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美術少女と異世界に住まう魔王の旋律  作者: Spell
Episode 03 好きになってしまったその日から...
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第29話 七色の薔薇道 〜Red rose love road〜

ブニダーズは平穏を取り戻し、私も魔王も元の生活に戻った。

魔王は久しぶりの制服と学校に少し緊張していた。

学校に戻った魔王は、一週間も学校に来なかった理由を聞かれたりしたが、家庭の事情ってことでごまかしたようだった。

私も、そういうことにした方がいいってことを察している。

世の中にはこういう誤魔化しも必要なんだろうなって思う。


私たちは特に何事もなく授業を済ませた。

魔王は一週間分学校の授業をやっていなかったが、予習をもう事前にしていたので大丈夫だったそうだ。

私は全然わからなかったのに...


そういえば中学校の頃は通知表の評価が

美術は5で社会は4だったけど

それ以外は通知表で1か2だったな。


「魔王、あんたもう大丈夫なの?」


「ああ、平気だ」


魔王は授業も国のことでも何も気にしてないようだ。

クリアチムを殺したっていう罪悪感は残ってるのかもしれないが、それ以上に憎悪が強かったのだろう。


周りの大切な命と、それを奪うかもしれない命だったら、私は周りの命にするに決まってる。



昼休み、私は昼食のおにぎりを食べながら魔王の様子を伺っていた。

魔王はパンを食べていた。

黒く焦げたパンだった。

こんなものを毎日食べていたらがんになってしまうのではないだろうか。

さらに無糖の缶コーヒー...


そういえば魔王は厨二病を演じていたな。

最初の頃はしか厨二病っぽくなかったけど...

最近また元のキャラに戻ったのだろうか。


魔王はコーヒーを飲みながら、パンを食べ続けていた。

でもあまり美味しそうに食べてないな。

なんか苦しそうだ。


私は席を立ち、魔王に話しかけてみることにした。


「ねえ魔王、これ美味しいの?」


私はパンとコーヒーに指をさして聞いてみた。

魔王は少し苦い表情をしながら頷いていた。


「...飽食の世だが...俺は汝を生贄に...咀嚼する」


「ほう...あんた厨二病キャラに戻ったわね...

元のあんたでもいいのよ?」


「...断る、これが俺のあるべき姿だ」


かっこつけやがって。

私はあんたの素を知ってんだからあるがままにすればいいのに。

まあいいか、本人がそうしたいんなら。


「そう、じゃあそうするといいよ」


私は自分の席に座り、2個目のおにぎりを食べる。

そろそろお茶が欲しくなってきたので、梅雨のジメジメしたカバンの中から水筒を取り出し、お茶を飲む。

美味しい。

やっぱりおにぎりにはお茶に限る。


「あの...沙羅ちゃん、ちょっといいかな?」


話しかけてきたのは未奈ちゃんだった。

どうやら、話があるようだ。

私はおにぎりを食べながら、話を聞いた。

帰り、学校の裏庭で話があるらしい。


「うん、じゃあ帰りに行くね」


「よろしくね」


話ってなんだろう。

もしかしてうさぎでも飼うのか?

だったらうさ友になれるかもしれない。

私にとってうさぎは天使だから大歓迎。



雨が降るかどうか微妙な天気の外。

紫陽花が咲いているかどうかすら

まだよくわからない。

曇り空にいつもよりも強い風。

私は、そんな微妙な天気で未奈ちゃんと話をすることになった。


「それで、話って...?」


「うん、ちょっとね...」


未奈ちゃんは息を吸って、2秒後に吐いた。

そして改めて口にした言葉は...


「沙羅ちゃんって、好きな人...いる...?」


うさぎの話ではなかった。

...恋の話のようだった。

私は恋なんてしたことない。

好きな人はいない。

いままで美術のこと以外に興味がなかったから。


「私は...いないけど...」


いない。

今のところは、誰も好きじゃない。

友達として好きな人はいるけど、恋人として好きな人はいない。


「そう...そっか、私は...まだわかんないけど好きな人ができたかもしれない...」


未奈ちゃんが表情を変えた。

下向きな暗い表情。

好きな人ができたにしては暗い、後ろ向きは表情だ。


「どんな人なの...?」


「えっとね...普段は下品なことばかり言ってて...怒ったら暴力を振るうような人...だけど、面白い人」


「...そんな人が好きなの...?」


「まだわからないの、だけど、あの人のことを考えるとなんだか変な感情を持ってしまう...」


下品なことばかり言ってて、怒ると暴力を振って...暴れる人...

だけどみんなを笑わせて面白い人...

もしかして、橋川(はしかわ)か?


橋川勇人(はしかわ はやと)...

隣のクラスの人だな。

普段から下品なこと言ったり、暴力降って

先生に止められたりする問題児。

でもなぜか面白いことばかり言ってるので

周りから人気。

いや、賛否両論が多そうな人だ。

そんな人を好きになる人がいるのは...珍しいな。


「好きになった理由は...?」


「面白いから...?かな?」


面白いから好き。

そんな理由で好きになったら、男子は苦労しない。

私もそんな理由で好きになったりしない。

それ以外にも理由があるはずだ。

だが、詮索はいないでおこう。

応援はするけど。


「うーん...やめといたほうがいいと思うけどな...

でも好きになったんなら、私は応援するよ、友達だもの」


「...ありがとう」


「さ、そろそろ帰ろっか」


「そうだね、この話はひとまず終わりにしよっか、話聞いてくれてありがと」


未奈ちゃんは、カバンを持って、せっせと支度をした。

私もすぐに帰る準備をした。


「いいよ」


恋に芽生えた未奈ちゃんがなんだか少し遠く感じてしまった。

私は、心のなかでは反対してるが、未奈ちゃんが好きかもしれないっていうなら、それを尊重するまでだ。


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〜Orange rose moment road〜

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