第16話 ハイパー!スーパー!!体育祭の力!! ナイトメア的な体育祭
ついに始まった体育祭当日。
私と魔王は、あの日から全く喋っていない。
理由は、覚悟があるからだ。
余計な気持ちを捨てて、体育祭に意識をかけるんだ。
魔王の補助も、魔王の魔法も、魔王の声も、すべて、今の私には必要ない。
本番までは、おたがいに喋ることはない。
「ふふふ……見事な恰好だ、これなら、異世界人だとばれないぞ……」
帝魔王は、一人でこそこそと衣装を厳選していた。
外見が、悪魔のような姿をしている帝魔王は、その姿を隠すために、白のコートを購入し、黒っぽい肌も、魔法でなんとかした。
魔王らしくない人間の衣装、そして、人間に等しい姿に変化させる魔法。
ヒュールンで、なんとかなった。
今の帝魔王は、30台前半くらいの一般的な男性にしか見えない。
最後に、帝魔王は、白色の帽子をかぶり、フィニッシュだ。
「どうだ、わが娘よ、この美しい人間の姿を!」
「お父さんってナルシスト? ていうかどんだけ沙羅さんの事好きなのよ!!」
「いいじゃないか、お父さんはなあ、可愛いJKを見てると、心が破裂しちゃうんだよ」
「じゃあ、私はどうなのよ」
花奏は、高一じゃなくて、中三だ。
女子高生ではない。
だが、外見は、帝魔王とは全く違う。
魔王らしい姿をしていない。
そう、花奏は魔王族と人間族のハーフで、しかもその存在が、女性の人間族ハーフに
等しかったから、まるっきり、普通の女の子だ。
お母さんが、人間だ。
なぜ魔王の世界に人間がいるのか、それは、異世界転移の方法を知ってしまった
地球人がいるからだ。
沙羅みたいな人間の事を指す。
「お前は……jcだけどなかなかいいんじゃないか?」
「なかなかって……ずいぶん上からなのね、まあいいわ、そんなことよりも、私も沙羅さんの体育祭見たいから連れてってよ」
「まあ、お前なら魔法使わなくても、普通に人間だし、いいんじゃないか」
「魔王さんも人間そっくりだし、私も大丈夫ってこと?」
「つまりそういうことだ」
「そう、なら行けるよね、転送しましょ」
人間の姿をした帝魔王と、花奏は、手をつないで、現代世界へワープを開始した。
光が、二人を包み込む。
そして、粒となり、転送を完了した。
転送先は、トウサ高等学校。
帝魔王は、沙羅の応援&下心満載の計画を立てていた。
魔王と一緒に。
どっちも気持ち悪い2人、でもそれだけ沙羅が好きってことだろう。
沙羅にとっては、セクハラ極まりないから、今すぐ警察に突き出したい気分なのだろうが
この計画は、魔王と帝魔王の極秘なので、沙羅どころか、花奏にも伝わっていない。
魔王が、二次関数の勉強をしながら、誰もいない地下室で電話をしていたのは、
本計画が極秘だからだ。
「体育祭開幕は……あと7時間か」
現在時刻は朝の2時。
めちゃめちゃ早いのは、それだけ待ち遠しいってことだろう。
帝魔王にとって、一秒でも早く、JKの沙羅を見たいのだろう。
花奏も、沙羅を見たいんだろうが、眠気がどんどん襲ってきたので、花奏は、学校の裏側でこっそり野宿をした。
帝魔王も眠気に襲われたので、学校裏で同じく野宿をした。
こんなことしたら、見つかってやばいことになりそうだが、
ステルス魔法を使ってるので、見つかることはない。
ステルス魔法は、補助系魔法だから、安心して使うことができる。
「そんじゃあ……おやすみ……」
帝魔王と花奏は眠った。
次の日の朝、沙羅たちは、グラウンドに集まり、体育祭が始まった。
いろんな準備が前日に行われていて、前日にはすべて準備が完了していたので、帝魔王たちはじっくり
完成した体育祭の姿を見たかったのだが、眠かったので、それどころじゃなかった。
ていうか、なんで深夜に行くんだよって思う。
なぜ、朝に応援に行かないのか……
そっちの方が見つかる心配もないし、合理的なのに……
いや、これは理屈ではどうにもならないだろうな。
だって、帝魔王は、体育祭の応援準備を深夜に終わらせ、今すぐにでも行きたいって気分だったのだろうから。
だが、花奏はちょっと疑問だ。
普段はそういう非効率&バカらしい事はしない主義でいるはずなのに、なぜ帝魔王に賛同したのか。
それは、きっと、花奏も沙羅のことが好きなんだろう。
出会ってまだちょっとしかたってないし、喋ったこともあんまりないけど。
禁断魔法を使えてしまう彼女を見て、一目置いてしまったのだろう。
そして、花奏も美術の授業が大好きだから、自分と何かと気が合いそうな気がしたのだろう。
「さあ、いよいよ始まりました! 第十四回、トウサ高等学校体育祭! 皆さん! 頑張っていきましょう!!」
「はい!!」
私たち、白グループと赤グループは、いままでたくさん練習してきた。
返事もかなり大きい。
私も、普段はあまり人と喋らないし、声もあまり出せないけど、今回はいままででベスト3に入るような声を出すことができた。
さあ、いよいよ始まったわね。
私たちは、体育祭の準備運動を一斉に始めた。
体育をするんだから、こういうことも重要になってくるわ。
よし……頑張るから、私、いままで頑張って練習してきたんだから……
魔王の力なんか頼らない。
自分の力で、自分の実力で……
白組の為にも……
そして、自分のためにも。
私、絶対に勝つわ!!
第十四回トウサ高等学校体育祭 前編に続く!!




