第30話 七色の薔薇道 〜Orange rose moment road〜
未奈ちゃんが最近あまり私に話さない理由。
私が魔王との絡みが増えた影響もあるけど、多分好きな人ができたからそのことも影響してるのかもしているのかもしれない。
私はそもそも好きな人がいないから、気持ちはあまりわからないが、それでも、人を好きになるっていう感情は誰にでもあることだって信じている。
次の日の朝、私は魔王と、未奈ちゃんで学校に行くことにした。
未奈ちゃんは魔王とほとんど話をしたことがない。
だから、ちょうど良い機会かもしれない。
「ねえ魔王、この子未奈ちゃんっていうんだけど、知ってる?」
「ああ、沙羅の友達だろ、知ってる」
「未奈です、趣味はゲームとか音楽かな、黒木君はどんなことが好き?」
趣味か、初対面の話題作りには良いかもしれない。
魔王は私以外に友達とかいなさそうだから、やっぱり良い機会かも。
でも魔王が友達をあまり作らず群れないってところも理解してるから、お節介になるかもしれない。
だけど、やってみなきゃわかんないし、試してみるか。
ーー試すなんて人体実験のようで物騒である。
そんな大したことでもないけど、沙羅にとっては重要なのである。
友達の友達は友達戦法でなんとかしよう。
「そうだな...俺は魔法の精度をあげる特訓をしたり、体を鍛えたりすることが趣味だな」
「そ...そうなんだね、黒木君は魔法が使えるんだね」
未奈ちゃんは少し引いていたが、厨二病キャラはもう定着してたので、ずっこけるほどではなかった。
私も、もうこんな会話は聞き飽きるほど聞いた。
「ああ、ナイトメアっていう世界があってな、その闇の世界から俺は来たんだ、我はブニダーズという国の中尉程度の実力を持っている」
魔王の言っていることは本当のことだが、みんなは作りだと思っている。
ナイトメアの世界と現世界はかつて一緒だったが、今は別々になっていて、現世界の人の記憶からは強制的になかったことになっている。
つまり、周りにナイトメアの事実を知っているのは私と魔王だけ。
「そうなんだね...すごい設定だね、小説でも書いてるの?」
案の定、未奈ちゃんも同じ反応だった。
私も最初は厨二病の作り話だと思っていた。
ホラ吹いてるのかと思ったが、本当のことだって知った時は驚いた。
「...違うな、これを見てみろ」
魔王は自分の闇の剣を取り出そうとした。
学校にこんなもの持ってくるなよ...
この剣でクリアチムを殺したって考えると吐き気がする...
「これは、グラムだ、ほらよくゲームとかで出てくるだろ」
「うわ、本当だ...よくできた飾りの剣だね〜」
未奈ちゃんは関心していたが、やはり飾りの剣だと思っている。
現世界で切ったことないんだから当然だが。
「触っていい?」
未奈ちゃんは剣に触ろうとする。
だが、魔王は断った。
「だめだ、この剣は一般人が触ると大変なことになるぞ、闇に飲まれる、この剣は資格のあるものじゃなければ触ることはできない」
「そっかあ...じゃあ私もいつかそうなれたらいいなあ」
「まあ頑張るがいい...」
そんな話を繰り返し、私たちは学校へとたどり着いた。
「...ん? あれは...」
橋川だった。
未奈ちゃんが好きって言ってた人だ。
「おしっこでるーーーーー!!」
じゃーって流そうとするジェスチャーで
橋川はペットボトルを...の代わりにして周りにかけた。
どうやら水のようだが、下品なやつだ。
(わあ〜橋川おもしれえ〜)
(下品だけどおもしろいよなあ)
周りの人は橋川の行動を面白がっていた。
なんてブラックジョークなネタなのかしら。
小学生でもそんなこと考えそうにない。
「あれはなんなんだ...?」
ーー魔王は呆れながら小さな声で沙羅と未奈に相談した。
「知らないわよ...ブラックジョークすぎるでしょこりゃ」
橋川はさらにネタを披露した。
「うわあ屁が出るー!」
「ブー!おならブッブー!!」
擬音だったので匂いはない。
だが、こんなしょうもないネタでも周りは笑っている。
「あはは...やっぱ橋川くんは面白い」
「え...?」
未奈ちゃんが思わず本音を流し、魔王は凍りついていた。
そりゃあそうだろう、わたしにも理解しがたい。
ていうかこんなネタで笑えるなんてまるで小学生ね...
