神に選ばれた名探偵
名探偵の話となっていますが、推理場面はありません。推理ものの作品ではないことをご了承ください。
ある男は様々な事件に遭遇する度、持ち前の推理力で事件を解決に導いていた。
「知識、ひらめき、推理力、目のつけどころ……彼は神に選ばれた名探偵だ」
その推理力は様々な人から評価され、彼を「名探偵」と呼ぶ者もいた。
彼は色々な事件に遭遇してしまう。そのほとんどは殺人を含むものだった。もちろん事件がないことを願うのだが、なぜか彼には事件がつきまとう。
「殺人事件が起こる度にあいつが現れるんじゃなくて、あいつが現れる度に起きるんじゃねえか?」
「はは。それって疫病神みたいだな」
「死神でもいいよな。どうだ? 死神に選ばれた名探偵って呼ぶのは?」
どんな人物にも批判はつきものだ。そしてそれが有名だったり何らかの能力に秀でたりしていれば、一層その傾向は強くなる。
(事件が一つでも解決すれば、それは誰かのためになる……)
知り合いの陰口や、ネット上での悪意ある言葉を気にせず、男は事件に遭遇する度に事件を解決していた。
男の名は江川太一。自身にそのつもりはないが、名探偵であった。
「ありがとう江川君。おかげで助かったよ」
ある一軒家での事件の謎が解け、四十代後半と思われる警部は豪快に笑っていた。
「いえ、気にしないでください」
「もう君とはどのくらいの付き合いになるかな。最初は邪魔に感じていたが、今は君の存在が心強いよ」
警部は太一の肩を非常に強い力で叩くので、太一は顔をしかめる。しかしすぐに相手に微笑みかけた。
「三年くらいじゃないですか? じゃあ、失礼します」
太一は部屋を出てベランダに移動した。空を見上げ、目を閉じる。頭の中には、事件の犠牲となり命を落とした被害者への祈りがある。
被害者が発した悲鳴が、太一が聞いた、被害者の最後の声であった。その悲鳴は、今でも思い出せる。
「ふぅ……行く先々で殺人事件なんて。どっかの小さい名探偵漫画じゃないんだから」
彼は目を開け、空を見上げた。夕焼け空が見える。本当なら明日の朝、青い空になるのを待ちたかった。しかし天気予報によるとこれから天気が悪くなり、明日は雨になりそうだとのことで、やめたのだ。
彼はおもむろにタバコを取り出すと、火をつけ口にくわえた。
「あ、太一君見つけた」
「……光か。どうした?」
太一が振り向けば、ベランダと部屋の境界線に一人の女性が立っていた。彼女――神崎光は右手に缶のココアを持ち、彼の隣に立つ。
「ううん、何でもない」
彼女は疲れた様子で手すりにもたれる。
「光の叔父さんが骨董品を自慢したいからって親戚を集めたはいいが、そのせいで殺されるなんてな」
「本当にね。でも、こればっかりは仕方ないよ。運命だと思えばね」
「大丈夫か?」
太一が気遣うように問えば、光は苦笑した。
「あんま無理すんなよ」
太一が言えば、光は小さく頷いた。その後光は、それより、と話題を切り替えた。
「すごいよね。自殺と思われた叔父さんが殺されたことを突き止め、犯人見つけて、密室の謎解いちゃうなんて。さすが、名探偵!」
光ははしゃぎ、拍手する。
「からかうなよ」
「からかってないよ。皆言ってるじゃん、太一君は名探偵だって。神に選ばれたかのようだって」
「神って、死神か?」
太一がぶっきらぼうに返すと、光はむっとした。
「違うよ。誰かが死神に選ばれたとか言ってふざけてるみたいだけど……死神なんて、失礼だよね。そんなことないのに」
「……ありがと」
神に選ばれし名探偵、太一の推理力を賞賛する際、しばしばこのように言われることがある。しかし心ない者たちは、太一の行く先々で殺人事件が起こるということで神の上に死という一文字を加えることがある。
