男爵家が借金の申し込みに来たので、両親の代わりに私が貸します
人助け
はい。国を流行病から救った救世主です!
嘘ですごめんなさい。ただ趣味に没頭していただけです、救世主は国王陛下に話をつけてくれて薬草を用意してくださったリシャール様です。はい。
そんな私ですが、今日は王宮でのお勉強は免除されました。今日だけですが。ポーション作成を頑張ったご褒美とのことです。
ということで、シリルと両親とのんびり過ごしていたのですが、とある男爵様との約束があるとのことで両親が席を立ちました。
それはいいのですが、シリルは興味津々の様子です。
「姉上、父上と母上は何をしに行ったのですか?」
「男爵様と約束があるらしいけど、それ以上はわからないなぁ」
「覗きに行きたいです、姉上!」
「正直だねぇ、シリル。…行っちゃう?」
リリーとプラムは諸事情で席を外している。諸事情とは、私がスラム街に配るポーションを大量に作った件で商会から是非ポーションを提供して欲しいと依頼が来たこと。私、もうポーション作成飽きちゃったししばらくは作るつもりないからなぁ。
まあつまり、ここにはグレイと私とシリルしかいないのだ。いくらでも覗きに行ける。
「お嬢様、坊ちゃん。俺は今からトイレに行ってきます」
「うん。ありがとう、グレイ」
「いえ、用を足しに行くだけですから」
「グレイ、ナイス」
ということで覗きに行く。
お父様とお母様は、アドルフ・ボーモン・バスチアンという男爵様と借金の話をしていた。
なんでも男爵様の領地がもろに地震の被害に遭い、ひとまずの救出と物資支援はなんとかなったものの、今すぐ復興の為の資金が必要だそうだ。
そこでお父様とお母様は「年利三割」で金を貸すと言った。
いやそんなアホな話があってたまるか!そんな条件で貸したら利息が重なって首が回らなくなるわ!地震で被災したところにそんなことしたら泣きっ面に蜂でしょうが!しかも男爵様もなんで覚悟した顔で頷いてるの!なんで納得してるの!
私は思わず部屋に飛び出した。
「セレスト?何をしている。部屋に戻っていなさい」
「男爵様!そのお金、私が無担保、無利子で貸します!」
「セレストちゃん!?」
男爵様は目を点にしている。まさかの無担保無利子だもの。そりゃそうだ。
「セレスト、それは…」
「お父様。情けは人の為ならず。人に優しくすれば、それは巡り巡って自らを助けてくれるのです。被災された方にこの仕打ちは無しです、お父様」
「…わかった。好きにしなさい。アドルフ、それでいいかな?」
「…ああ。ああ!ありがとうございます、公爵閣下!お嬢様!」
お役に立てたようで何より。
男爵がんばれ




