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【電子書籍発売中】悪役令嬢として捨てられる予定ですが、それまで人生楽しみます!  作者: 下菊みこと


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おやすみです

青月は癒し

強盗団に襲われてから一日。王宮の方にももちろん話はいって、しばらくの間王宮でのお勉強はおやすみになった。心と身体をゆっくりと休めるようにとのこと。


ということでシリルと一緒に青月を構い倒します。


「青月、お手!」


「きゅ?きゅう!」


「セイゲツ、お利口さん!ご褒美のおやつだよ!」


「きゅう!きゅう!」


青月に芸を仕込みます。可愛い。


「青月、おかわりは?」


「きゅう!」


「セイゲツ、お利口さん!ほら、お食べ」


「きゅうぅ!」


青月のおやつはもちろん生肉です。ワイルド。


「青月、おすわり」


「きゅう!」


「そのまま伏せ」


「きゅ、きゅう?きゅう!」


「よしよし、よく出来ました!セイゲツ、いっぱい食べな」


「きゅう!」


将来的には大きくなるんだろうけど、このサイズだと可愛いなぁ。ドラゴンの成長は緩やかだから、私がおばあちゃんになるまではこのぐらいのサイズのままらしい。よかった。


「セイゲツ、待ても覚えようね」


「きゅう?」


「青月、ここにおやつを置くけど、いいって言うまで食べちゃダメだよ」


「きゅう!?」


「青月、待て!待てだよ!」


「きゅ、きゅー!?」


「まだ待て!」


「…きゅー」


「よし!」


「きゅう!」


青月は一度言えばわかるお利口さんです。おやつも美味しそうに食べる姿が可愛いし、拾ってよかったなぁ。


「セイゲツは本当に姉上の言うことをよく聞くいい子だね」


「本当だね」


私達が青月を構い倒し、リリーとプラム、グレイがそれを見てほっこりした顔をしていると、部屋の外が慌ただしくなりました。なにごと?


「セレスト!無事かい!?」


ノックもなしにドアがバーンと音を立てて開けられます。え、リシャール様?


「セレスト!ああ、よかった!無事だね!?」


リシャール様は私の無事を確認すると私を思い切り抱きしめる。心配させちゃったかな。


「来るのが遅くなってごめんね。本当は報せを聞いてすぐに君の無事を確認したかったのだけれど、夜分に突撃すると迷惑がかかると止められて…本当にどこも怪我はない?怖かっただろう。もう大丈夫だからね」


抱きしめられたまま、気遣うように背中を撫でられる。リシャール様は優しいなぁ。


「大丈夫です。リリーとグレイが守ってくれましたから」


リシャール様は私を放すと、リリーとグレイの手を取り握りしめる。


「よく僕の婚約者を守ってくれた。礼を言うよ。本当によくやってくれたね」


リリーとグレイは恐縮している。


「いえ、そんな…お嬢様の侍女として当然のことです」


「お嬢様を守るのが俺の役目ですから、どうかお気になさらないでください」


「いや、本当によくやってくれた。セレストに何かあったら僕は…」


そうこうしているうちにまた部屋の外が慌ただしくなる。今度は何だ。


「兄上、置いていくなよ!」


バンとドアが乱暴に開けられる。ドア壊れないかな。大丈夫かな?


「セレストの無事を確認したかったんだ、仕方ないだろう?」


「あんたどんだけセレストを溺愛してんだよ…。セレスト、大丈夫か?昨日は散々だったな」


フェリベール様が気遣わしげな表情を向けてくる。全然大丈夫です。正直いつ何がどうなってもいいように覚悟はしてるし、グレイとリリーが守ってくれたし。


「お気遣いありがとうございます。私は大丈夫ですよ」


にっこり微笑んでみせる。フェリベール様は安心したように息を吐いた。


「ま、セレストが高々強盗風情に日和るわけないよな」


「フェリ。セレストは優秀なだけの普通の可愛い女の子だよ。怖かったに決まってるだろう?」


やだ、照れる。


「ところでセレスト。お前の周りをふよふよ浮いてるそれ、ドラゴンに見えるんだけど。…それ、どうした?」


「あ、はい。フェリベール様の言う通り、ドラゴンですよ。シルバードラゴンの子供です。生まれたてですよ。青月って言います」


「おや、セレストしか見てなかったから気付かなかった。セイゲツ、よろしくね」


「きゅう!」


リシャール様が何事もないかのようにしれっと青月と仲良くなる横で、フェリベール様が呆れたような表情を見せる。


「…お前、どこでそんなもん拾ってきたんだよ」


「強盗団が卵を持ってて、生まれた瞬間私を見ちゃったから私を親だと思ってるみたいなんです」


「あー…まじか。そりゃあ仕方ないわな」


フェリベール様が遠い目をしている。まあ、ドラゴンの子供を飼うなんてなかなか無いしね。仕方ないね。


「セレストー!」


「お嬢様ー!」


「二人とも、待って…!」


廊下からまた賑やかな声が。


「セレスト大丈夫!?」


「お嬢様!強盗に襲われたって本当ですか!?」


「はぁっ!…セレスト、大丈夫?はぁ、はぁ、はぁっ」


パトリックとアンナが駆けて来て、イネスが息を切らして遅れてきた。イネスインドア派だもんね。わかる。私もそうだよ。


「大丈夫!みんな、心配してきてくれたんだね。ありがとう」


みんなの気持ちが嬉しい。それにしても情報が出るのが早いなぁ。貴族ってみんな耳が早いんだね。アンナに至っては一応平民の括りのはずなんだけどなぁ。


「僕達がいるからもう大丈夫だよ」


「お嬢様、お嬢様はこのアンナがお守りします!」


「セレスト、よしよし」


イネスが頭を撫でてくれます。嬉しい。


「みんな本当にありがとう。でも、私は本当に大丈夫だよ。それよりも、見て!この子、青月って言うの!」


「セイゲツ?…え、ドラゴン!?」


「私、シルバードラゴンなんて初めて見ました…」


「…可愛い」


みんなで青月を構い倒しつつ、せっかくのおやすみを満喫しました。青月可愛い。

ミニマムサイズで可愛いドラゴンです

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