第2話:たかすじゃないです、たかしです。
た「…ここ…は…?」
「あら起きたの?まだあまり動かないほうがいいわ。一応、回復魔法はかけておいたけど結構な出血量だったから激しく動くと貧血でまた意識を失うかもしれないわよ。」
頭が重くてふらふらする。
俺は確か異世界に転生して…
ああそうか、ゴブリンに派手にやられたんだったな。
なるほどこいつが手当てをしてくれたのか。
「私の名前はアリシアよ。あなたはなんて言うの?」
た「斉藤隆だ」
ア「サイ=トータカス?」
た「いや、さいとうたかしだ。」
ア「トータカスはどこから来たの?」
た「それでいくのかよ」
た「俺は元々この世界の住人じゃないんだ。信じてもらえないかもしれないけdー」
ア「あ、そうなのね」
た「飲み込みはえぇな!」
ア「そりゃそうでしょ?転生者なんて今時いくらでもいるんだから。」
た「え!そんなもんなのか?!」
ア「そうよ」
そりゃ俺だけが唯一の選ばれし転生者だとは思ってなかったけどそんなにいるものなのか
ア「ちなみにあなたが倒れてたあの場所って転生したところの近く?」
た「近く…というかほぼ同じ場所って感じだな」
ア「なるほどね。
あなたを転生させたのって長い金色の髪に赤い瞳をした娘じゃなかった?」
た「…確かそんな見た目だった気がする」
ア「それあたしのいとこよ」
た「ええ?!!
いやそんな『親戚に有名人がいる』みたいな感覚で言われても困るんだが」
ア「あそこらへんはあの娘の管轄なのよ。
不愛想だったでしょ?笑」
た「不愛想っていうかこっちの言うことを一切聞かない感じだったな」
ア「転生の仕事って歩合制なのよ。転生させた数で成績が決まるの。
誰を転生させたとか、どう転生させたとかって関係ないから、最低限法によって転生者に伝えなければならないことと定められている
①死因②スキル③転生場所④転生した後にまずするべきこと⑤転生者からの質問に対する回答(3つまで)
さえ伝えたらさっさと転生させてその後はご自由にってスタンスが一般的なのよ。
まれに転生者と会話することが好きな変わり者の女神もいるらしいけどね。」
た「(”歩合制”って夢も希望もねえな…。
っていうかあの女神スキルしか教えてくれなかったぞ!ゴリゴリアウトじゃねえか!)」
ア「それであなたこれからどうするの?」
た「どうするって?」
ア「どこに行って何をするかってことよ。
だいたいの転生者は冒険者になってダンジョンでレベル上げをして、ゆくゆくは魔王に挑むっていうのが王道の出世ルートだけど。
それが転生者がこの世界に呼ばれる理由でもあるしね」
た「異世界に来てまでそんなレールが敷かれた人生歩みたくねぇぇ…」
ア「じゃあ冒険者にはならないの?」
た「でも正直冒険者もちょっと興味ある」
ア「どっちなのよ」
た「ただちょっと問題があってな」
ア「何?」
た「スキルが…」
ア「攻撃系じゃなくてサポート系だったの?
大丈夫よ。
たいてい討伐に行くときはパーティを組んでいくから攻撃系の冒険者と組めばいいのよ」
た「サポート系?サポート系…?サポート系…???なのか?あれは。」
ア「?いったいどういうスキルなの?」
た「『どんでん返し』ってスキルなんだが」
ア「どんでん返し?知らないわね。
まあ基本的に転生者のスキルってこの世界に住む私達の使うスキルとはちょっと違うっていうけど。
どんな能力なの?」
た「それが俺もまだはっきりとは分かってないんだ
俺を手当てしてくれたってことはお前は回復系のスキル持ちなんだろ?」
ア「そうよ」
た「じゃあ俺と一緒に来てくれないか?
どんでん返しの発動条件とかをいろいろ試したいんだが、一人でやるとまた死にかけるのが目に見えてるからな」
ア「いいわよ。私もちょっとそのどんでん返しってスキルに興味があるしね。
じゃあ行きましょ、トータカス!」
た「たかしな」