第17話 ハイパー!スーパー!!体育祭の力!! 第十四回トウサ高等学校体育祭 前編
私はまず最初に徒競走を行うことになった。
いままで練習してきたんだ。
その努力を無駄にしないためにも最善を尽くすわ。
「位置について!!よーいドン!!」
ピストルがなった。
列にいる人たちが走っていく。
私は、足に力を加え、勢いのまま走った。
3分の1程度走ったところで
私は周りを確認した。
いつもの私だったらもうみんなに追い越されていただろう。
だが、今回は違っていた。
私はみんなはほぼ
同じ速さで走っていた。
もしかして魔王が魔法をこっそり...?
いや、違う。
だってお願いしたんだもん。
魔法は使わないでって。
走っていると砂埃がたくさん舞う。
砂が目に入りそうだった。
そして少しだけ私の目にかかったような気がした。
(ちょっとだけ入ったかな...まあいいや)
そして結果は、3位だった。
4位のうちの3位。
案の定、魔王は1位だった。
「沙羅、お前のような実力で3位とは...なかなかやるな」
魔王は煽っているのか賞賛しているのか...
でも私は良い風に聞こえた。
私は今とても嬉しいし
それに魔王の言っていることは事実だし。
「うん、ありがとう、いままで練習した甲斐があったよ、ところで魔法使ってないよね?」
「使ってないさ、これは沙羅の実力だ」
私は体育祭の序盤から
喜びを感じることができた。
初めてだな、こんな体育祭で嬉しいと思ったのは。
ーー体育祭の徒競走は無事に終わった。
うまくいったのである。
一方その頃、花奏と帝魔王は...
「ああ...遠くから見えるぞ」
帝魔王は観席から魔王と沙羅を
カメラで撮影している。
普通の服装でいるので異世界からの使者だとはバレない。
バレたら大問題だ。
異世界と現実世界は本来なら知られてはいけないのだから。
ただ沙羅は例外なだけ。
花奏が次の競技、綱引きが始まるタイミングで「頑張れ」と応援した。
これじゃあ保護者のようだ。
ちなみに沙羅の母親は帝魔王達がいる場所とは
かなり離れているので母親は帝魔王たちのことを知らない。
なので怪しまれることはない。
そして、周りにいる親や
他校の生徒、その他諸々の人も、沙羅の親戚か友達からなんかだと思っているので別に声をかけられることもなかった。
(それにしても沙羅はかわええなあ...)
ーーあいかわらず沙羅が好きな帝魔王である。
まったく、妻がかわいそうだ。
さて視点変更。
「いまなんかすごく嫌な風に見られた気が...」
私は少し寒気がしたが、察した。
おそらくあの二人が来たんだろう。
帝魔王様はともかく
花奏ちゃんが来るのは嬉しい。
さて、綱引きが始まるから綱を持たないと。
またいつものようにピストルが鳴る。
力を一点に集中させる。
現在魔王のグループ、つまり赤が優勢...
「こうなったらあれを使うか...」
私は綱引きのテクニックを使う。
綱引きのテクニック。
私は今まで綱引きは腕に力を入れて引っ張ってきた。
だが、今までの方法よりも良い方法を見つけた。
それは美術。
綱を遠近法。
遠くの綱や人は小さく見える。
逆に言えば近くのものは
綱や人を大きくすることが可能だ。
ということは、絵具で周りのものを大きくするというイメージを出せばいい。
つまり...
(こういうことよっ!!)
私は腕ではなく身体全体に力を加えた。
腕と筆は小さい。
だけど身体全体を使えば大きくなる。
綱を遠くから近くにするには、身体を倒し、絵具でぐちゃぐちゃにするイメージだ。
なんか回りくどく表現しちゃったけど、
わかりやすく言うなら、
腕じゃなくて身体を使うってこと。
今回も私たちのチームが勝った。
魔王はがっかりそうな顔をしていた。
それからしばらくは
先輩たちの種目だった。
私たちは先輩たちの姿を見ながら水筒のお茶を飲んでいた。
それから昼休憩で
弁当食べてリラックス。
「あれ...?魔王は?」
さっきまで近くにいたのに気がついたらいなくなっていた。
きっと帝魔王様のとこにいったんだろうね
視点変更!ぱーと2!!
「さて、この状況どうでしょうか?」
魔王は沙羅の予想通り
帝魔王のところにいた。
弁当食いながら帝魔王と花奏と共に
昼の食事を取っていた。
「沙羅はすごいなあ」
「沙羅さんすごいです」
二人は同じような評価だった。
この親子、気があうのか合わないのか。
ちょっとわからない。
「なんとか勝たせてあげたいね」
「そうっすね」
視点変更!ぱーとすりー!
私は最後にとっておいた好物のいちごを食べて、その美味しさの余韻に浸っていた。
この紅色の美しさ。
恍惚だなあ...
さてと...あとは大縄跳びだけかあ。
私は今日までたくさん努力してきたし
大縄も勝ちたいわね。
そうすれば白組優勝よ。
だけど先輩たちが紅組ばかり勝ってたから
今は2-2くらいなんだよね...
騎馬と大玉で白組の先輩が二連敗だったから
どっちが勝つのかは未知数。
なにせ大縄はチームワーク命だからね。
練習の時はそれなりにうまくいっても
本番でヘマをする人が現れる可能性もある。
私も実際そうだったし...
昼休憩はチャイムとアナウンスとともに終わった。
魔王も座席に戻ってきた。
「戻ってきたぞ」
「おかえり、どこ行ってたの?」
「ちょっと野暮用」
「ふーん」
一年生入場。
その声と同時に行進した。
そして、全員が位置についた。
綱係の二人が両端の綱を持った。
大縄飛びのルール。
それは2分以内にどれだけ多く飛べるか。
もし途中で引っかかったら
また1からやり直し。
そして、時間切れになったら
一番多く飛べた時の回数が優先になる。
両チームのどちらかの回数が
多いほうが勝ち。
「よーいスタート!!」
三度目の銃音。
校内中に響き渡った。
...いよいよ始まるのね。
今、縄は回り出した。
私は...飛べる!!
第十四回トウサ高等学校体育祭 後編に続く!!




