第9話 ハイパー!スーパー!体育祭の力!! 土曜の日常編。
「おまたせ、待ったか?」
「いや、私も今来たところ」
私と魔王は、待ち合わせの場所にやってきた。
今日は土曜日。
この前約束した通りだ。
「それで...どこへ行くんだ?」
「花園ロボンシンってところ」
「なんだそりゃ」
花園ロボンシン。
それは、花が沢山ある花園...じゃなくて、ただの雑貨屋さんだ。
花に関する雑貨が多いから花園。
女子に人気の店で、私もよく通う。
今日、なぜ魔王を誘ったのかというと、男が花をどう思ってるのか気になったからだ。
こんな女子ばっかの雑貨屋に男が入ったら、どんな目で見られるのかな?
あ、でもカップルは多いか。
いっとくけど、魔王は恋人じゃないわよ。
友達未満、クラスメイト以上の存在。
本当の友達とは言えない。
私と魔王は、入り口前で佇んでいた。
「ところで、一ついいか、沙邏...?」
魔王は私の方を振り向いた。
「なに?」
「ここって...カップルや女子が多くないか?」
「あ、うん、そうだね、もしかして、私たちが恋人同士に見られそうで嫌なの?」
「ああ」
羞恥心というものも、壊せばいいのに。
「まあ、そうね、でも気にしなければいいのよ、羞恥心をカタストロフィとやらで壊せばいいんじゃない?」
「そうだな、そうしよう」
魔王は、一瞬だけ光の粒を指に集中させてから、その粒を自分の頭に入れた。
「なにしてんの?」
「羞恥心を一時的に消した」
「これも魔法の力なの?」
「ああ」
魔法ってすごいね。
ロボンシンの中は、花であふれていた。
正確には、床と天井が全て花のイラストだった。
さらに、商品の殆どが花関連のもの。
ビオラのペンダント...スズランの鐘。
チューリップの飾り。
色々あった。
正直、派手な店だ。
でもその派手さが人気の秘訣。
花は心を癒す。
この店の香りも花の香りがした。
店で流れている曲も、花と、死を想え、がテーマの曲で、とても切ない曲だ。
私も自然と聞き入ってしまう。
魔王も、魅了されてしまった。
この店は女子が多いのが評判だが、男子にも人気の店なんだ。
男女比は3:7かな。
「可愛い店だな、俺も落ち着いてしまう」
「でしょ、さあ私について来て」
私と魔王は、ガラス越しに見える入り口前の街景色を少し見た。
綺麗な街景色だったから見てしまったのだ。
そして、数秒立った後に、エレベーターに乗った。
ウィーンウィーン...
屋上階は5階。
私と魔王の目的地は3階。
またしばらく待った。
沈黙が続く。
聞こえるのはエレベーターの音だけ。
緊張はしてない。
警戒もしてない。
だけど、黙っていた。
そして、三階についた。
「ここよ」
「ここか」
三階。
そこには花のゲーム機があった。
ゲームのコントローラーも花。
ゲーム機も花。
そう、男子はゲームが好き。
でも、花をどう思っているのか、それはわからない。
だから聞きたかった。
「ねえ、このゲームのコントローラーをどう思う? 綺麗? かっこいい? それとも......」
私は、ヴィレステ3のコントローラーが故障し始めたので、新しくコントローラーを買いたかったのだ。
それも理由の一つだった。
「うーん......これは、タンポポかな、綺麗だけど、派手すぎないか?」
「まあ...派手っちゃ派手だね、なら、これは?」
私は魔王に、ミントのコントローラーを見せた。
ミントは花なのだろうか?
うーん...まあいいや。
「あ、この色いいな、緑色がとっても綺麗だ」
「マジで!? 私もそう思ったよ」
「ならこれを買うのか?」
「うん! そうするよ」
私も気に入った。
よし、このコントローラーがあれば、再びヴィレステ3が遊べるわ。
ヴィレステ4だと初代ヴィレステからヴィレステ3のゲームが遊べないから困ってたんだよね。
男子がどう思ってるのかもわかったわ。
どうやら、男も花が好きみたいだ。
やっぱ花は万人受けするんだよ。
ーーこうして沙邏と魔王は、レジで会計をすませ、解散した。
「じゃあね、魔王」
「ああ、またな」
私は魔王に手を振った。
それから時計を見た。
もう2時か。
なんかお腹すいたな。
どっかで食べて行こうかな。
ーー沙邏は、魔王と解散した後でも、じっくり自分流で、お出かけを楽しんだのである。
実は、来週からは体育祭の練習が始まるのだ。
6月中旬に、体育祭だ。
この平凡な日常も、体育祭の練習で、全てが変わることを、今、お出かけを楽しんでいる沙邏にとって知るはずなかった。
体育祭の序編へ続く。




