第21話 本能寺への序曲(信長と天下を獲る――戦国タイムリープ日本統一記――/全100話完結)
天正九年(1581年)秋。
中国攻めが勝利に終わってから数ヶ月。
信長の天下布武は、ほぼ完成に近づいていた。
毛利輝元は講和を結び、中国地方の半分を織田に譲った。
安土城の天守は金色に輝き、諸大名は信長の前に膝を屈した。
しかし、明智光秀の影は、日ごとに濃くなっていた。
光秀は亀山城に引きこもり、織田軍の動向を監視していた。
俺は安土で鉄砲の改良を続けながら、光秀の書状を待っていた。
ある夜、書状が届いた。
『浩太殿、殿の中国攻めは成功した。だが、殿は止まらない。次は四国か? 九州か? 殿の野望は果てしない。』
筆跡は乱れ、怒りが滲んでいた。
俺は返事を書いた。
『光秀殿、殿の道は正しい。天下を統一すれば、乱世は終わる。』
だが、心の中では葛藤が渦巻いていた。
俺の長期目標は、はっきりしている。
織田信長と共に天下を獲る。
ただの生き残りではない。
この時代の“勝者”になるために。
現代に戻る方法など、考えていない。歴史を変え、信長の天下を完璧なものにする。それが俺の使命だ。
光秀の反乱を防ぎ、信長を支え、日本を統一する。
それが、俺の目標だ。
信長は安土で、次の遠征を計画していた。
四国攻め。
長宗我部元親を討つ。
俺は鉄砲隊を率いて、四国へ向かう準備を始めた。
出陣前、信長は俺を呼び、天守で対面した。
「浩太、四国を落とせば、次は九州だ。島津を討ち、天下は完全に俺のものになる」
信長の目は、狂気に満ちていた。
「殿、四国は簡単には落ちません。長宗我部は智謀に長けています」
信長は笑った。
「面白い。お前がいる限り、勝てる」
俺は不安を覚えた。
光秀は畿内守備を任されたまま。
本能寺の変の舞台は、整いつつある。
四国へ向かう船上で、俺は考える。
この遠征が、長引けば、光秀の謀反が早まるかもしれない。
だが、この選択が、本来起きるはずだった本能寺の変を、別の形に変えることになるとは、まだ誰も知ら
なかった。
船は瀬戸内海を進む。
四国の山が見えてきた。
長宗我部元親の待つ土佐。
新たな戦いが、始まる。
信長は安土で、静かに笑った。
「面白い。次は——九州だ」
その名を聞いた瞬間、背筋が凍った。
次回、第22話「四国の智将」。長宗我部元親との対決と、光秀の動き――。




