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王子様の主張

わたしはこの国の王子です。

 幼い頃からの緊張癖と赤面症のせいで、何をやっても失敗ばかり。父上の言いつけを満足にこなせないわたしは、いつの頃からかすっかり対人恐怖症となってしまいました。

王子たるものがこのようなことではいけないとわかっているのですが、相手の方の顔が判別できる距離にいることができないのです。失望の顔色が見えたらどうしようと考えると、それだけでもう動機息切れがしてきます。

 そんなわたしにも、友達といえる方がいます。なんと!かの有名な英雄と魔女の子供なのです!名前はピートさんといいます。以前にピートさんがおじさんの家から都の学校に通っているらしいと噂に聞き、どうしても会ってみたくなったのです。きっとすばらしい方に違いない、会って挨拶をしたいと考えたわたしは、都の学校へ潜入しました。我ながら大胆なことをしたものだと思いますが、そのときはピートさん以外の人間は視界にはいらなかったのです。思い込みってすごいですよね。

 そうやって潜入した学校で、ピートさんはすぐにわかりました。もうオーラが違うのです。彼こそがあの英雄と魔女の子供だ、とわかった瞬間、私はピートさんのそばまで走りました。もっと間近で顔を見たいと思ったのです。そして、挨拶をするはずだったのに、

「友達になってください!」

と言ってしまったのです。心の中の願望がつい口から出てしまったのでしょう。恥ずかしいことです。

 しかし彼は嫌な顔一つせずに、「いいですよ」と残されたわたしの護衛にお返事くださいました。とても心の広い方なのです。

 ですから今回の難問を、彼に相談すれば良い知恵を貸してくれるかもしれないと考えたのです。難問とは、父上に隣国の婚約者と直接お話をするようにと言われたことです。何でも直接顔を見たこともないわたしが、姫を嫌っているのだと隣国で噂になっているのだそうです。隣国の姫はたいそうお綺麗な方で、わたしにはもったいない姫です。嫌っているなどとんでもない!ですがそれとこれとは問題が違うのです。

 そうして訪れたピートさんの住む辺境の村で、ピートさんの弟に会いました。黒いぽっちゃりした動物を連れていました。動物は緊張しなくてすむのでいいですね。でもその黒い動物は、動物ではなく竜でした。弟さんの契約竜だそうです。私の知る竜とは精悍な姿のものが多いのですが、なんだかその竜は癒し系です。その黒い竜のおかげで会話ができたようなものです。

 わたしを村へ連れて行ってくれた青い竜の計らいで、ピートさんと弟のコニーくんと、竜のポチがわたしと一緒にお城へ来てくれることになりました。そうしてようやくピートさんに相談できました。わたしが悩みを打ち明けると、ピートさんも悩んでいましたが、コニーくんだったらきっと何か考えがあるだろうと言いました。するとコニーくんはピートさんの言うとおり、なにやら考えがあるらしく、城の筆頭魔術師の部屋に入り浸って道具を作っているそうなのです。ああ、勇気を出して相談してみてよかった!

 ドキドキしながら待っていると、コニーくんは完成した道具を見せてくれました。なんと、コニーくんは天才です!これならばわたしだって姫とお話ができそうです!ありがとうございますコニーくん!

 あとは姫とお話する内容を考えるだけです。ああでも誰かと直接お話するなんて、緊張します。しかしピートさんとコニーくんがここまでしてくださったのですから、がんばりますとも!

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