いずれ、杉浦くんとは敵になるかもしれないね」


未奈ちゃんは私の手を払いのけ、スタスタと歩いてしまった。


私は思った。


もうあの頃の

優しかった未奈ちゃんはいない。

昔はもっと優しかった。


でも、好きな人のことで

ここまで変わってしまうなんて...

どうしてこうなっちゃったんだろう。



ーー私が未奈ちゃんと仲良くなったのは中学生の頃だった。


中2の梅雨。

雨がザーザーに降っていた頃。

私が傘を持ってくるのを忘れた時。

未奈ちゃんは微笑みながら、折り畳み傘を貸してくれた。

雨の日、一緒に帰った。

まだあまり話したことがなかった未奈ちゃん。

お互い人と話すのが苦手だった。

だけど、オンラインゲームの話はとてもあっていた。

少しだけネトゲの話をして、これも何かの縁だと思い、フレンド交換をした。

その日か、私と未奈ちゃんは同じオンラインゲームの仲間になった。


お互い、リアルでは干渉が少なかった。

でもオンラインゲーム同士での

会話はたくさんあった。

初めてここまで気の合う友達ができた。

私も未奈ちゃんも同じ気持ちだった。

そして、3年になり、リアルでも仲良くなった。

毎日が楽しかった。

私と未奈ちゃん。

ここまで深く関わったことがなかったから。

こんなに学校生活が楽しいものだなんて、私は未奈ちゃんに出会わなければ気づくこともなかった。


どうして...

こんなことになったんだろう。

好きな人ができて、私と未奈ちゃんに距離ができてしまった。


...杉浦くん...

あなたもきっと同じ気持ちで、

美音ちゃんと仲良くなりたかったんだろうな。

私も...あなたと同じ、ひとりぼっちだったから...


続く...

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