十六歳になりました
いよいよ十六歳に
月日は流れ、セレスト・エヴァ・シャロン、十六歳になりました。
さて、自堕落に公爵令嬢としての贅沢な暮らしを満喫してきた私ですが、そろそろイストワール学園に入学することになります。イストワール学園は基本的に全寮制の学校です。使用人は二人まで連れて行けます。私はリリーとグレイを連れて行きます。リリーは侍女として、グレイは護衛としてです。
イストワール学園には、リシャール様、フェリベール様、イネス、パトリック、アンナ、セレスト、それから、我が優秀な弟シリルも飛び級で一緒に入学することになりました。
いよいよ明日入学することになり、荷造りも完璧です。ただ、いよいよ悪役令嬢としてみんなと対立することになるのかと思うととても寂しい気持ちになります。
「セレスト、入学楽しみだねぇ」
「そうですね、リシャール様」
「どうした?緊張してんのか?」
「いえ…まあ、はい。そんなところです」
悪役令嬢だから行きたくないとも言えないし。
「大丈夫ですよ、お嬢様!お嬢様にはこのアンナが付いています!」
「このリリーにお嬢様の身の回りのことはお任せください!」
「お嬢様、俺も頑張るから…不安になる必要ないです。大丈夫」
「このプラムめも、坊ちゃんの侍従として一緒に参りますので、いくらでも頼ってくださいませ」
「ありがとう、みんな」
「一緒のクラスだと嬉しい」
「そうだね、イネス」
「本当に、みんな一緒のクラスだといいなぁ」
「クラス分けばかりはどうにもならないからなぁ。みんな一緒なら楽しそうだけどね」
「姉上と同じクラスなら僕はなんでもいいです」
「もう、シリルったら」
「クラスが離れても、一緒に遊んでくれるよね?」
「それはもちろん!」
みんなに嫌われるまでは、ずっと仲良くしてたいと心から思うよ。
「でも、全寮制なんて緊張するよね」
「使用人も二人しか連れていけないとかちょっと不便だしね」
「まあ、なんとかなるよ」
「色んな国の貴族や王族もくるから、気をつけないとな」
「学びが多い学園生活になることを祈ろうか」
「私もお嬢様のおかげでパパに余裕が出来て、イストワール学園に通うことが出来るようになったし、本格的に芸術分野を学びたいなぁ」
「俺も兄上のおかげでそれなりの評価は得ているけど、まだまだ理想の王子には届かないからな。学園生活の中で何かを掴みたいぜ」
「それなら、僕はセレストの理想の旦那様を目指して頑張ろうかな」
「私は理想の聖女様を目指したいな」
「私は小説家としての腕をもっと上げるために人間的に成長したい」
「僕は理想の領主になりたいなぁ」
「僕は姉上の自慢の弟としてさらに磨きをかけたいかな」
「みんな目標があるんだね。なら、私は…うん。みんなの目標を応援するね」
「ありがとう、セレスト。でも、せっかくならセレストの目標も聞きたいな」
うう。立派な悪役令嬢になる、とは言えないし。というかそもそもなりたいわけではないし。
「うーん…じゃあ、目標を見つけることを目標にしようかな」
「なんじゃそりゃ?」
「そうか…応援しているね」
私の訳の分からない目標宣言に、フェリベール様は呆れリシャール様は頭を撫でてくれます。
「まあ、みんなそれぞれ学園生活を頑張ろう」
「はい!」
いよいよ入学かぁ。やだなぁ。みんなと仲違いしたくないなぁ。
学園生活はどうなるのか




