ていうか気付いたけど、破滅フラグ回避してない?
セレスト、やっと気付く
今更ながら、悪役令嬢ルートを回避出来ないものかと思案し始めて数週間。周りの動きを観察してみてふと思いました。
ー…悪役令嬢にさせられる流れ回避してないかと。
いやだって、攻略対象であるみんなとの関係は全然こじれていない。むしろかなり仲良し。さらにヒロインであるエステルとも仲良し。虐めなんてあり得ない。エステルが他の子たちから虐めを受けている様子もないから流れ弾が当たる可能性もない。もちろん攻略対象やヒロインではないみんなとの仲も良く、社交界での私の評判も『悪役令嬢』セレスト・エヴァ・シャロンと違い中々好評をいただいている。物語の強制力なるものがあるのならそろそろ私がみんなから嫌われる頃だろうに、それもない。
つまりは、私が勝手に怖がっていただけで全然問題ないということではなかろうか?
そう気付いた途端に嬉しさが爆発する。やった!みんなとずっと仲良しでいられるよ!もう何も怖くない!私はるんるん気分で元気いっぱいになった。
「セレスト。最近ご機嫌だよね。何かあった?」
「はい!素敵なことに気が付いたのです!」
「へー。今日の晩御飯がステーキとか?」
「それもそれでとても楽しみですが、もっといいことですよ!」
リシャール様がすごく優しい表情で、ご機嫌な私を見つめてくる。私はみんなとこれからも仲良く過ごせることが嬉しくてハイテンションになっていたが、リシャール様に優しく頭を撫でられてちょっとだけ落ち着く。はー、幸せ。
「ふふ。良かったね」
「はい!」
「良かったら何があったか教えて欲しいな」
「はい!あの、これからもみんなと仲良くずっと一緒に過ごせるんだなって気付いて、それが嬉しくて」
私が答えると、リシャール様は目を見開いて驚いた。
「今更…?というか、今までずっとそうは思ってなかったの?」
「えっと…はい。その、私、わがままだし、あんまり好かれるタイプじゃないから、いつかみんなが離れていくんじゃないかって思ってて。でも、最近それでもみんなは変わらずずっと一緒にいてくれるから…安心して、嬉しくて」
私が『聖女は星の夢を見る』のことは伏せつつも正直に答えると、リシャール様は何故か頭を抱えた。
「鈍い鈍いとは思っていたが、ここまで鈍いとは…」
「リシャール様?」
リシャール様は突然、がっと私の肩を掴みます。
「セレスト。そもそもの話、君は全然わがままなんかじゃないし、むしろお人好しの部類だからね?あと、君は好かれるタイプじゃないどころか人誑しだから。だから好き好んで君から離れていくようなバカはいないよ。わかった?」
「え?え?え?」
「わかった?」
「は、はい!」
あまりのリシャール様の剣幕に思わず頷く。私はリシャール様が言うような良い人ではないんだけど、リシャール様にそう見られているならそれはとても嬉しい。良かった。
リシャールはセレストの鈍さにびっくり




