聖女様が中央教会に引き取られたらしい
ついにヒロイン登場
『聖女は星の夢を見る』の主人公エステル。紫色の髪に金色の瞳の聖女で、孤児。心優しい女の子。ある日聖王猊下の孤児院への慰問の際に「魔術」ではなく「魔法」を使えることを知られて、聖女として中央教会に引き取られる。
いよいよストーリーが動き出しました。エステルが中央教会に引き取られたようです。
…それは、いいのですが。
「私が聖女様の遊び相手に?」
「そうなんだ。なんでも聖王猊下のご指名でね。父上からの表彰を何度も受けたのが大きいのかな。近々正式な命令があると思う。…セレスト、大丈夫かい?」
「…はい」
遊び相手かぁ。荷が重いなぁ。私なんかでいいんだろうか。こんな設定、『聖女は星の夢を見る』にはなかったはずなんだけど。まあ、どうあがいても結局は暗殺されたり国外追放されたりするんだろうし。他のみんなも今のところ設定通りには動いてないし、別に今更か。でも、そのうち強制力とか働いてみんなと仲違いしたりするのかなぁ。やだなぁ。
「聖王猊下のセレストへの期待は大きい。もちろんきっと友達を紹介するくらいは許されるだろうから、エステル嬢と会うのが緊張するというなら僕やフェリやみんなに声を掛けて」
リシャール様が私の頭を撫でてくれます。落ち着く…。…うーん。じゃあお言葉に甘えちゃおうかな。
「じゃあ、その時にはよろしくお願いします」
「任せてよ」
ー…
聖王猊下から直々にご指名があり、本当に私はエステルの遊び相手に選ばれた。リシャール様とフェリベール様、パトリックとアンナ、イネスを誘って、リリーとグレイを引き連れてエステルに会いに中央教会に向かう。聖女様なのだし、エステル様って呼ぶように気をつけよう。
「こちらへどうぞ」
シスターに案内され、エステル様の部屋に案内される。そこには、幼いながらに美しい少女がいた。
「…は、初めまして」
緊張した様子のエステル様は、なんとか声を絞り出して挨拶をしてくれる。私も挨拶を返す。
「お初にお目にかかります、エステル様。私はセレスト・エヴァ・シャロンと申します。公爵令嬢です。今日からエステル様の遊び相手になりました。よろしくお願いします」
「え、えっと、エステルです。よろしくお願いします。あの、私には敬語は使わないでください。敬称もいらないです」
「いいの?わかった。それなら私にも敬語はいらないよ。改めてよろしくね、エステル」
「う、うん、よろしく」
「私の大切な人達も紹介するね。仲良くしてね」
「わ、わかった」
エステルにみんなを紹介する。
「私の婚約者のリシャール・ルノー・イストワール様。この国の第一王子殿下だよ」
「よろしく、エステル」
「お、王子様!?えっと、よ、よろしくお願いします…じゃない、よろしく…」
「フェリベール・レノー・イストワール様。第二王子殿下だよ」
「よろしくな」
「ひぇ…また王族…よ、よろしく…」
「私の弟のシリル・ディディエ・シャロン」
「姉上の弟です!よろしく!」
「よ、よろしくね」
「私の友達で侯爵令息のパトリック・オスカー・オネシム」
「よろしくね、エステル」
「うん、よろしく」
「私の友達で子爵令嬢のイネス・バルバラ・ベルナデット」
「よろしく」
「うん、よろしくね」
「私の友達で平民のアンナ・ミラ・クレマン」
「よろしくお願いします、聖女様!」
「えっと、エステルでいいよ。敬語もいらないよ」
「ほ、本当にいいの?…じゃあ、エステルちゃん、よろしくね」
「うん、よろしく…!」
アンナが平民だと聞いてすごく安心した表情のエステル。やっぱりいきなり聖女にされた上身分の高い人達に囲まれたら怖いよね。
「こっちは私の侍女のリリー。その隣が私の侍従のグレイ」
「よろしくお願いします、聖女様」
「よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく…!」
リリーとグレイを紹介され更に安心した様子。早く打ち解けないとなぁ。
仲良くなれるかな?




