プロローグ
久しぶりの投稿です。新作もよろしくお願いします。
私のできうることは尽くしてきたつもりだった。
毎日朝早くに起きて朝食を作り、夫を送り出し、屋敷の掃除、洗濯、買い物。使用人を雇わず一人で全てやってきた。
それも全部自分で決めたことなので、文句なんて言わない。
感謝の言葉の一つも言わない夫を仕事が忙しいからと自分を納得させ、甘受した。
だけど、だけど、こんなのはあんまりじゃないか。
何が悪かったの?私の何が気に入らなかったの?
その問への答えは返ってこない。
代わりに返ってきたのは到底受け入れがたい言葉。
「お前との離婚を宣言する」
なんで?
今はそんなことしか頭に浮かばない。
☓ ☓ ☓ ☓
「はぁ」
溜息の中に悲しみの気持ちがなくなってからずいぶん経った。
しかし、いまだその中には信じていない自分の気持ちが混じっていた。
どうしてこうなった?
何度この質問を頭に浮かべただろう?
一回かもしれない、十回かもしれない、百回かもしれない。
ぐるぐるぐると、負の感情が私の中を駆け巡り容赦なく私を負のスパイラルに陥れていく。
離婚を言い渡された後の夫の手際はまるで経験者のそれだった。
教会に離婚の旨を伝え、決別式を行い、屋敷の中にある私の物を纏め、それを馬車に詰め込んで、送り出す。しかし、当然ながらその際別れの挨拶もない。
その対応が私の心の穴を広げる。
「どうしてなの」
消え入りそうな声でそう呟く。
その声は青空の清々しさに飲み込まれ誰の耳にも届くことはない。
「これからどうしよう」
尽くしたい令嬢の私は、尽くす相手を第一に考える。これは、私が決めたことだ。離婚するまでは、尽くす相手が夫だった。
しかし、離婚して尽くす必要がなくなった今、私はその相手がいない。
その事実は私にとって世界が終わったにも等しい意味を持つ。
でも、認めなければいけない事実だ。
目を逸らしてはいけない現実だ。
だから、受け止めなければいけない。
移り変わっていく街の景色を名残惜しさが混じった目で見つめながらも、私は少しずつ気持ちに折り合いを付けていった。
☓ ☓ ☓ ☓
馬車からの景色が見慣れたものになってきたあたりで止めてもらい、降りる。
両親の家に着いたのだ。
公爵家の中でも上位の家なので、その屋敷はとても広い。
久しぶりに見るその屋敷は、前に見た時よりもずっと大きくなっている気がする。
屋敷の中に入る。
門番は顔を見知りだったので何も検査されずに中に入ることができる。
扉を開ける前に扉が開いた。
中からお母様が飛び出してくる。
「おかえり、サリー!元気だった?って、どうしたの?こんな時期に帰ってきて?もしかして子供が生まれたの?!」
相変わらず元気なお母様だ。ひとまずの安堵。
しかし、お母様は勘違いをしている。離婚をしたことを伝えてから来るべきだったと今更ながら後悔する。
だが、そんなことへの覚悟くらい済ませてある。腹を括るのよ、サリー。
深呼吸してお母様に振り返り、言う。
「お母様。私、サリー=エルシアは離婚いたしました」
なんか感情の変化が激しいですが、ご了承下さい。感想・評価よろしくお願いします!




