第29話 家臣の不満 (信長と天下を獲る――戦国タイムリープ日本統一記――/全100話完結)
天正十三年(1585年)夏。
天下統一から三年。
信長は安土城を拠点に、統治を続けていた。
俺は物流改革を進め、伝馬制を全国に広げた。
物資の流通は速くなり、民の生活は豊かになった。
信長は茶会を開き、千利休を重用した。
文化の黄金期。
だが、信長の心は、孤独に蝕まれていた。
夜の天守で、信長は一人、酒を飲んでいた。
俺は信長に呼ばれ、天守に上がった。
「浩太、天下は取った。だが、なぜか空しい」
信長の声は、低かった。
俺は驚いた。
信長が弱音を吐くのは、初めてだった。
「殿、どうされたのですか」
信長は杯を置いた。
「家臣たちは俺を恐れている。光秀の裏切り以来、誰も信じられぬ」
信長の目は、暗かった。
俺は答えた。
「殿、家臣を信じましょう。天下は、皆で築くものです」
信長は苦笑した。
「信じる? 俺は戦う男だ。信じれば、裏切られる」
信長は立ち上がり、窓から夜空を見た。
「俺は天下を取った。だが、取った後、何も残らなかった」
信長の声は、寂しげだった。
俺は胸が痛んだ。
信長は第六天魔王。
だが、孤独な男だった。
信長は俺を振り返った。
「浩太、お前は俺を信じるか?」
俺は即答した。
「信じます。殿は天下を取る男です」
信長は静かに笑った。
「浩太、お前は珍しいな。俺を信じる者が、まだいたか」
信長は杯を注ぎ、俺に渡した。
「飲め。お前だけは、裏切らぬだろう」
俺は杯を受け取り、飲んだ。
信長は再び夜空を見た。
「天下は取った。だが、俺の心は、まだ乱世のままだ」
信長の苦悩は、深かった。
天下統一の後、信長は統治に疲れていた。
家臣の不満は、くすぶり続けていた。
秀吉は九州で、家康は関東で、それぞれの野心を膨らませていた。
信長は家臣たちを疑うようになった。
俺は決意した。
――俺は、織田信長と共に天下を獲る。
ただの生き残りではない。
この時代の“勝者”になるために。
だが、信長の心を変えるのは、俺しかいない。
家臣の不満は、消えなかった。
信長は地図を広げ、静かに言った。
「次は……」
その言葉を聞いた瞬間、俺の背筋が凍った。
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これからも信長と共に天下を目指しますので、よろしくお願いします!!
次回、第30話「信長の孤独」。
信長の苦悩と、迫る新たな危機――。