くだらない悪口とは理解しつつも、死神と呼ばれるのは気分のいい者ではない。だからこそ、それをはっきりしてくれる人物の存在は支えになる。
しかし彼は何を言われても、事件解決を拒みはしなかった。
「そういや光は同窓会、行くのか?」
二週間前に同窓会の知らせが届いたことを思い出し、太一は軽い調子で聞いた。
「……行かないよ」
「そうか。俺もだ。何か言われたら面倒だからな」
「大丈夫だよ。……事件を解決してる太一君の頑張りは、皆知ってるはずだから。太一君の努力は決して無駄じゃないから、だからこれからも推理で事件を解決してね。色々な事件を解決する太一君は、立派だと思うから。私、ずっと太一君の……謎を解こうと一生懸命な姿、見守りたい。そろそろ……」
光はそこで言葉を止めた。指を使い何かを数えているらしいが、やがて再び太一に目を向ける。
「うん、そろそろだ。じゃ、帰るね」
光は手にしていたココアを太一に手渡すと、手を振りながら去っていった。
「……何だ? 無駄じゃない。それは思う。だけど本当は……」
彼はココアを喉に流し込んだ。甘さ控えめ、という表記の通り、ほとんど甘さは感じられない。
「あいつは俺の推理する姿を好きだと言ってくれてるけど、本当は事件が起きないのが一番いいんだよな」
光が消え、たった一人になった空間で、太一はココアを飲み干した。
事件解決から三日が経過した。
(……死神じゃないが、確かにそうだよな。俺、いろんな場所で殺人事件に遭遇してる。異常な確率だ。ああ、ただの気のせいだと思いたいのに)
電話の音にはっとし、太一は事務所の受話器を手に取った。
「はい。江川探偵事務所です」
「もしもし。あたし、岸野だけど」
甲高い女の声が響き、太一は思わず耳を押さえた。頭の中で岸野という名を繰り返し、今回の同窓会を主催した高校時代のクラスメイトだという結論に至る。
「ああ。久しぶり。どうした?」
「また事件解決したんだってね。って、それよりさ、同窓会来ないんだって?」
「ああ。何か気が乗らなくて」
「皆から返事きたけど、江川君以外皆参加なのに?」
「……二組全員か?」
太一は眉を潜めた。三日前、同窓会に参加しないと断言した光のことを忘れてるのだろうか?
「ほら、ウチの高校ってさ、クラス替えなかったじゃん? だからこそ、集まったのかもね」
「いや、全員って……神崎は行かないって言ってたぞ」
太一が溜め息混じりに言う。
「え? 神崎?」
「ああ。神崎光」
「……それ、誰?」
岸野はしばしの沈黙の後、きょとんとした声で聞いてきた。
「誰って……クラスメイトだっただろ」
「神崎なんていなかったよ。だって番号順だと、私の前は川島だったもん。川島、岸野って続いたんだよ。神崎がいたら、川島、神崎、岸野で私の前が川島じゃなくなるじゃん」
岸野はムキにというわけではなく、ごく当たり前のように話す。
「……え? いや、神崎はいただろ」
「いないよ。中学時代の友人と間違えてるんじゃないの?」
頭の使い過ぎじゃない、と岸野は軽く笑った。よく休みなよと一方的に相手は電話を切る。
「……岸野、何を言ってるんだ?」
受話器を置き、太一は何気なく窓から外を見下ろした。朝方から数十分前降っていた雨のせいで、コンクリートは濡れている。窓を開ければ湿った空気が入り込んで来る。そんな時、太一は事務所の前に立つ一人の女性の姿に気がついた。
「……光?」
今日は会う約束はしていない。しかも今日は平日の真っ昼間、多くの大人は労働時間のはずである。太一は首を傾げた。光はゆっくりと顔を上げると、太一に手を振った。太一はすぐに外に出ると、彼女を事務所内へと迎え入れた。彼女は部屋に入るまで、一切口を開かなかった。水たまりでもはねたのか、白いスカートの裾に細かい泥がついていた。
「どうした? 仕事はいいのか?」
「私、就職はしてないんだよね」
