やり直しのはじまり
母体に着床を確認。母体の安全保護のため、
「神格・身体能力・魔力・すべての力とスキルを封印」
・・・・・・。
一部の抵抗を確認。
・・・・・・。
破壊神の能力から推定し、影響は超極軽微。母体の安全保護に支障がないと認められたため、このまま破壊神の封印を実行します。
・・・・・・。
(ど、こ・い・・・、なに・も、みえな・・・きこえ、な・い。で・も、あたた・かい)
・・・・・・。
「は・・・、げ、ん・・・に」
(なにか、き・こえる・・・。かすかに、きこえ・る・・・)
・・・・・・。
「いま、うご・・い・・て・るわ」
(うご・・・く。すこし、うご・く・・・)
・・・・・・。
「ルルルー、ルルー、ルー・・・」
(う・・た?・・・。おん・・なの、こえ)
・・・・・・。
「お母さん・・・は、いつ生まれるの?」
「もうすぐよ、すぐに逢えるは」
(う・ま・れ・・る・・・、ね・むい・・・)
・・・・・・。
(いた・い、くるし・い、いたい、くるしい・・・)
「ミューズ、頑張りな。もう頭は出てきている。あと少しだよ、ふんばりな」
(まぶ・・・しい、ひか・・り、いきが、くるしい。いきが・・・)
スゥー。っと、大きく息を吸い込む。
「オギャー、オギャー!」
「ミューズ、生まれたよ、元気な男の子だ」
「ああ、私のぼうや・・・」
息を吸うごとに、少しずつ意識がもどり、置かれた状況が理解出来てくる。私を抱き、涙を見せる若い人間の女。私をまじまじと見つめ興奮した様子の小さな子供。良くは見えないが、私が泣きながら伸ばした手は、まるで紅葉の葉を思わせるほど小さくて。
・・・私は、生まれ・・・変わって・・・。
「記憶封印」
(きゅうに、なにもかんがえられなくなって、なんだろう、ぽかぽかとあったかくて、ねむいや。つかれたな・・・)
「お母さん、赤ちゃん眠っちゃったの?」
「ええ、そうね。いっぱい泣いて疲れてちゃたのね」
「ふーん。そうなんだ。そうだお母さん、赤ちゃんの名前はなんていうの?」
「この子の名前は、シルバ。シルバよ」
「シルバ。シルバ。 ・・・初めましてシルバ」
ボクの生まれたての小さな指先を優しく握って話しかけてくれる小さなかわいい女の子。
「サティ、ミューズ母さんは赤ちゃん産んで疲れているのだから、もう休ませてあげなさい」
「はーい。シルバまたね」
サティと呼ばれた女のこがバイバイしながら部屋を出ていく。
(あたたかいな。とても、あたたかくて、きもちいいや)
ボクは胸に抱かれている内に、ウトウトして眠ってしまった。
・・・・・・。
主神は言った。
「シヴァよ、破壊神とは破壊だけが存在理由ではない。愛を持って世界と接し、愛をもって破壊と再生を司り、愛の力を持って世界中の生きとし生きる者すべてを慈しむ、これが破壊神じゃ。今の貴様には、再生、愛と慈しむ心が足らん。この世界で人の子に身をやつし、自身で経験せよ。愛と言うなの世界を彩り鮮やかに染め上げることが出来る力をな。わしは、お前を見ておるからな」
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