第30話 信長の孤独 (信長と天下を獲る――戦国タイムリープ日本統一記――/全100話完結)
天正十四年(1586年)秋。
天下統一から四年。
安土城の天守は、月光に照らされて静かに佇んでいた。
信長は一人、縁側に座り、酒を傾けていた。
俺は信長に呼ばれ、天守に上がった。
「浩太、座れ」
信長の声は、いつもより低く、疲れていた。
俺は隣に座り、杯を受け取った。
信長は夜空を見上げ、ぽつりと呟いた。
「天下は取った。だが、俺は何も変わらなかった」
俺は黙って聞いた。
信長は杯を握りしめ、続けた。
「光秀が裏切った時、俺は怒った。だが、今思うと、あの男は俺を救おうとしたのかもしれん」
信長の目が、遠くを見ていた。
「俺は戦う男だ。戦がなければ、俺は何者でもない」
信長の声は、かすかに震えていた。
俺は初めて、信長の弱さを見た。
第六天魔王。
天下人。
だが、彼はただの人間だった。
孤独な人間。
信長は俺を振り返った。
「浩太、お前は俺を変えようとしているな」
俺は頷いた。
「殿、天下は取ったのです。次は、守ることです」
信長は苦笑した。
「守る? 俺は壊す男だ。守るのは、苦手だ」
信長は杯を空け、立ち上がった。
「浩太、お前は俺の側にいろ。お前だけは、俺を信じてくれる」
俺は深く頭を下げた。
――俺は、織田信長と共に天下を獲る。
ただの生き残りではない。
この時代の“勝者”になるために。
信長の孤独は、深かった。
家臣の不満は、くすぶり続けていた。
秀吉は九州で、家康は関東で、それぞれの野心を膨らませていた。
信長は家臣たちを疑うようになった。
俺は決意した。
信長の心を変えるのは、俺しかいない。
信長は地図を広げ、静かに言った。
「次は……」
その言葉を聞いた瞬間、俺の背筋が凍った。
読んでいただきありがとうございます!
ブックマーク・評価・感想いただけると、ランキングが上がりやすくなり、モチベーションも爆上がりです!
これからも信長と共に天下を目指しますので、よろしくお願いします!!
次回、第31話「家臣の離反」。
信長の孤独と、迫る新たな危機――。




