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美術少女と異世界に住まう魔王の旋律  作者: Spell
Episode 02 ナイトメアと現実世界の二週間
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第23話 I don’t know fantasy 家族のソウルクリスタル編

炎が帝魔王の部屋を襲いかかる。

敵襲だった。

場所を特定されないようにプロテクトをかけたはずなのだが、敵はより強力な解除方法を使ってきたようだ。

花奏は咄嗟に水魔法を唱え、火を消した。


「こいつか、浅海の生き残り...娘は」


アウランジの兵が火炎銃を持ち、花奏を襲う。


「は...はい」


「ならば、連行しろ」


「ちょっと待て」


魔王が花奏の前へ駆け出す。

そして、アウランジの兵の襲いかかる手を払う。


「なんだ、帝魔王の部下も一緒じゃないか」


「帝魔王様は...今、クリアチムのところで話し合いをしている頃だろう...連行したところでなんになるんだよ」


「...花奏、お前は知らないようだな、教えてやる」


アウランジの兵が花奏に現実を突き刺そうとしていた。

花奏は、杖を持ち、警戒する。


「なにを...ですか?」


「お前の母親...つまり、浅海は、クリスタルホールに閉じ込めた」


「なんですって!?」


「貴様...貴様らはなぜそんなことをするんだ!?」


帝魔王は剣を持つ。

そして、一回降る。


「クリアチム様の復讐だ...共存の邪魔をされた恨み...五年前の因縁を忘れるわけないだろ」


「...お母さんに会わせてください、ソウルクリスタル...そこに眠っているのでしょ?」


「ああ、ならば、連行できるな?」


花奏は頷いた。

しかし、警戒は怠らない。

魔王はただ見ているしかできなかった。


「何をしている、お前も行くんだ、魔王」


「...ふん、ならば帝魔王様にも会えるんだろうな」


「ああ」


「飛行船を出す、さあ、乗れ」


アウランジの兵は飛行船を呼び起こした。

船が羽と風で飛んでいる。

大砲が何台かあり、旗が立っていた。

クリアチムの旗だ。

はしごが下された。

花奏達はそこに登った。

ウィーン。

ウィーン。

風力の音が聞こえる。

外の戦争の赤い空を駆け抜けて行く。


「15分ぐらいしたら着く、それまでは静かに待機してろ」


「ああ」


返事をした二人は、飛空船の外を見つめていた。

町は荒れていた。

犠牲者がどれくらいなのかは見当もつかないが...

今は母親に会いに行くのに必死だった。

花奏は、5年ぶりの再会に期待をしていた。

だが、変わり果てた母の姿を見ることになるかもしれないという現実もあり、不安もある。

その気持ちが混ざり合って、一体どんな感情を持って母に会えばいいのか、わからずにいた。


「...なんだと? 戦争を止める...?」


アウランジのクリアチム直々の報道があった。

武力を停止して帰還せよ。

その命令が出た。


「ふん...ちょうどいい、クリアチム様...今我々は帰ってくる、二人を連れてな...」


5分くらい経った後、クリアチムの命令で襲ってきた兵や船が次々と帰還していった。

何事もなかったかのように襲撃は治った。

花奏達は、安堵して、腰が抜けた。


「よかった...きっとお父さんが説得してくれたんだね...」


「きっと、そうだろう...」


魔王は、花奏の肩に手を添えて、空を見る。

よかったな。

そして、よかった。

両方の気持ちが溢れる。


避難解除の指示を出すべきかどうか...

まだわからない。

ブニダーズで避難解除をしても、家はめちゃめちゃ...

税金を使って仮設住宅を提供するしかないな...

犠牲になった家は500程度...

ブニダーズの住人は20万人...

これだけみると数値的には大したことない...

だけど、犠牲になった一人一人の気持ちを考えたら悲しくなりそう...