未奈ちゃんを貶すことはあまり思いたくないけど、これだけは譲れない。
ホントしょうもない。
「ホント笑うみんなもちょっと理解しがたいわ...
でも未奈ちゃんは好きなのよね」
「うん」
まあ人の感性はひとそれぞれだし、いいんだけどさ。
「じゃあ黒木くん、わたしここの席だから」
教室に入った私たちは自分の席に座り、話の輪は一旦解散した。
私と未奈ちゃんは隣の席でホームルームが始まるのを待った。
待ち時間が暇なので絵を書いていた。
「沙羅ちゃん、私ってやっぱ変かな?」
変だ。
はっきり言ってあんなのを好きになるなんて
どうかしている。
だが、友達にそんなきっぱりとそう言うのは、あまりにも可哀想なので、言わない。
「ううん変じゃないよ、そうだ、昼休みさ、橋川のところ行ってみたら? 私も手伝うよ」
私は未奈ちゃんに昼休みに橋川のところに行って話をしたらどうだ、と提案した。
私は一応手伝うけど、私は橋川と仲良くなる気はない。
「ありがとう! 私ちょっと緊張してて話しかけにくかったから助かるよ!」
私と未奈ちゃんはは昼休みに、隣のクラス、つまり1年B組に入ることにした。
昼休み、私は隣の教室で橋川のところへ向かった。
教室のドアを開ける、私も未奈ちゃんもコミュ症だから苦手だが、二人でいれば怖くない。
私はドアを開けた。
他のクラスに入ること。
この学校の校則では
別のクラスに入ってはいけないという校則はない。
だから、全然問題のないことだ。
それより、どうやって橋川のところへ行くか、そっての方が重要だ。
橋川は、踊っていた。
一番目立っていた。
クラスのみんなは面白おかしく笑っている人もいれば
うるさくてイライラしてる人もいた。
70パーセントぐらいは賛同派っぽいけど
残りの30パーセントはうざがっているようだ。
おそらく私と魔王は30パーセントに含まれているのだろう。
「この踊りはパーラパラダンス?」
未奈ちゃんは橋川の踊りを
パーラパラダンスだと思った。
腕を激しく動かし、脚も少しだけ動かす。
そしてスピーディな英語の歌で踊る。
それがパーラパラダンスだ。
確かに橋川はそんな動作をしている。
「ねえ、それってパーラパラ?」
いま声をかけたのは私だ。
橋川は私たちの方を向いた。
「おう、そうだぜ〜君も知ってるのかーい?」
橋川はノリノリでハイテンションで私に受け答えをした。
「え...ええ」
「私も...」
未奈ちゃんも小声ながらも受け答えができた。
少し進展が深まったのかもしれない。
「あ、君はなみだろ〜?」
橋川は恐らく未奈ちゃんのことを指しているのだろう。
「え...えっと...その...」
「なーみ〜」
「未奈ですっ!」
「あ、そうだったんだ〜おっぱい揉ませてよ〜」
(おいおいいくら面白いからってそんなこと言うか...?)
(セクハラを通り越して犯罪よね)
30パーセント族の人からひそひそ声が聞こえた。
私もこの発言には引いた。
「や...やだよ」
未奈ちゃんは口数は減っていた、顔も赤い。
だが、嬉しそうだった。
セクハラ発言すら嬉しく思うのは、それだけ好きだってことなのだろう。
私は理解しがたいが。
「うっそー! 僕ショック〜」
「まあいいや、僕になにか話しがあるならまた来てもいいぜ〜」
「あ...ありがと...」
私はもう来ないけど。
これできっかけができた。
よかったね未奈ちゃん。
未奈ちゃんはそのあとウキウキな気持ちで、5・6時間目の授業を終え、私と魔王と未奈ちゃんで家路を歩いた。
「なあ、未奈と沙羅、お前達、今日昼休みどうしたんだ?」
「ん...?」
「それはね...」
「私たちの秘密ですっ!」
未奈ちゃんと私だけの秘密だ。
まあ私は教えてあげてもいいんだけど。
でも未奈ちゃんの気持ちを尊重して、好きな人のことは伏せる。
今日は面白い日だったな。
人間関係の発展を感じることができた日だった。
明日も楽しみだな、これからも未奈ちゃんを見守っていこうかな。
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〜Yellow rose Mina road〜