光は静かに答える。その後で彼女は曖昧な笑みを浮かべた。
「この前の事件で、太一君が解決した事件は百を超えた。気づいてる?」
「そうか? ちょっと大げさじゃないか、それ」
「ううん、大げさじゃない。私は太一君の事件、全て記録してるから」
光は鞄からB5サイズのノートを数冊取り出し、机に並べた。そこには奇麗に整った文字で『事件の記録』と書かれている。
「ここには太一君が解決した事件のすべてが、記されている」
「……何の為に?」
太一は疑惑の眼差しを光にぶつける。互いに黙り込み、呼吸や時計の音以外は何も聞こえなくなる。太一は光を凝視し、光は目を閉じている。
しばらくしてようやく光は目を開いた。そして、堂々とした様子で言葉を発する。
「私、太一君が百の事件を解決したら言おうと決めてたことがあるの」
「決めてたこと?」
「うん。これは何と言うか、新しいステージに立たせる為に思いついたことなんだけど……」
「新しいステージ?」
光は言葉を切り、太一の瞳を真っすぐ見据えた。そして力強く言いきった。
「……私は神の使いです」
「……は?」
重々しく言う光に対し、太一は冷めた目を向けた。
「そんな冗談を言いに来たのか?」
「冗談じゃない」
光はゆっくりと首を横に振る。
「あのさ、いきなり神の使いとか言われても……」
光を見ていた太一は驚愕した。突然光の背中に羽が生えたのだ。それは架空の世界で天使がつけているような、純白の羽だった。気づけばスカートの裾についていた汚れも消えている。
「私は、神の使いです」
「……え?」
光の姿に目が釘付けになり、マトモな声が出せない。
「私は神様に言われ、あなたの元にいたの」
「……高校時代から?」
やっとの思いで言葉を口にする太一。
「いいえ。太一君が探偵として注目を浴び始めた、三年程前から」
滑らかな口調で話す光。
「でも、俺たちは高校からの同級生で……悪い、ちょっとだけ席外すよ」
「うん、待ってる」
太一はすぐさま事務所を飛び出した。廊下を全速力で駆けていると、途中で角に小指をぶつけ、鋭い痛みが走った。しかしそれに構わず、自室に入り込んだ。
「えっと、卒業アルバムは……」
乱暴に押し入れの戸を開き、目についたものから中身を外にだす。記憶違いでなければ、引っ越しの後この押し入れにしまいこんだはずだった。時期外れの扇風機やそろそろ出そうと思っていたストーブを出し、ようやく古い段ボールを見つけた。中にはアルバムが三冊入っている。
「これは小学校の時か。高校のは、これだ」
太一は卒業アルバムから、クラス写真を確認した。当時彼が在籍していたのは、三年二組。
「……あれ?」
写真を見ていれば大抵の顔は思い出せ、岸野の姿も見つかった。しかし光の姿は見当たらない。意味もなく別のページにも目を通すが、やはりいない。
「何でだよ。同じクラスにいた……いた?」
岸野は言っていた、神崎光とは誰かと。自分たちのクラスにはいなかったと。
「え?」
中学校はもちろん、小学校までさかのぼるが、どの写真にも光の姿はない。
太一は窓辺に立ち、頭を抱えて外を眺めた。
「あなたが卒業してから、私はあなたと会った。写真なんて、あるはずない」
声がして振り向けば、白い衣服を身にまとい、純白の羽を広げた光が立っていた。彼女は高校時代の卒業アルバムを抱え、入り口の前に立っている。窓に近づくことはなく、そこに留まっていた。
「俺とお前は、同級生だよな……?」
「違う。それは偽りの記憶。あなたに近づきやすいように、そうしたの」
「……え?」
「……今から話すことは、信じがたいかもしれないけど。全てが本当。どうする? 信じる?」
太一は考えた。目の前の人物が同じ人間であるとは全く思えない。しかし太一は光と同じ高校を卒業した記憶がはっきりとあった。そして高校時代のことを考え始め……