「さあ、ついたぞ」


アウランジ。

戦争の中心核であり、武力を好む国。

魔法も惜しまず気に入らない国は全て支配しようとする凶悪な国。

案の定治安は悪く、日々喧騒と銃声が聞こえる。


「...お父さん?」


黒い翼を広げ飛んでいる帝魔王を発見した花奏は、手を降った。


「おーい! こっちにきてー!」


するとそれに反応した帝魔王は花奏のところに来た。


「...どういうことだ、これは」


「私たち、お母さんに会いたいから、このアウランジの兵に連れてこられたの」


「そうなのか、ちょうどいい、俺も今から花奏達を連れていこうと思ってたんだ...」


「うむ、ならば、我々アウランジ兵が案内しよう」


「すまない」


アウランジ兵が城を案内する。

飛行船は、現代でいう駐車場にとめて、行くことになる。

ここは商店地区。

店でさまざまな武器を販売している。

火薬、薬物、銃、剣、杖...

おそらくここまで大規模な店はアウランジしかない。

各地区にはモニターが設置してあり、情報を得る時はここで得る。

もちろんこれは科学ではなく魔法で運営している。

アンテナではなくサンダーエーテルという電波で

映像を出したり、音声を発生させたりする。

タブレットや、テレビもナイトメアにも存在するが原理は完全に別物。

歩くたびに周りの争いの声が聞こえる。

魔王やアウランジ兵は気にせず歩く。

だが、帝魔王は花奏は耳を塞いでいた。

この争いは聞きたくない。

そう思っている。


「ここだ」


商店地区を抜け、城の中心に着いた。


「セントラル地区、ここは特定の人物しか入れない、入れるのは主に国の王...アウランジの兵士...そして、呼ばれた者だけ」


帝魔王は空中から入ったが、セントラル地区の入り口で塞がれていたので、一旦国の王がそれぞれ持っている認証カードでゲートを

通る処理が必要だった。

行くときも帰る時もその処理をする必要があった。

そして、カードをピッて押したらゲートが開かれる。

この処理をしなければたとえ空中だろうが穴の中だろうが、入れない。

特殊な結界が張られているからだ。


「ピッ、お前達はカードを持ってないだろう...ならゲスト入場ということにする」


ゲスト入場は主に呼ばれて来た者に与えられる権利。

カードの所有者同意で入ることができる。

なので帝魔王やアウランジの兵と一緒ならば入ることが可能だ。

認証を終えた花奏達はようやく城の中に入ることができた。


30分後、アウランジ兵に連れて行かれるように、クリアチムの部屋に入り、本棚を開け、クリスタルホールへ入った。


「...ではこれで」


アウランジ兵は部屋を出ていき、休憩室に向かった。


そこで初めて母親に出会った。

魔王は、ソウルクリスタルという家族のクリスタルを始めてみて、見とれていた。

美しい。

だが、その美しさは悲しみの美しさでもあった。


そしてソウルクリスタルの前には、クリアチムが立っていた。


「...沙羅はどうした」


クリアチムが最初に放った言葉はそれ。


「...あ、そうだったな、今、呼びに行ってくる」


「早くしろ...1時間以内にな」


帝魔王は異世界と現世界をつなぐ魔法陣を放った。


「私が行ってくる」


花奏が手を挙げた。


「いいのか...? 俺が行こうと思ったのに...」


「お父さんは話を先に進めといて、沙羅さんは...私が連れて行くから」


「そうか...悪いな」


花奏は魔法陣に乗り、光の粒となり、現世界へワープした。


残っているのは帝魔王、魔王、そしてクリアチム。

男三人。


「ああ...浅海...俺だよ、摩人...わかるか...?」


しかし反応がない。


「今は起動させていない...クリスタルを起動させてないから眠っているのと同じ、だから意思は通らない」


「そうか...」


5年ぶりの再会を果たした帝魔王、花奏...

それは家族の再会だった。

ようやく会えた。

沙羅が戻れば、全ての問題が終わる。

そんな風に思った魔王だった。


沙羅と花奏編に続く...

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