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美術少女と異世界に住まう魔王の旋律  作者: Spell
Episode 03 好きになってしまったその日から...
33/69

第32話 七色の薔薇道 〜Green rose mail interchange road〜

美音が座っている席。

彼女は、黙々と本をめくっていた。

友達と話すている様子もなく、ただ自分の世界に浸っていた。

話しかけにくい。

だが、こうしているうちにも昼休みは過ぎて行く。

時間は有限だ。

杉浦は教室に入り、再び深呼吸をして、ゆっくりと歩いて行く。


物理的な距離がだんだんと近づいて行く。

そして、まず最初に...


「こ...こんにちは、ちょっといいかな...?」


美音は本を一旦閉じ、杉浦の顔の方角へ向いた。

硬い表情の杉浦を見て、美音ははてな状態だった。

急に話しかけてくる人がいるなんて。

あの人以外に話しかけてくるなんて、あの人みたい。


美音が言うあの人っていうのは、あの馴れ馴れしい下品な橋川のことだ。

鬱陶しいのであしらっているが、それでもしつこいので、適当に返している。

いくら優しい性格の美音でもしつこいと思う程だ。

こんなにうざいと思われる橋川は気の毒だが、自業自得だ。

70%の人には好かれるが、30%にはとことん嫌われるのが橋川。

美音は30%に所属している。


「...なに?」


美音は小さな声で、返事をしてくれた。

その声は小さいが、とても可愛らしい声だ。

この声は誰もが認めるほどだ。

だが、大人しく地味な性格なので目立たない。

杉浦にしかその魅力はわからないのだろう。

声の可愛さを表現すると、うさぎが鼻をツンツンってつつく仕草と、小学生のような幼さ。

それを足して2で割ったような可愛さだ。


杉浦は、どうしようか考えていた。

話しかけたのはいいが。

この後どうやって盛り上げればいいのか。

杉浦は、本を読んでいるところを邪魔ことも罪悪感を持っていた。


(話すの恥ずかしい...)


(けど...仲良くなりたい...)


杉浦は数秒間黙り込んで...

ベストな返しを思いついた。


「あのさ...伊吹さんって、僕とこの前の体育祭で箸をくれたよね...あの時はありがとう、本当に助かったよ」


「いいよ、予備だったから」


「あ...あの、もしよかったらこれもなんかの縁...だしさ...えっと...その...」


杉浦は言葉を噛みながらも勇気を出して話を進めた。

杉浦の心臓の鼓動の速さはどんどんと増している。

だが、これを乗り越えれば、幸せが待っているはずだ。

杉浦はその目的一つを果たすべく、話を続ける。


「ーー僕とメールの交換をしてください!!」


杉浦は頭を下げてお願いした。

美音は黙り込んでいた。


「...あ...あの...? 伊吹...さん?」


美音は、自分の筆箱を取り出し、メモ帳を取り出した。

そして、自分のメールアドレスを紙に書いた。


「...はい、どうぞ」


美音はそれだけ言って、杉浦に紙を渡した。


「あ...ありがとう!!!」


杉浦は今までで一番大きな声でお礼を言った。

やはりこの人は優しい良い人だ。

この人だったら友達になれる。

いままでろくな友人がいなかった。

だけど、性格に似ている。

類は友を呼ぶ。

...やった、ついにやったぞ!

喜びは空も飛べそうなほど跳ね上がっていた。


「...ちょっと声が大きいよ...」


「あ、ごめん、でもホントマジでありがとう」


なぜ美音はメールを渡したのか。

それは、美音も友達がいなかったからだ。

地味な性格で、うざいと思ってる橋川以外話しかけてくれる人がいなくて、ひとりだった。

だけど、そんな美音にも人との関わりができた。

一人は好きだけど孤独が嫌。

そんな気持ちを持っていた。

だからお互いの気持ちは一致していたのだ。


「未奈さん、交換できたよ!メール!」


ここまで元気な杉浦を見たことがない。

だから未奈は驚いていた。

だがそれ以上に嬉しいっていう感情があった。


「そっか、よかったね!」


「うん! ありがとう! 未奈さんがいなかったら僕ここまで行けなかったよ」


「いいよ、これからお互い頑張ろうね」




杉浦は家に戻った後、急いで美音のメールアドレスを登録した。

そして、メッセージを送った。


(こんにちは、杉浦です。

伊吹さん、メール教えてくれてありがとう!

初めて学校の人とメアドを交換したので

とても嬉しかったです。)


杉浦はメールを送った。

そして、10分後にリプがついた返信が来た。


(こんにちは、伊吹です。

私も初めてだったのでメールを

交換できて嬉しかったです。

そうだ、杉浦くんってなにか趣味とかあるかな?)


杉浦は、再びメッセージを送った。


(えっとね、趣味はゲームとかかな。

僕はオンラインゲームとかよく遊びます。

あと音楽を聴くのも好きだよ

伊吹さんは?)


伊吹は5分後に返信が来た。


(私は読書をするのが趣味が好きです。

あとドラマも見るよ。

恋愛系か感動系が好きだよ。)


(読書やドラマが好きなんだね。

僕もドラマは見てるよ。

最近は虹色のアートっていう

水曜にやってるドラマが好きかな)


(あ、そのドラマ私も見てるよ。

いいよね、この前9話がやってたけど、最後のあれがすごかったよね)


(あ〜あれか、あれは感動したなあ。

続きが見たくなるよね!)


(だよね〜

あ、そろそろご飯呼ばれたから

一旦終わるね。

今日はありがとう!)


(そっか、僕もこうやってメールできて嬉しいよ。

こちらこそありがとう!)


って感じでメールやり取りはだいたい17時から18時くらいまで続いていた。

杉浦は、スマホを充電し、スリープモードにしてから、嬉しさの余韻に浸りながら宿題をした。

嬉しさのあまり宿題がスラスラ解けてしまい、

いつもなら1時間ぐらいかかるものが、たったの30分で終わってしまった。


「やったぜーーーー!!」


という心の声が表に出てしまった。

明日はきっと良い日だ。

杉浦はそう思った。


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〜Light blue rain umbrella road〜

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