(……あれ? あいつって……)
高校時代の光の姿が頭に浮かばないことに気がついた。一緒に卒業したという実感はあるのに、その時のことが全く思い出せない。
太一は息を飲み、静かに頷いた。
「さっきも言った通り、私は神の使い。神様はこの世界を作った方」
「神様、ね」
「うん。神様。神様は色々とこの世界を作り、あらゆる生命を生み出した。人間もその一つ。そして長い年月が経った。最初は色々と楽しんでいたけど、やがて代わり映えのない日々に飽き始めた」
「……それで?」
光は淡々と話を続ける。太一はどうしていいのか分からず、とりあえず話を聞く。
「だから、時に色々やった。その辺りについては省くけどね。そしてある日、神様は謎を解く探偵というストーリーを作り出した」
「……探偵というストーリー?」
「うん。賢かったり正義感が強かったりした人を選び、その人の周りに事件を用意し始めたの」
「用意?」
「どんなに優れた探偵の素質があっても、身近に事件がなければ意味がないでしょう?」
光はどこか寂しげに微笑んだ。
「そして名探偵は生まれた」
「何の為に?」
「神様は暇なの。だから生き物の中でも特に人間の生活を中心に見ているの。それで、何となく名探偵が事件を解く姿を見たいと思い始めた。だから私は名探偵にするのにふさわしい人を捜した。その一人が、太一君なんだよ」
「それはどこまでが本当――」
「全てだよ」
光は太一の言葉を力強く遮った。
「……見て」
光は手のひらを上にして右手を差し出した。手から光の球体が現れたかと思うと、何かが映り始める。それは歪んではいるが、日本語や英語などの文字に見える。
「これは……文字の羅列?」
「神様が考えた、大まかな地球全体のストーリー」
「どういうことだ?」
「だから、こんな感じに物事は動くと定めたものだよ。といっても全てを決めてる訳じゃないし、神様も予想外のことが起きることもあるけどね」
――○月×日、江川太一は別荘に行く。斎藤次郎という男が殺された謎の解決に励む。
「これって……この前の。でも、斎藤美香さんが犯人だったことは書いてないな。俺が解決したという話もないし」
文字を見ていると頭が痛くなる。
「そこは……神様も決めてなかったの。全てが分かってたらつまらないでしょ? だから大まかに決めて、あとは人間の動きに任せるの。推理小説で犯人が最初から分かってると、どきどきしないでしょ?」
――○月×日。再び岸
ちょうど、電話のベルが鳴り始めた。太一は読みかけた文章を中断し、事務所に戻る。
「もしもし」
「あ、私。岸野」
少し前に聞いたばかりの岸野からの電話だ。
「またか。今度は何だ?」
太一は震える声をだした。胸の鼓動が早くなる。
「どうしても同窓会来ないの?」
岸野はつまらなそうに聞く。
「ああ。決めたんだ」
「……どうしたの? 何か怖いテレビでも見た?」
「いや、何でもない。じゃあな」
「あ、ちょっー―」
岸野の電話を一方的に切り、太一は光の待つ部屋に戻る。
――○月×日。再び岸野から電話が来る。
「これは全部、神様が決めたっていうのか?」
光の球に映る文字は、次から次へと流れていく。その中には、太一が過去に経験したことや、自分しか知らないはずのことも書かれていた。
「うん。大体ね。だけどそこに全く書かれていないことが起きることも珍しくない」
「……俺が名探偵と呼ばれ賞賛されたり、悪く言われたりするのは全部神様が?」
「……太一君が名探偵になるのを決めたのはそうだけど、賞賛とか悪口に関しては関与してないよ」
「……いつ事件が起こるかは?」
「ああ。それは神様が決めてる。誰がどこで殺されるってのを決めて、動機とか犯人とか、トリックとかは人間任せ」
「……つまり殺人事件が起こるのは」
