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美術少女と異世界に住まう魔王の旋律  作者: Spell
Episode 02 ナイトメアと現実世界の二週間
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第19話 I don’t know fantasy 天壌のディファレンス編

世界は昔は共存していたらしい。

ナイトメアと私たちがいる現代。

そして、現世界でもナイトメアでもお互いの民は魔法を使えていた。

ナイトメアの民、現世界の民は、種族こそ違うが同じ青い星、地球に住んでいた。

だが、ナイトメアと現世界の民は、お互いの性格に差があり、いつも争っていた。

ナイトメアは力こそがすべて、力で支配する世界こそが崇高。

そういう価値観を持っていた。

反対に、現世界の民は、争いをすることを嫌い、そして拒む。

いつも争いはナイトメアの方から仕掛けてくるのだ。

そして、現世界は争いを嫌うが、自分の国を守らなければならなかった。

なので、自己防衛のために、争いをしてしまった。

やがて、世界はどんどん壊れていき、すべてが失われた。

この戦争は約2500年前。

紀元前の約500年ほど前だ。

そして、ナイトメアと現世界が争いをやめる方法を見出した。

それは、世界を二つに割ること。

ナイトメアの禁断魔法と現世界の禁断魔法を使える魔導士はおたがい納得した。

そして、魔法は使われ、世界は二つになった。

だが、争いは現世界でもナイトメアでもなくなることはなかった。

今度は同胞殺しが始まった。

現世界側は魔法の存在を封印していたので化学の力で同胞を殺していった。

ナイトメアでも争いは収まることはなかった。

魔法の力で次々と同胞を殺すことになった。

争いが75年も起こっていない国は、ブニターズのみ。

他にはクロウノ、ファイン。

この二国は45年間戦争を起こしていない。


「…なるほどね、そういうことか」


私は帝魔王様にお願いして図書館の場所を教えてもらった。

そして、花奏ちゃんと話がしたいとお願いしたら、

図書館でふたりきりの時間を手に入れることができた。

そして花奏ちゃんにこの世界のことを知りたいってお願いしたら教えてくれた。

現世界と同じような図書館だった。

様々な本があった。

貸出もできる。


「そう、私の国とクロウノ、ファイン、この3国だけなの、戦争がない国は」


「そうなんだ…」


「ねえ、沙羅さんの国は…安全?」


私の国も75年くらい戦争はない。

平和な国だ。

だから、花奏ちゃんには心配をかけさせるようなことはない。


「大丈夫、私の国も75年間戦争はないよ」


「それならよかった…」


花奏ちゃんが下を向き、暗い表情。

なにかあったのだろうか。


「どうしたの?」


「私の国…戦争が始まるかもしれないの」


…戦争?

どういうことなの?

もう75年も戦争がないはずじゃあ…?


「戦争?でもこの国は戦争がないはずじゃないの…?」


「うん…だけどさ、最近、他の国から魔法が空に通り過ぎるのをよく見るのよ、だから…

もしかしたらお父さんが戦争を起こすかもしれない…」


魔法…私の世界で例えるならミサイルか…

そして、花奏ちゃんの父親、つまり帝魔王様は国の王…


「それ…帝魔王様に聞いてみた?」


「もちろん聞いたよ、お父さんは何があっても戦争をしないって言ってた…」


私はそれを聞いて安心した。

だが、それでも花奏ちゃんは表情を変えることはなかった。


「…だけどね、私…見ちゃったの、お父さんが泣いていたところを…」


花奏ちゃんはすべて教えてくれた。

帝魔王様が、一人のとき、膝を抱えて泣いていたところ。

敵襲が来るかもしれないという恐怖。

そして、母親の失踪。

敵に殺されているのかもしれないという恐怖。

花奏ちゃんは、それを見てしまった。

誰もいない部屋で一人で泣いていた。


「花奏ちゃんのお母さんって…いないの?」


「うん…数年前に行方不明になっちゃった」


私は、花奏ちゃんのお母さんを探すのを手伝いたいと思った。

大切な家族を失うことがどれだけ辛いか私は知っているから。


「ねえ…私でよければ、花奏ちゃんのお母さんを私も探したいんだけど…いいかな?」


「…いいの?」


「うん、一生懸命探すよ、大切な家族を見つけられずにいるのが辛いのは私もよくわかるの、だって…私のお母さんも…」


――刹那、図書館が揺れを起こした。

震度6レベルの地震だった。

本棚の本は次々を落ちて行き、沙羅たちに衝突しそうになった。


「守りの壁よ、今、汝の姿を顕現せよ!!プロテクション!!」


花奏ちゃんが咄嗟に守りの壁を展開した。

透明な壁により、私たちに当たりそうだったものがすべて弾き飛ばされた。


「花奏ちゃん…!?」


「…ありがとう沙羅さん…!だけど今はあとにして…!!」


花奏ちゃんは今にも泣きそうな顔をしていた。

目は赤くなっていた。

そして、花奏ちゃんは守りの魔法を使い、必死に涙をこらえていた。


やがて地震が収まった。


「ここは危ない!逃げるよ沙羅さん!」


「う…うん!」


花奏ちゃんが私の手を掴み、咄嗟に走り出した。

図書館の外に脱出するために…

迫りくる瓦礫を回避しつつ、ひたすら無我夢中に…


「非常口…!よし、ここに逃げよう!」


非常階段を上ることにした。

私は、生まれてから一度も非常階段を見たことがなかったので少し新鮮な気持ちだったが、今はそんなことを考えている余裕はない。


「地震は収まってる…だけど、この地震は…自然現象じゃなかった…!」


花奏ちゃんは、階段の音とともに話していた。


「…それって…もしかして…!!」


「…何も言わないで!今は…!!逃げること優先!!」


私は察していた。

戦争の始まり。

75年間封印されていた戦争が…

始まったんだ…


ついに外に出ることができた。


「どうして…戦争はしないって言ってたじゃない!!お父さんっーーーーー!!」


花奏ちゃんは、父親の帝魔王様にそう叫んだ。

だが、私はまだ信じていない。

帝魔王様が戦争をするはずがない。


「まだ決まったわけじゃないよ…とにかく魔王や帝魔王様のところまであと10分…

急いで向かいましょ!!」


「う…うんそうだね…!!」


花奏ちゃんが再び走り出した。

帝魔王様、あなたがそんなことをするはずがない。

変態なキモい人だけど戦争をするような人ではない。

空は赤く染まっていた。

炎と瓦礫が私たちの視界を導く。


「魔王…!!」


魔法の慟哭編に続く…

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