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ほらあな  作者: 松田
2/6

土蜘蛛

洞穴に入ってみると先客がいる。一人は経験豊富そうな40~50歳くらいのおじさんと、もう一人は明らかに素人だとわかるような軽装備者。普段山に登る男ならこんな格好では来ない。

一応、雨宿りさせてもらうことを二人に断ると、登山なれしてそうなおじさんは、お互い大変だな。といって薄い布団を一枚分けてくれた。おじさん曰くおれと芦屋で使いなさい、とのこと。

先にいた軽装備には布団は渡していないようだ。

「ありがとうございます」といって芦屋は勢い良くお辞儀して二人で良い場所をみつけようと、おれの腕を引っ張った。おかげでお辞儀もできないので軽く会釈をしておじさんの元を離れた。

洞穴は割と広くて、四人入ってもまだまだ行けそうだった。おれの部屋より多分広い。

おまけに天井が高いので普通にたって歩ける。これはとてもたすかるんだ。

「いいとこあったかー?」

背中越しに芦屋が話しかけてくる。これだけ広くても楽な姿勢を取れる良いポジションというのはなかなかないらしい。

「無いよ」と答えてまた探す。土蜘蛛が歩いていたから捕まえて、芦屋の前にひょいっと放り投げてやると、どわあっ!と物凄い大きな声を出した。そんなことがたまらなく面白い。

こいつは、虫は苦手じゃないけど蜘蛛は苦手というやつだった。

「あー、びっくりした。蜘蛛降ってきたよ。」

どうやらおれが投げたことに気づいてないらしい。そのこともまた、おれを喜ばせた。

さて、おふざけはここまで。良いポジションを探していると小さい穴を見つけた。小さいと言っても腰をかがめるだけで入れるくらいはあるんだけど。

なんだか良く分からないから相談しよう、そうしよう。

「芦屋、この穴何かな?」

「どれ?」と芦屋は肩越しに覗いてきた。

「これなんだけどさ」

「ああ、なんだろ。これちょっと入れそうだな」

入ってみろよ、と芦屋が言うので腰をかがめて入ってみた。けどなんにも見えない。

芦屋にライトを貰って照らしてみるとなかは結構広い、しかも奥に続いているようでさきがみえない。

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