太一は俯いた。自身の足がひどく震える。
「神様が決めたことなのか?」
「もちろん」
光は堂々とした様子で答える。太一が恐る恐る顔をあげると、光の笑顔が目に映った。それは普段なら愛らしく見えるが、今は妙に悪魔のように太一には感じられた。
「人間て案外賢いよね。太一君のこと、神に選ばれた名探偵だなんて。正解だもん」
光の笑い声が不気味に響く。
「でも、関口達はひどいよね。死神に選ばれたなんて言うんだもん。死神なんて、失礼しちゃう」
「……どう失礼なんだ?」
太一は低い声でぼそりと呟いた。
「だって偉大な神様を、死神なんかと一緒にするのはひどいでしょ?」
(あの言葉は、俺のことを思ってた訳じゃなくて、ただ神のために……大体、事件が神のせいで起こるなら)
「まあ、実際に会えば死神だなんて失礼な言葉は言えないだろうけどーー」
「死神だ!」
「え?」
太一は今までの生活で出したこともないような大声をあげた。光はびくりとしている。
「光の話が全て本当なら、神は人殺しじゃないか!」
「何言ってるの? 殺人犯は人間だよ」
光は心外だと言った風に非難する。
「でも、殺人事件が起こるということは神が決めてるんだろ? 誰が犯人になるかは成り行きに任せるみたいだが……少なくとも人が死ぬことは決まってる」
「神様は人殺しなんてしないよ。ただ、誰が死ぬかを決めてるだけ。あとは勝手に死んだり殺されたり――」
「それが人殺しなんだよ!」
「だって、あなたは殺人事件を解く名探偵にならなきゃいけないんだから、誰かの死は必須でしょ? あなたが名探偵になれたのは、神様が舞台を用意してくれたから」
「……俺のせいで死んだとでも言いたいのか?」
「無駄な死じゃないよ。全ては名探偵を輝かせるためなんだから。むしろ感謝しなきゃ」
光の声が冷たく聞こえるのは、本当にそうだからか、それとも太一の思いがそうさせているのか。
太一は黙り込んだ。色々と考えながら、時間だけがすぎていく。光は何も言わず、じっとしていた。
「関口達の言葉、今まではくだらないことだと思って軽蔑してたが……俺が間違ってたんだな」
長い沈黙を終わらせたのは、太一の言葉だった。
「死神に選ばれた名探偵。当たりじゃないか。俺は神様、いや、死神に選ばれて名探偵となったんだ」
それは怒りや自嘲のこもった声で発せられた。
「あなたまで、死神だなんて悪い冗談を言うんだ」
光は白い眼差しを太一に向ける。
「真実を知って混乱してるのは分かるけど、失礼しちゃう。じゃあ、私は行きます。もう会うこともないだろうね」
「待て。何でこんな話を俺に?」
太一は光に近づき始めた。
「太一君が普通に事件を解くのに、神様は飽き始めてた。だから、実は本当の神様に選ばれていたんだってことを教えて、新たな展開を望んだの」
「新たな展開?」
光は歩き出す。
「そう、神様に選ばれたあなたがどう事件を解決するのか。何も知らなかったころとは違う何かが起きるかもしれないと思ったから」
光は完全に視界から消えてしまった。慌てて後を追う太一だが、見つからない。やがて彼は足をとめた。
「……俺が名探偵でいるために、事件は起きていた。俺がいなければ、事件は起きなかったのか? 死神に選ばれた名探偵なんて……いらない」
太一は呆然と、立ち尽くすのみ。
数日後。新聞に、名探偵として活躍中の江川太一が首をつって死んだという記事が載った。現場に不自然な点はなく、自殺という結論に至った。
彼がなぜ自殺したのか、詳しいことは一切明らかになっていない。
そして江川太一の死から数ヶ月後、どこかで名探偵の卵と呼ばれる男の話が広まったという。
本当は推理場面とかも書いてみたいと思ったけど、知識がない今は無理だと思いました。
名探偵コ○ンを見て、何となく思いついたのがこの話でした。