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お城に到着

Sideポチ

お城にたどり着いたときには、ポチはべっちゃりと地面につぶれてしまった。

 こんなにたくさん飛んだのは初めてであるが、ポチはお城まで飛びきったのだ。

「やればできるではないか」

青い竜がポチを褒めてくれているが、今は正直褒め言葉より水がほしいポチであった。

「ポチすごーい!あのくるくる回るのかっこよかったよ!」

ポチが目を回していたのを知ってか知らずか、コニーがそんなことを言ってくる。しかしそれにも抗議する元気がないポチであった。

「ほらポチ、水だよ」

そんなとき、空気を読んでくれるのはいつだってピートである。ポチの言葉が分からずとも、気持ちを察してくれるありがたい存在である。

「あ、そうだ。ポチおやつ食べる?」

コニーが自分の背中のリュックから、りんごのパイを出した。コニーたちは青い竜の背中で食べたらしい。運動をしてお腹が空いたポチは、コニーにもらったりんごのパイを有難く食べた。そんなコニーとポチの様子を、五メートル離れたところで王子様が見ていた。

 ちなみに、対人恐怖症の王子様は、コニーたちと一緒に青い竜の背中に乗ってきた。巨大な竜の背中とはいえ、五メートルの距離をとるのは無理である。それゆえに近距離での長時間の他人との接触に疲れた王子様も、ポチと似たり寄ったりな状態であった。

 こうして、一名と一匹がグロッキー気味な状況で、一同は城に到着したのであった。


Sideコニー

お城は広かった。

 都のおじさんの家に行ったときも、そのお屋敷の広さにビックリしたが、お城はそのおじさんの家がいくつはいるのか数え切れない大きさであった。

「大きいねぇ、ポチ」

おやつを食べて復活したポチに話しかける。

「建物内を移動するだけで日が暮れそうである」

ポチもお城の広さに驚いたのか、あんぐりと口をあけている。コニーはものめずらしさにお城の門の辺りをきょろきょろと眺めていた。そんな一同の様子を、門番の二人が興味深そうに観察している。対人恐怖所の王子様は、すでに先にお城に入っていた。

 ちなみに、青い竜で着陸したのはお城の裏手であったが、せっかくなので正面の門から入城しようということになり、わざわざ正面門まで回ってきたのだ。いわばお城を半周ぐるっと回ったわけであり、非常に遠かった。

「にーちゃん、あそこに何かある」

コニーは城の敷地内に何かを見つけた。コニーがたたたっと走り寄った先には、厳ついひげを生やしたおじさんの銅像があった。

「おひげふさふさー、あたまぴかぴかー」

コニーとポチが、銅像を台座の下から眺めている。

「初代国王の銅像だそうだよ」

ピートが門番たちから聞いたらしい情報を教えてくれた。

「いちばんはじめの王様だって」

「光り輝いているのである、頭が」

微妙に失礼なコニーとポチである。

 コニーは、台座の上に登っていた。ポチは銅像の頭によじ登っていた。子供のすることだから、と門番たちも細かいことを言わずにいた。

 それがいけなかったのだ。

 手を差し出したポーズの初代国王の銅像に、

「握手握手」

とコニーが手を握ったとき。

バキッ!

小気味良い音がした。門番たちが振り返ったときには、コニーの手には肩からもげた銅像の腕が握られていた。

「・・・。」

「・・・。」

コニーとポチはちょっと考えた。そしてピートを振り返る。

「にーちゃん、銅像壊れた」

「うむ、壊れたのだ」

コニーはもげた銅像の腕をぶんぶん振り回す。それを見た門番たちの表情は青くなった。

 ピートも、ちょっと考えた。

「すみません、ちょっと、壊れてしまいました」

さわやか笑顔で門番たちに報告する。

「今のは、あの少年が壊した・・・」

「「「壊れました」」」


コニーに、銅像接近禁止令が出された。

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