第22話 四国への出陣(信長と天下を獲る――戦国タイムリープ日本統一記――/全100話完結)
天正十年(1582年)五月。
中国攻めが終わり、天下統一は目前に迫っていた。
毛利輝元は降伏し、西国は信長の手中に収まった。
残された大敵は四国の長宗我部元親のみ。
信長は安土城で軍議を開いた。
「四国を落とせば、天下は完全に俺のものだ」
総勢五万の大軍を編成。
羽柴秀吉を大将に、三男の信孝を副将とした。
俺は鉄砲隊を率いて、秀吉の軍に配属された。
出陣前、信長は俺を天守に呼んだ。
「浩太、四国を速く落とせ。元親は手強いが、お前の鉄砲で粉砕せよ」
信長の目は、勝利を確信していた。
だが、俺の心は重かった。
光秀の書状が、胸に残っている。
『殿を止める時が来た。』
本能寺の変は、史実ではこの年、六月二日。
今、五月。
あと一ヶ月。
俺は決意を固めた。
――俺は、織田信長と共に天下を獲る。
ただの生き残りではない。
この時代の“勝者”になるために。
だから、光秀の謀反を防ぐ。
信長を本能寺から遠ざけ、守る。
俺は信長に言った。
「殿、四国征伐は秀吉殿に任せ、殿は安土でお待ちください。万一のことがあっては……」
信長は笑った。
「浩太、心配するな。俺は安土で待つ。光秀に畿内を任せた」
その言葉に、俺は背筋が凍った。
光秀に畿内を任せ、安土に留まる。
史実通りの布陣。
俺は進言した。
「殿、光秀殿を四国に同行させてください。畿内の守備は他の家臣で」
信長は首を振った。
「光秀は知略がある。畿内を任せるのが最適だ」
俺は言葉を飲み込んだ。
出陣の日。
秀吉軍は大坂から船で四国へ向かった。
俺は鉄砲隊を船に載せ、波を渡った。
四国・伊予に上陸。
長宗我部元親は土佐を拠点に、伊予・讃岐を支配。
兵数は二万。
秀吉は速攻を命じた。
「元親の首を取れ」
鉄砲隊が先頭を切り、元親の砦を次々と落とす。
元親は土佐へ後退。
秀吉は追撃。
だが、元親は山岳地形を活かし、ゲリラ戦を展開。
鉄砲隊が苦戦した。
俺は陣形で対応。
「分散配置! 連射で抑えろ」
雑賀衆の鉄砲術を活かし、元親の兵を削る。
戦いは一ヶ月続いた。
元親は降伏を申し出た。
秀吉は講和を結んだ。
四国は織田の支配下に置かれた。
勝利の報が、安土へ届いた。
信長は喜んだ。
「よくやった。天下は俺のものだ」
だが、その報が届いた日。
六月一日。
俺は四国から急ぎ安土へ戻る船の上にいた。
光秀の謀反は、明日。
本能寺の朝が、来る。
俺の選択が、間に合うか。
だが、この四国征伐の速さは、
本来の歴史では信長の死後、秀吉が成し遂げた事業だった。
俺の介入で、信長が生きたまま四国を落とした。
その選択が、
本能寺の変を、別の形に変えることになるとは、
まだ誰も知らなかった。
秀吉は笑った。
「浩太殿、次は九州だな」
俺は頷きながら、心の中で祈った。
――信長よ、無事でいろ。
安土へ急げ。
次回、第23話「本能寺の夜明け」。光秀の謀反と、主人公の決断――。




