下着を作ります!
下着って大事
月日は流れ、セレスト・エヴァ・シャロン、八歳になりました。
そして、子供用下着を卒業すると衝撃的な事実が発覚しました。この世界では、下着が機能性も見た目もしょぼいのです!一応、男性用のトランクスや女性用のパンティーの原型なんだろうなぁというものではあるのですが、履き心地が悪い。可愛くない。全然だめ!
ということで素材を買い漁りお針子さんに頼んで、男性用のトランクスと女性用のパンティーを作ってもらいます。ブラジャーも原型なんだろうなぁ程度で全然だめなので作ってもらいます。
早速出来た試作品をとりあえず自分用に確保しつつお父様とお母様、シリルにも試してもらいます。うん、このフィット感。ジャスティス!おしゃれは正義だ!
お父様とお母様、シリルからも高評価を得たため、使用人達にもプレゼント。やはり高評価を得たため、リシャール様とフェリベール様、パトリックとアンナ、イネスにもプレゼント。リシャール様とフェリベール様からの支持が決め手となり、一気にちゃんとしたトランクスとパンティー、ブラジャーが広まりました。ジャスティス!
売り上げの一部がロイヤリティー収入として私の懐に入ってきたので、色々な素材を買い漁り、お針子さんに頼んで更によりよい下着の製作にチャレンジしてもらいます。かっこよくて可愛くて、機能性にも優れた下着は必要不可欠です!ということで一気に下着の文化が到来。やったね!
「セレスト」
「はい。リシャール様。なんでしょうか?」
王宮にて今日も今日とて勉強をして、さあ帰ろうという時にリシャール様から声を掛けられた。どうしたんだろう。
「下着の一件でね、我が国の文化の発展に大いに寄与したとのことで、非常に良くやったと父上が褒めていたよ。下着文化の到来で各国への輸出も増えて、国に大いに貢献したということでセレストに表彰式をするってさ。覚悟しておいてくれ」
「ええ…?」
またですか?
「セレストはもう慣れっこだろう?諦めてくれ」
リシャール様は宥めるように私の頭を撫でてくれます。
「それにしても、セレストはすごいね。下着なんてみんなあんなものだと思っていたのに。今の下着は柔らかくて肌触りもよくて、伸縮性もありながら肌に密着して、通気性抜群の安定感。すごく便利になったよ。しかも見た目が何より良くなった!あれだけ良くなると下着にもこだわりたくなるね」
「あはは。その…夢でああいう下着を見て…」
「夢で?そこからアイデアを生み出したの?さすがは僕の花嫁!天才だ!」
い、いたたまれない…前世の記憶のことを話して頭がおかしくなったと思われるのは嫌だけど、嘘をついて申し訳ないな。
「ああ、これから帰るんだよね。引き止めてすまなかった。気をつけて帰ってね」
「はい、リシャール様。また今度」
「うん、またね」
ー…
本当に表彰式を行うことになった。何度目だよ。
表彰式に呼ばれた私はとっておきのドレスに身を包み、国王陛下から表彰を受ける。
「そなたはこの国の文化の革新的な発展に寄与し、この国に富をもたらした。よってここにそれを評価する」
「謹んでお受け致します」
わあっと会場が盛り上がった。四度目なので慣れたものである。
「これからも励むように」
「はい!失礼致します!」
式が終わると、リシャール様、フェリベール様、パトリック、シリル、イネス、グレイ、リリーに囲まれた。グレイとリリーは侍従、侍女としてだけど。
「セレスト、僕はセレストが誇らしいよ」
「リシャール様、ありがとうございます」
リシャール様に頭を撫でてもらう。幸せ。
「父上、初めてトランクスを履いた時すげぇテンション高かったんだぜ。ありがとうな、セレスト」
「いえいえ」
「僕もこのフィット感が好きだなぁ」
「そうだよねー、わかる」
「姉上は本当に天才です!すごいです!」
「そうです、お嬢様は本当にすごいです!」
「お嬢様は本当に国の宝だと思う」
「照れるよー、でもありがとう」
「セレストはすごい」
「そうかなぁ?」
「そう。発想が面白い。ドレスとかじゃなくて下着に気合を入れるのはびっくり」
「ふふ、みんなありがとう」
そんなこんなでまた表彰されました。いつかは悪役令嬢として断罪されるだろうけれど、死刑とかにならなければ前世の記憶を使って商売とかも考えてみてもいいかも。
見た目と機能性の両立ってすごいですよね




