第33話 七色の薔薇道 〜Light blue rose rain umbrella road〜
「さあ、午後からも頑張ろう!!」
「そうだね! がんばろー!!」
未奈と杉浦は、ハイテンションで昼休みが終わる5分前に自分のクラスへ戻った。
そして、未奈と杉浦は隣同士で座った。
「本当に嬉しいんだね...杉浦くんも最近機嫌が良さそうだけど何かあったの?」
沙羅は、二人のキャラが崩壊して行く姿を見て、ハイテンションさについていけなかった。
未奈はともかく、杉浦がなぜここまで明るくなったのか、沙羅は知らなかった。
「僕はね、楽しみができたんだよー!」
杉浦は両手を広げて、嬉しさを表現した。
「どんな...?」
「好きな人ができた!!」
「え? マジか...どんな人?」
沙羅は杉浦がどうして悩んでいたのか、それを察することができた。
仲良くなりたい。
でも話しかけられなかった。
だが、話すことができ、きっかけができた。
だから自分にも自信がついたんだな。
そういうことだろう。
2週間前とは明らかに性格が違う。
前より積極的になった気がする。
だから、沙羅は杉浦が誰を好きになったのか聞きたかった。
沙羅も人と話すのは苦手だ。
体育祭の件で自身はついたが、まだ完全じゃない。
ここまでのきっかけを作るのにはまだ足りない。
「...誰にも言わないでね、伊吹...美音さんっていう人だよ」
「美音...ちゃん?」
杉浦は頷いた。
「なるほど、未奈ちゃんは橋川、杉浦くんは美音ちゃんと昼休みに喋ったりしてるんだね」
沙羅は鋭かった。
普段はあまり頭が働かないが、こういう時に確信を突くのが沙羅だ。
ナイトメアの選挙の時のように。
「そういうこと!」
「あ〜明日も会いたいな〜♫」
「頑張ってね」
私は帰りの時間、未奈ちゃんと帰ろうと思ったが、橋川となんか色々と話をしてて盛り上がっていたので、それを尊重して、私は魔王と二人で帰ることにした。
「ねえ魔王、魔王は未奈ちゃんの様子を見てどう思った?」
帰り道を歩く中、私は魔王に未奈ちゃんの話を展開することにした。
「ああ、あれはきっと橋川に惚れてるな」
「...あんた鋭いわね」
魔王も鋭かった。
そう、未奈ちゃんは完全に橋川に夢中だ。
面白い話で笑っている。
たぶんしばらくは帰らないだろう。
友人より恋人を取るのはちょっとひどいとは思うが、これも義理だ。
いつか橋川と一緒に手を繋ぐ日が来るんだろうな。
杉浦くんは美音ちゃんが好きだし...
未奈ちゃんは橋川が好きだし...
しかもクラスが隣。
席も隣。
ある意味似た者同士って感じね。
「橋川ってなんか女子に甘い女たらしって噂があるけど...大丈夫かな」
橋川は女たらしだということを私は知っている。
女子が目に前にいると変な態度をとる。
だから、未奈ちゃんは騙されている...
ちょっと心配だが、本人が楽しんでいるんだから無理に止める必要もなさそう。
「あの男に本命の女はいるのだろうか」
魔王も気にしているようだ。
ここ最近の未奈ちゃんは明らかにおかしい。
明らかに依存している。
昼休みも私と話をするどころか橋川のところばかり...
そして帰りだって...行きだって...
橋川のそばに一目散に走っていく。
「未奈ちゃんが本命だったら完璧なんだけどね」
「だが...あいつともし無事に付き合えたとしても、ああいうタイプはすぐに浮気しそうだな」
確かにその通りだ、ああいう女たらしで下品な奴はすぐに女を捨てて別の女のところへ行く。
ああいう奴は好きな女の子ができて、ふられたらすぐに別の女の子にちょっかいかける...
そして下品なことを言う。
女子に一番嫌われそうな典型的な奴。
私も魔王も橋川は嫌いだ。
なんか魔法が仕掛けられてるのではないか。
私はそう思った。
なにか変なオーラがあるのだろう。
未奈ちゃん...一途になりすぎないでほしい。
あの男はきっとダメだ。
「そうね、ああいう男はダメね」
「どうする? 諦める方に促すか?」
私もそうした方が傷つかないと思うし、そうしようと思った。
だが、未奈ちゃんとは友達だ。
私も応援したい。
...諦めさせるのも可哀想だ。
だけど、裏切られて傷つけられる未奈ちゃんを見るのも辛い。
どうすればいいんだろう...
私も魔王も答えを見つけることができずに、家まで歩き続けた。そういえば魔王の家って見たことないわね。
「ところでさ、魔王の家ってナイトメアにあるんじゃないの? なんで私と一緒に帰ってるの?」
「あ、俺の家ここ」
魔王は自分の家を指差した。
階段があり、地下に続いているようだ。
普通は見つからないような場所にあった。
どおりで魔王がどの家にいるのかわからなかったわけだ。
気がついたらいなくなったり、現れたりするんだもの。
「まじか...」
「そうだよ、じゃあまたな」
「え...ええ、またね」
意外だったわね...
