第31話 家臣の離反 (信長と天下を獲る――戦国タイムリープ日本統一記――/全100話完結)
天正十五年(1587年)冬。
天下統一から五年。
安土城の庭園は、雪に覆われていた。
信長は天守の縁側で、凍てつく風に身を任せていた。
俺は信長に呼ばれ、厚い衣を羽織って上がった。
「浩太、座れ」
信長の声は、いつもより重く、冷たかった。
俺は隣に座り、湯気の立つ茶を差し出した。
信長は茶碗を受け取り、一口飲んでから、ぽつりと漏らした。
「家臣が離れ始めた」
俺は息を飲んだ。
「殿、どういうことですか」
信長は雪景色を眺めながら、ゆっくり語った。
「秀吉は九州で独自の勢力を築き、家康は関東で兵を増やしている。丹羽長秀は病を理由に隠居を願い出た。佐々成政は信濃で反旗を翻した」
信長の声には、怒りよりも、深い疲労がにじんでいた。
「俺は天下を取った。だが、誰も俺を信じなくなった」
信長は杯を握りしめ、雪に目を落とした。
「浩太、お前は俺を信じるか?」
俺は迷わず答えた。
「信じます。殿は天下を取る男です」
信長はかすかに微笑んだ。
「浩太、お前だけだ。お前だけが、俺の側にいる」
信長は立ち上がり、雪を見下ろした。
「俺は戦う男だ。戦がなければ、俺は何者でもない」
信長の言葉は、寂しさに満ちていた。
俺は胸が痛んだ。
信長は第六天魔王。
天下人。
だが、彼は孤独だった。
家臣の離反は、信長の統治の失敗を象徴していた。
苛烈な政策は、民の不満を増やした。
信長は家臣を疑うようになった。
俺は決意した。
――俺は、織田信長と共に天下を獲る。
ただの生き残りではない。
この時代の“勝者”になるために。
信長の心を変えるのは、俺しかいない。
信長は地図を広げ、静かに言った。
「次は……」
その言葉を聞いた瞬間、俺の背筋が凍った。
読んでいただきありがとうございます!
ブックマーク・評価・感想いただけると、ランキングが上がりやすくなり、モチベーションも爆上がりです!
これからも信長と共に天下を目指しますので、よろしくお願いします!!
次回、第32話「信長の決断」。
信長の孤独と、迫る新たな危機――。




