表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。

"Vial"

掲載日:2025/10/27

『魔法の薬は、本当にこんな手順で作られるんだな』


僕は煮える釜の中身を覗き込みながら、そう思っていた



釜の中では青紫の液体が、それまでの人生で嗅いだ事も無いような臭気を発しながら、幾つもの泡を浮かべてて居る

材料集めは僕も少し手伝ったけど、素材となったのはここで記す事すら憚られる様な物ばかりだ


魔女は欠けた歯を隠しもせずに笑みを浮かべると、「これでお前のお兄ちゃんの病気も、治ったようなもんさ」と僕に言った


そしてレードルで出来上がった薬剤を掬い上げ、瓶に容れて僕へと手渡してくる

『詰める際に手に付いちゃっても平気なのかな』と思ったが、僕は笑顔を崩さずにそれを受け取るとバッグに詰めた


………残念だけど、もうこのバッグは帰ったら捨てる事になるだろう



「ありがとうございます!」


礼を言いながら、僕は魔女を釜に突き飛ばした


魔女は僕の行動が意外だったのか、瞳を視開いた驚愕の顔のまま釜に落下し、この世の出来事とは思えない聞くに堪えない悲鳴を上げた


悲鳴は数分にわたって続いたが、部屋にあった箒で魔女の頭を押し込んで薬液に頭まで漬けると、それも少しずつ静かになっていって最後には消えた



「やはりか……」


釜にぺたぺたと触り、火がとっくに消えている事を確認する

いま魔女が死んだのは、火傷によってでは無い


念の為、レードルで薬液を掬って窓辺の鉢植えにかける

魔女が大切に育てていた鉢植え

名も知らぬ毒々しい花は、視るも無惨などろどろの液体に変貌し始めた



花の総てが溶けるまで、僕は興奮と共にそれを視守って居た


お兄ちゃん

僕の大好きなお兄ちゃん

重い重い病気になった、僕の大切な兄

直ぐにこの薬を飲ませてあげよう


僕は無辜の少年としてそれを行うんだ

罪なら魔女が被ってくれる



絶対に薬液に触らないようにミトンで両手を包むと、僕は薬瓶を持ち、居ても立っても居られなくなり魔女の家を飛び出した

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