こんな変なところに家があるなんて...
ていうかここ家じゃなくて地下の秘密基地じゃん。
ここが魔王の住んでる場所か。
生活できなさそうなところだなあ。
でも魔王ならなんとか出来そうね。
ナイトメアからもなにか支給されてるはずだし。
給料とかね。
魔王は一応ナイトメアの中尉レベルに所属してるんだから金はかなりありそう。
だけど、ナイトメアの通貨だから現世界じゃ使えないんじゃ...
あ、ブニダーズは日本と同じ国か。
かつては一つだったしね。
だから日本語が通じるわけだ。
お金も共通ってことね。
私は少し魔王の謎が解けたので
少しモヤモヤが消えた。
明日どうするかな。
未奈ちゃんに橋川は諦めさせた方がいいのかしら...
次の日、私は未奈ちゃんに橋川の話をすることにした。
橋川の元へ向かおうとする未奈ちゃんを手を掴んで止めた。
雨が降っている朝。
私は傘をさしていたが、雨がかすかにカバンや服に当たる。
「なに...?」
「ねえ未奈ちゃん...橋川のことなんだけど...いいかな」
「橋川くんがどうかしたの?」
私は、諦めた方が良いってことを言おうとした。
こぼれ落ちるほどの水を汲み取るかのように。
「橋川って...女たらしなんだよ、だから...」
未奈ちゃんは真剣な顔で私を見る。
そんなことわかってる。
っていう顔で。
私だって、こんなことを言うのは辛い。
だけど、これ以上未奈ちゃんには辛い思いはさせたくない辛い思いはさせたくない。
「諦めろって言いたいんでしょ?」
「う...うん」
私は罪悪感を寄せながらそう答えた。
しかし、未奈ちゃんは首を縦に振らなかった。
「嫌だ...こんなことで諦めたくない...」
「...たとえ私がフられて辛い思いをしたとしても、私は諦められない」
「...そっか」
私はこれ以上言うことができなかった。
...雨はさらに強くなる。
今日は修羅場かもしれない。
まるで未奈ちゃんはネズミの尻尾にかじりつくかのように、恋を諦めずにいた。
昼休み、私の注意も聞かずに未奈ちゃんと杉浦くんはクラスへと入っていった。
大雨でも御構い無しだ。
もう私にはどうすることもできない。
だからもういい。
未奈ちゃんの好きにすればいい。
未奈と杉浦は、再びクラスへ入る。
いつも通り楽しい時間がやってくる。
...そう思った。
「美音ちゃ〜ん♡ おしっこ出るよ〜」
「...」
橋川は、美音にちょっかいをかけていた。
相変わらず下品な橋川。
美音にちょっかいをかけるのが趣味の一つになっていたのだ。
未奈は橋川が美音にはいつもよりも何倍もの笑顔でちょっかいをかけていることを知った。
「...嘘、嘘だよね」
杉浦は、美音が嫌がっていることを知りクラスへと入った。
未奈はショックで一歩後ろへ下り、頭を両手で抑え、座り込んでしまった。
天気は更に悪くなり、雷まで降ってきた。
今にも人間関係は崩れそうなそんな昼休みになってしまった。
だが、未奈はすぐに気持ちを取り戻した。
(大丈夫、橋川くんはみんなにちょっかいをかけて面白可笑しく笑わせれる...
それに伊吹さんだって嫌がってるんだ...
きっと違う、橋川くんは...伊吹さんを...
好きなわけじゃない...私より関わりが多いからちょっと仲が良いだけなんだ...!!)
と自分の中で解釈をして、自分を取り戻していった。
「...嫌がってる...止めなきゃ...!!」
杉浦は、美音の元へ駆け出した。
ドアを思いっきり開け、橋川に話かける。
「やめろっ! 嫌がってるだろ!」
「す...杉浦くん...!?」
橋川は杉浦に目をぎょろっと向いた。
そして、目の前の机を蹴り飛ばした。
音が響き渡る。
杉浦は人と話すのが苦手。
だが、本気になったら止まらない。
誰かをここまで好きになったのは今回が初めてなのだから。
「誰だ...お前は」
橋川は杉浦を睨む。
杉浦も橋川を思いっきり怒鳴りつける。
「杉浦 抄...伊吹 美音さんの友達だっ!!」
杉浦は堂々と公表した。
橋川は怒りに震え、杉浦の胸ぐらを掴む。
「お前が杉浦か、いつもいつも美音に話しかけてくるのは!!!」
クラスが戦場になった時だった。
70%の人すら凍りつくような争いが始まろうとしていた。
NEXT TITLE
〜Blue rose jealousy battle road〜




