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ほらあな  作者: 松田
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雨降って

長年の感でいつか降るとは思っていたけれどここまで強くなるとは思っていなかった。

芦屋がなにか喚いていたが雨の音と走るのに忙しいと言う理由で全聞き取れない。あいつに聞こえるようテキトーに相槌をしてやった。

しかしなんだって急にここまで降るのだろうか。山の天気は変わりやすいとは聞くけどこれではあまりに気まぐれすぎる。

走るたびに泥が跳ねて足がぬかるむ。ぺっ、芦屋の跳ね上げた泥が口に入った。

「あっち見てみろよ!なんか地面がこんもりしてる!」

今それどころじゃないだろうに、何を盛り上がってんだか。

でもやっぱり見ろと言われれば見てしまう。そんなものはもはや動物の本能だ。しかもその時はなぜか走るのもそこまで苦に感じることはなく、素直に見ろと言われた場所を見てしまった。

確かにこんもりと1ヶ所だけ盛り上がっている。しかもなんでかこの時、おれは早く山を下りて雨宿りするよりも今すぐあのこんもりの正体を突き止める方が大事に思えてならないでいた。あれが何か見に行こうぜ!と芦屋が叫んでいるのが聞こえる。いつもならふざけるな、と言ってやるところだけど今はなぜかそれが妙に名案に感じる。

「行ってみよう」とおれが応じる前から芦屋はそこに向かっていた。おれが拒否したらどうしてたんだろう。

「うわ、なんだこれ、高いなー」

こんもりの上にたってみると段差ができていた。それも結構高い。人間一人分くらいはあるかな。上からだと良く分からないや。

隣で芦屋が足を滑らせうおっ!といってこんもりの下に落ちた。

「大丈夫か?」

「平坂!お前もおりて来いよ!」

「何をそんな興奮してんの?」

「洞穴だ!洞穴があったんだ!ここで雨が止むまでまとう!」

こういうのを不幸中の幸いっていうんだろう。早くこの激しく打ち付けてきて痛い雨水から逃げ出したかったからすがるような思いで洞穴に入ることにきめた。即決即断!おれには世界一似合わない言葉。

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