10 反撃開始の合図
二桁か……。前作はこんくらいの時に尽きたから、今作は尽きないように頑張ります!
(エピソード事態は前回で10いってた)
その後、あっちから近づいてくることはなかった。
ご飯を運んでくる時か着替えを持ってくる時しか部屋に入ってこない。
しかし、最近部屋の前を慌ただしく通っていく兵士達をよく見かける。
作戦が進んできた証拠だろう。
なので、あまりここでのんびりしている暇はないのだが、やることはない。
強いて言うなら作戦のシミュレーションくらいだ。
一度感情が壊れたが、開き直って逆に強気になっている令嬢。
私に対する認識は、その程度のはずだ。
そうであってほしい。……そうでないと困る。
丁度その時扉が開いた。
「失礼します。サリー嬢」
いつもと違う男だった。
しかし、あの男と同じで全く気配がしなかった。
一つだけ違うとすれば、口調だろうか。
こいつの方が幾分か丁寧になっている。
「どなたかしら?」
「私はフォレアと申します。フェル様のここでのお世話係といった立場ですね。因みにルクエルとは懇意にしています」
「ルクエルとはどなたですか?」
貴族でそんな名前を聞いたことがない。
ん?いや……なぜだろう、知ってる?でも思い出せない。
引っ掛かる。
「おや?ルクエルを知らない?貴方のお世話係の男ですよ」
……ああ、あいつのことか。
やっぱり、知ってる?
「あの人」の面影を見たのは関係あるだろうか?
「何の用かしら?」
「アストラ家の令嬢さんが、貴方と会わせろと言っておりまして……」
つまり、フェル様の部屋まで来いってことよね。
「ええ、分かったわ。じゃあ、案内して頂戴」
「かしこまりました」
廊下に出る。
「こちらです」
無言でついて行く。
……やっぱり気になるわ。
ルクエル、ルクエル……。
思い出せそうで、あと一歩届かない。
「サリー様?大丈夫ですか?もう着きましたけど?」
はっ!いつの間にか着いていた。
「ええ、大丈夫よ。お気遣い感謝するわ」
「では開けますね」
扉を開けると、その瞬間私の視界はオレンジ色と黄色で埋め尽くされた。
ああ、いい匂い……って、何が起こったの?!
「ああ、会いたかったですわ!サリー様!」
ハキハキとした元気な声が聞こえてくる。
フェル様の声だ、と、思い出す。
昔お茶会をした時に聞いた時、印象に残っていた声だわ。
そういえば、初めて会った時も抱きしめてきたわよね。
嬉しいのだけど、痛いわね。
あ、痛い。凄く痛い。
「フェル様、それ以上抱きしめるとサリー様の命が危ないですわ」
「あら、そう?ごめんあそばせ」
「大丈夫ですわ。……イタイ……」
まずい、心の声が漏れ出てしまった。でも、仕方ないわ、本当に痛いんですもの。
ルミア様に感謝ですわ。
開かれた視界に二人の姿が映る。
フェル様は先程言った通り、オレンジ色と黄色の髪が特徴。
武術S級の実力者である。
ルミア様は藍色の髪が特徴。あまり、親交はないので詳しいことは知らない。
性格は寡黙で、必要な時にしか喋らない。
まぁ、今会うってことは、目的は自明の理よね。
「さぁ、お入りになって」
「失礼します」
「フォレア下がって頂戴」
……仮にも誘拐されている身よね?
こんなこと言えるの?
流石の覚悟ね。
「仰せのままに」
フォレアは素直に下がって行った。
「さて、邪魔もいなくなったことだし――」
和やかな雰囲気を出しつつも、これから話される内容は全く穏やかではないだろう。
「始めましょうか、お茶会を」
三大令嬢――その全てが揃った瞬間だった。
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