馬鹿みたいに
俺の目に映る彼女の第一印象は馬鹿だ。
と言うか今でも変わらずにあるのが馬鹿という印象。
くりくりとした小動物みたいに大きな瞳はいつだって好奇心に溢れている。
キラキラと輝いては沢山のモノを写す。
あっちへ行ったりこっちへ行ったり。
彼女の世界はいつだって輝いている。
そしてその輝きに疑問を持ち俺にまで問いかけてくる。
その輝く瞳で俺を見つめて、純粋でありふれた疑問さえも問いかけるんだ。
そんな彼女も一時は誰かのものになった。
俺じゃない誰かに笑いかけて、俺じゃない誰かに疑問を問いかける。
あぁ、俺はこんなにも彼女の事が好きだったのか。
それでもそれは一時で。
半年もしないで彼女は俺のところに戻ってきた。
だが前の彼女ではなかった。
キラキラと輝いていた瞳はぼんやりと遠くを見つめる。
それだけで彼女は俺じゃない誰かを想っているんだとわかる。
俺がそばにいてもあのキラキラした瞳を向けるのは、もう俺じゃないのか。
馬鹿みたいに誰かを想い続ける彼女。
そしてそんな彼女を馬鹿みたいに想う俺。
本当に馬鹿みたいだ。